京王バス永福町営業所
京王バス東・永福町営業所(けいおうバスひがし・えいふくちょうえいぎょうしょ)は、新宿駅・渋谷駅を主なターミナルとし、東京都渋谷区・中野区南部・杉並区などを運行する路線を所管する営業所である。
京王井の頭線の永福町駅と井ノ頭通り(東京都道413号赤坂杉並線)に挟まれたところ(杉並区永福2丁目60番19号)にある。CNG(圧縮天然ガス)を燃料とする車両が多く配置されており、車庫内にその補填設備が設けられている。
また、京王井の頭線の引き込み線が通っており、新車搬入はここで行われる。
沿革
永福町営業所は、京王帝都電鉄の設立間もない1948年9月16日に開設された、戦後最初の新設営業所である。その後、1949年12月25日に笹塚営業所の開設により、いったんは同所の支所となるが、1950年7月1日に支所から独立し、再び営業所となった。
終戦直後より、都営バスとの相互乗り入れによる東京線(武蔵境駅 - 新宿駅 - 東京駅)、新橋永福町線(永福町 - 渋谷 - 新橋駅)の運行を開始し、1960年代半ばころには、ほかに方南線、松ノ木線、三鷹線、渋谷線などを受け持っていた。
その後、1970年に京王帝都電鉄永福町検車区の移転、および永福町工場の廃止により営業所の敷地が拡張され、同年12月1日に世田谷営業所を統合した。これにより、永福町営業所は概ね現在の規模となった。世田谷営業所は、1955年に笹塚営業所の移転によって開設された営業所で、新宿-三鷹方面や新橋-下高井戸間など、甲州街道上を走る長距離路線をいくつか担当していた。しかし、これらの路線は営業所の統合の頃に廃止されており、同営業所から主に引き継いだのは、阿佐ヶ谷線や大宮線といった路線である。
1998年10月16日より、京王電鉄からの受託運行を京王バスが開始し、現在は譲渡路線を含め、すべての一般路線の運行業務を京王バス東が行っている。2006年4月1日には大宮線(中71系統:中野駅南口-永福町)が中野営業所に移管された。
現行路線
このほかに、コミュニティバス「すぎ丸」・「ハチ公バス」を運行しているが、これらについてはそれぞれの記事を参照のこと。
2008年10月より、全路線が京王バス東の自社路線となった。
聖堂線
- 宿32:新宿駅西口 - 十二社池の下 - 本町三丁目 - 南中野地域センター - 多田小学校 - 佼成会聖堂普門館前
- (出入庫):佼成会聖堂普門館前 - 方南町 - 永福町
新宿駅西口 - 多田小学校の区間では宿33とと同じルートを走り、その先で杉並区堀ノ内の佼成会聖堂前に至る路線である。終点の聖堂前では、法輪閣の駐車場に入って折り返している。以前は永福町まで運転していたが、宿33との誤乗があったため取りやめられた。現在は数十本が車庫出入りのため系統番号なしで聖堂から永福町までを運行する。
出入庫便の佼成会聖堂行の時刻は停留所に記載されているが、永福町行の時刻表は記載がない。後述する宿33系統と共にCNGノンステップバスなどの大型車による運行が多いが、中型長尺ノンステで運行する場合もある。京王電鉄バスからの運行受託路線。
最近になり、LED表示が「佼成会聖堂前」に変更されている。
方南線
- 宿33:新宿駅西口 - 十二社池の下 - 本町三丁目 - 南中野地域センター - 多田小学校 - 方南町 - 永福町
方南通りを経由して、営業所のある永福町と新宿駅の間をほぼ直線に結ぶ路線である。新宿側の利用率が高い典型的な都心-郊外直結路線である。永福町付近に一方通行道路があるため、終点付近は大宮八幡入口→西永福→永福町→大宮台→大宮八幡入口のループ運行となるが、永福町で一旦運行を打ち切るため、西永福・大宮町付近から新宿へのアクセスとしては使い勝手が良いとは言えないようである。方南町 - 新宿間では東京メトロ丸ノ内線より所要時分が短いとされる。
当営業所の本線格の路線であり、本数が多くなっている。平日、土曜日は深夜バスを数本運行している。使用車両はCNGノンステップバスを含めた大型車による運行が殆どだが、宿32系統と共に中型長尺ノンステで運行する場合もある。
渋谷線
- 宿51:新宿駅西口 - 十二社池の下 - 参宮橋 - 富ヶ谷 - 渋谷区役所 - 渋谷駅
渋谷線は、新宿駅と渋谷駅の間を代々木公園の西側に沿って走る路線である。もともと、戦前から新宿と初台下(参宮橋駅付近)を結ぶ路線が京王電気軌道によって運行されており、これを戦後になって渋谷駅へ延長する形で開通した。なお、開通当初は小田急バスとの相互乗り入れであった。
中型長尺車による運行がメインだが、大型車による運行も時折行われる[1]。永福町からの出入庫は主に、宿33として営業。
また、渋滞に巻き込まれることの比較的少ない路線であり、渋谷駅と渋谷区北部と結ぶ路線として、通勤時の利用割合も高い。かなり定時性の高い路線である。
都庁線
- C・H01:新宿駅西口→都庁第一本庁舎→都庁第二本庁舎→都議会議事堂→新宿駅西口
新宿駅西口の地下を出発し、都庁を循環する短距離の路線である。もともと都営バスが単独で運行していたところへ、1999年11月1日に京王バスが後から参入し、共同運行となった。都営バス側の担当は小滝橋営業所である。運賃は大人180円・小人90円と低く抑えられており、この系統に限り都営バスの一日乗車券や定期券などでも乗車可能である。
車両は、2002年式(富士重7E)と2003年式(西工96MC)の日産ディーゼル・UAのCNG車が優先的に運用される。
渋谷初台線
- 渋61:渋谷駅→富ヶ谷→代々木八幡→東京オペラシティ南→初台駅→代々木八幡→富ヶ谷→渋谷駅
- 渋61(入庫):渋谷駅→富ヶ谷→代々木八幡→東京オペラシティ南→初台駅
- 渋61(出庫):初台駅→代々木八幡→富ヶ谷→渋谷駅
渋谷初台線は、2002年6月1日に東急バスから移管された路線である(東急時代の線名は「初台線」)。もともと、代々木乗合自動車時代に富ヶ谷線として開通した古い路線がベースとなっており、長きにわたって東急が独自に運行してきた。しかし、戦後この路線に並行して京王が多数のバス路線を走らせるようになったことで、初台線はそれらの路線に埋もれてしまい、1997年に京王が運賃の値上げを見送ったことで、運賃面でも競争上不利な状況となった。これらを背景に、2000年3月の運賃値下げ、同年6月16日の京王バスとの共同運行化を経て、前記のように2002年に全便が移管され、東急はこの線から撤退した。
途中初台坂下から上下便の経路が分かれるため、初台駅をまたいで乗り通しできる。ただし、ダイヤによっては10分程度時間調整することもある。
阿佐ヶ谷線
- 渋66:渋谷駅 - 富ヶ谷 - 代々木八幡 - 幡ヶ谷 - 代田橋 - 和田堀橋 - 阿佐ケ谷駅
- 渋66(出入庫):方南町 - 和田堀橋 - 阿佐ケ谷駅(方南町行きでは、方向幕では系統番号なし)
- 渋66(出入庫):永福町 - 大宮町 - 方南町(方向幕では系統番号なし)
- 渋66(入庫):渋谷駅→富ヶ谷→代々木八幡→幡ヶ谷→代田橋→方南八幡通り
阿佐ヶ谷線は、渋谷駅から23区西部を斜めに横断して阿佐ケ谷駅に至る路線である。都営バス杉並支所と共同運行している。もともと、京王側からの申し入れを受ける形で1957年に都営との共同運行により開通した。
京王バス側は、ほぼすべてが中型長尺のノンステップバスによる運行である。永福町からの出庫・方南町行は、方南町から渋66・阿佐ケ谷駅行きと連結運転する。永福町 - 方南町間の出入庫線は、宿32のと異なって中71と同経路で運行する。
笹塚循環線
- 渋67:渋谷駅→渋谷区役所→富ヶ谷→代々木上原駅→泉南→笹塚中学→笹塚→代々木上原駅→富ヶ谷→渋谷区役所→渋谷駅
- 渋67(出庫):泉南→笹塚中学→笹塚→代々木上原駅→富ヶ谷→渋谷区役所→渋谷駅
- 渋68:渋谷駅→渋谷区役所→富ヶ谷→代々木上原駅→泉南→笹塚中学→笹塚
- 渋69:渋谷駅 - 渋谷区役所 - 富ヶ谷 - 代々木上原駅 - 東京消防学校西 - 笹塚
笹塚循環線は、長年バス空白地帯であった井の頭通りの上原・北沢・大原などの地区を通る路線として、2003年に開通した路線である。渋68は入庫系統(循環しない)。消防学校西経由は、NHK線の出入庫として設定された。
NHK線
- 渋谷駅〜(直行)〜NHKスタジオパーク
渋谷駅〜スタジオパーク間の短距離需要の開拓を目的に、2000年3月18日に開通した路線である。東急バス淡島営業所と共同運行している。NHK広告をまとった中型車両が配置されているが、検査時やイベントによる多客時等は一般車両で運行される。
渋谷駅発着でNHK放送センター前を通過する路線は、主に神南1丁目交差点から公園通りを経由(一部は西武百貨店前から井の頭通りを経由)するが、本系統は山手線に沿って北上し、ファイヤー通り〜岸記念体育会館と大回りしている。
三鷹線
三鷹線は、主に久我山駅と三鷹駅の間を人見街道経由で結ぶ路線である。永福町での出庫便の停留所は、車庫の入口の近くであり、中野駅行・方南町行の停留所とは異なる。乗客は久我山折返場で一度降ろされ、隣に停車中の三鷹駅南口行のバスへと案内される。中型車での運行が基本。
松ノ木線
松ノ木線は、永福町から松ノ木を経由して高円寺駅まで、杉並区を南北に縦断する路線である。もともと、昭和30年代に永福町 - 松ノ木町間の路線として京王単独で開通し、松ノ木住宅が終点の時代が長く続いた。2002年6月1日に高円寺駅まで延伸され、関東バス五日市街道営業所との共同運行となって今に至る。
この路線は道幅が狭く、松ノ木住宅発着時代から幅の狭い車両を使用していた。高円寺への延長にあたってはさらに狭い道路でのバス同士の擦れ違いが必要になるため、両社とも専用の小型車両を新規に導入している。
中野新橋線
- 中83:中野駅南口→紅葉山公園下→鍋屋横丁→中野新橋駅→東大附属→南中野地域センター→多田小学校→中野養護学校→南部高齢者会館→中野駅南口
- 中83(入庫):中野駅南口→紅葉山公園下→鍋屋横丁→中野新橋駅→東大附属→南中野地域センター→多田小学校→中野養護学校→南部高齢者会館(最終のみ)
- 中83(出庫):中野養護学校→南部高齢者会館→多田小学校→南中野地域センター→東大附属→中野新橋駅→鍋屋横丁→紅葉山公園下→中野駅南口(始発のみ)
中82・川島循環の廃止と同時に2005年9月16日に開設された路線である。
希望ヶ丘団地線
- 八01(下り):八幡山駅→松沢病院前→上北沢2丁目→八幡山1丁目→船橋交番北→希望ヶ丘団地→朝日新聞社前→船橋7丁目→希望ヶ丘団地
- 八01(上り):希望ヶ丘団地→朝日新聞社前→船橋7丁目→船橋交番北→船橋6丁目→八幡山1丁目→上北沢2丁目→上北沢公園→八幡山駅
八幡山駅とその南側にある希望ヶ丘団地を結ぶ短距離路線である。同団地には小田急バスが乗り入れ、小田急線駅との連絡を行っているが、京王線へのアクセス手段を望む住民の声にこたえる形で2001年10月に開業した。当初は調布営業所の受け持ちであったが、2005年12月に移管された。平日朝夕は10分ヘッド・日中は15分ヘッドで小型車の運行、深夜バスも運行される。土休日は終日30分ヘッドで中型車の運行。路線図上は起点付近・終点付近ともループ状になっているが、停車順は上記の通り。ループ部での起点・終点をまたぐ乗車はできない。
廃止路線
中新線
- 宿31:新宿駅西口 - 十二社池の下 - 本町三丁目 - (→下り)南中野地域センター/(←上り朝のみ)川島通 - 中野車庫
- 宿34:新宿駅西口 - 十二社池の下 - 本町三丁目 - 南中野地域センター - 中野車庫 - 佼成会聖堂前
新宿循環線
- 宿30:新宿駅西口 - 内回り循環 - 新宿駅西口
- 宿40:新宿駅西口 - 外回り循環 - 新宿駅西口
渋谷聖堂線
- 渋62:渋谷駅 - 佼成会聖堂前
参考文献
- 『BJハンドブックシリーズR62 京王電鉄バス・西東京バス』 BJエディターズ/星雲社、2007年9月1日、ISBN 978-4-434-10234-9