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聖ピオ十世会

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聖ピオ十世会
略称 SSPX
標語 Christus vincit, Christus regnat, Christus imperat
(キリストは勝利し給う、キリストは統治し給う、キリストは命じ給う)
設立 1970年
種類 カトリック司祭の団体
本部 スイスエコンの国際神学校
総長 ベルナール・フェレー
重要人物 マルセル・ルフェーブル — 創立者
ウェブサイト www.fsspx.org
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聖ピオ十世会 (せいぴおじゅっせいかい、ラテン語Fraternitas Sacerdotalis Sancti Pii X英語Society of St. Pius X、略称:SSPX) は、ローマ教皇庁から未認可のカトリック修道会である。フランスマルセル・ルフェーブル大司教によって1970年に創立された。

概説

特徴としては、典礼分野におけるラテン語使用の厳守とトリエント・ミサの執行の継続を唱え、1970年以降の典礼改革後の方式による典礼を行う現在のカトリック教会のあり方を認めていない。現在は構成員として、現在400名以上の司祭がメンバーに加わっており、ほかにも修道者修道女、信徒のメンバーたちがいるといわれる。(日本においては、この会に所属している神父は一名だけである[1]。)

1988年の司教聖別以来、この会に属する司祭達は離教状態にあるとされ、現在ローマ教皇庁によって「聖職停止」の処置を受けており、したがって、司祭であることには違いないが、ミサ洗礼などその仕事は禁止されている状態にある。したがって、教会法的には彼らの執り行う司式は違法であり、ミサは有効なものの告解結婚秘蹟は無効であるという説もある[2]

その一方で、聖職者省長官であったダリヨ・カストリヨン・オヨス枢機卿は、「聖ピオ十世会の司教、司祭、信徒は離教者ではありません。会の司祭と信徒達は破門されていません。彼等は異端者ではありません。」と発言している[3][4]

歴史

一般的な伝統主義カトリック運動の様に、聖ピオ十世会は第二バチカン公会議1962年1965年)に伴う変化への反対から生まれた。創立者及び中心人物は、アフリカでの宣教活動に長年従事したフランス人のルフェーブル大司教であり、彼は聖霊修道会の総長を1962年から1968年まで務めていた。1968年に修道会が憲章を改訂した時に、彼はそれを非カトリック的かつ現代主義的であると捉えて退任した。退任後、間もなくローマのフランス人神学生は彼に接近した。彼等は伝統的な教義への固執の為に迫害されていると語り、どこの保守的な神学校で学業を修められるか助言を求めたという[5]

スイスエコンにある聖ピオ十世会の神学校

神学生たちの相談に乗っているうちに、彼らをスイスで指導するようになった。やがてルフェーブル大司教に賛同した司祭たちとともに1970年に「聖ピオ十世会」を設立、信徒から寄進を受けてスイス南西部のエコン(Écône)に神学校を設立した。(ここは今でも同会の本部になっている。)

ルフェーブル大司教は修道会としての認可を求めて聖座と折衝していたが、同会が第2バチカン公会議の改革への批判を行っていたことが、まずフランスの司教たちから問題視され、やがて教皇庁との関係も悪化していった。1975年には同会をカトリック教会内の団体とは見なさないという決定がローマで下され、1976年5月には教皇パウロ6世がルフェーブル大司教を公式に叱責する事態となった。(教皇による司教の公式な叱責は200年ぶりのことであった。)

1988年6月30日、ルフェーブル大司教は聖座の認可なく会所属の四名の司祭を司教に聖別した。ブラジルのカンポ・ドス・ゴイタカセスの引退した司教であるアントニオ・デ・カストロ・メイヤー師も聖別式に補佐した。教皇の許可なく叙階を行うことは教会法で破門に値する行為であるため、教皇庁は事態を重く見た教皇ヨハネ・パウロ2世は使徒的書簡「エケレジア・デイ」(神の教会)を発布して大司教の無認可叙階を非難した。

しかし、同会と教皇庁との対話は継続されており、2009年1月には教皇ベネディクト16世が1988年の聖別式に宣告した聖ピオ十世会に所属する司教の破門を取り消し、全メンバーが教会と完全な一致に速やかに戻るという期待を表明した[6][7]

2009年6月、同会のメンバーであるドイツ人司祭フランツ・シュミットバーガー神父は、オプス・デイと似たような属人区を目指していると語った[8]

また、この団体は四司教の破門解除後の2009年6月、米国で13名の司祭を教皇庁の反対を押し切って叙階しており、対してローマ教皇庁は「今回の叙階を正当なものとは認めない」とコメントし、また現地カトリック・ウイノナ教区の報道官は、「「教理上の問題がはっきりしない限り」、ピオ十世会はカトリック教会の中で法的地位がなく、叙階は有効ではない」とコメントしている[9]

日本での聖ピオ十世会

日本では司祭である小野田圭志が、アジア管区長の任命により担当司祭となっている。彼はこの団体の日本での唯一の司祭であり、司式、会運営にあたって、教会堂など独自の施設は一切保有しておらず、ミサの毎に公共、民間の施設を借りる形で活動している[10]。 また「新しいミサ」への参加は推奨せず、できるだけ参加しないようにと呼びかけている[11][12]

脚注

  1. ^ 小野田圭志司祭のコメントより
  2. ^ 1999年、教皇立委員会エクレジア・デイ 教皇立委員会前長官カミーユ・ペルルの手紙
  3. ^ Die Tagespost - Die alte Messe steht fur die Vielfalt des Guten
  4. ^ For the record - Castrillón:"The Bishops, Priests, and Faithful of the SSPX are not schismatics."
  5. ^ The Wanderer Interviews Fr. Aulagnier, SSPX, Luc Gagnon, September 18, 2003
  6. ^ Pope lifts excommunications of Lefebvrite bishops
  7. ^ Pope Benedict lifts excommunication of bishops ordained by Lefebvre
  8. ^ “IMPORTANT INTERVIEW: "Similar to Opus Dei?" Schmidberger responds: Somewhat.”. Rorate Caeli. (2009年6月25日). http://rorate-caeli.blogspot.com/2009/06/similar-to-opus-dei-schmidberger.html 
  9. ^ 「『聖ピオ十世会』が13人叙階、バチカンの警告無視」クリスチャントゥデイ
  10. ^ 同司祭のコメントより
  11. ^ 同司祭のコメントより
  12. ^ 同司祭のコメントより

外部リンク

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