キングダム ハーツ シリーズ
キングダム ハーツ シリーズ | |
---|---|
ジャンル | アクションRPG |
開発元 | スクウェア・エニックス |
発売元 | スクウェア・エニックス |
主な製作者 | 野村哲也 |
1作目 |
キングダム ハーツ (2002年3月28日) |
最新作 |
キングダム ハーツ Re:コーデッド (2010年10月7日予定) |
公式サイト | スクウェア・エニックス公式 |
キングダム ハーツ シリーズ(KINGDOM HEARTS series)は、スクウェア・エニックス(旧スクウェア)が発売しているアクションロールプレイングゲームのシリーズである。
概要
ディズニーとスクウェア・エニックスのコラボレーション作品であり、タイトルロゴの上部には「Disney SQUARE ENIX」(実際には両者の間に鍵マークが入る)と記されている[1]。同社の他作品に比べ2002年から展開された比較的歴史の浅いシリーズだが、世界的にも人気は高く、2010年3月現在の累計出荷本数は1550万本を突破している[2]。スクウェア・エニックスは本シリーズを『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』と合わせ、「三本の柱」と位置づけている[3]。
ディレクターは野村哲也で、それまで主にキャラクターデザインを担当していた彼にとっては本シリーズの1作目が初めてのディレクション作品となった。また野村はそれ以外にも企画立案、シナリオ原案、コンセプトデザイン、キャラクターデザイン等を手がけている。
字面での略称は「KH」だが、「ドラクエ」や「エフエフ」のような口頭での略称は定まっておらず、略さず「キングダム ハーツ」と呼ばれる場合も多いようである。一部のユーザー間では「キンハ」「キンハー」などの略称も存在しているが、いずれも定着しているとまでは言い難い。
開発の経緯
事の発端は『FFVIII』の開発中で、当時スクウェアはウォルト・ディズニー・ジャパンと同じビル(アルコタワー)に入っており、橋本真司がエレベーターの中でディズニーの幹部からゲームの共同制作を持ちかけられたことから始まった[4]。話を受けた橋本が坂口博信とゲームの方向性についての話し合いをしている時、その席にたまたま野村も居合わせていた[5]。もともと野村がデフォルメキャラでのアクションゲームを考案していた中で舞い込んだ話であり、またディズニーのキャラクターは世界中で有名なのにも関わらず、ゲームにおけるディズニーオリジナルの作品はまだ誰も開拓できていないという思いが野村にはあった[6]。そこで自分の持つゲームの構想とディズニーを合わせれば今までになかったものが出来ると考え、野村が自ら手を上げたことからプロジェクトが始まった。それから一年間、一人でこつこつと企画やゲームデザインを進めていったという[5]。
「キングダム」には“ディズニーらしいイメージ”と“自分たちが一から王国を作る気持ち”という意味合いが込められており、この名称での発売が予定されていたが、「キングダム」はすでに商標に登録されていたためそのまま使用することはできなかった。そこで作品中でも重要な「心(ハート)」を語呂を良く複数形の「ハーツ」にした上で付け足し、現在の名称に決定した[5]。
シリーズ作品一覧
シリーズ作品を以下に記述する。「ファイナル ミックス」と付いたタイトルは北米版をベースに新要素が追加されたもので(『FF』における「インターナショナル」に該当)、「Re:」と付いたタイトルはリメイク作品である。また、「*」印は廉価版「アルティメットヒッツ」が発売していることを示す。
- キングダム ハーツ* (2002年3月28日発売、PS2)
- キングダム ハーツ ファイナル ミックス* (2002年12月26日発売、PS2) - ここまでスクウェア発売
- キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ* (2004年11月11日発売、GBA) - ここからスクウェア・エニックス発売
- キングダム ハーツ Re:チェイン オブ メモリーズ (キングダム ハーツII ファイナル ミックス+に同梱、PS2)
- キングダム ハーツII* (2005年12月22日発売、PS2)
- キングダム ハーツII ファイナル ミックス+* (2007年3月29日発売、PS2)
- キングダム ハーツ 358/2 Days (2009年5月30日発売、DS)
- キングダム ハーツ コーデッド (2009年6月3日第1章配信、携帯電話)
- キングダム ハーツ Re:コーデッド(2010年10月7日発売予定、DS)
- キングダム ハーツ バース バイ スリープ (2010年1月9日発売、PSP)
- キングダム ハーツ バース バイ スリープ ファイナル ミックス(2011年1月予定、PSP)
- キングダム ハーツ 3D(仮称) (発売日未定、3DS)
これらとは別に、アメリカの携帯電話事業者ベライゾン・ワイヤレスが提供するサービス「V CAST」向けの『キングダム ハーツ』が2005年2月4日に発売されている(日本未発売)。しかし野村は「これはディズニー単独で開発されたもので、本来の『KH』とは全く関係ない別物」と語っている[7]。
シリーズの時系列
シリーズ作品は全て短い期間で繋がった同一の世界観における物語であり、時系列順に並べると以下のようになる。
- キングダム ハーツ バース バイ スリープ - キングダム ハーツの10年前
- キングダム ハーツ
- キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ - キングダム ハーツのエンディング直後
- キングダム ハーツ 358/2 Days - キングダム ハーツの終盤と同時期に開始、キングダム ハーツIIまでつながる1年間
- キングダム ハーツII - キングダム ハーツのおよそ1年後、358/2 Daysのエンディング直後
- キングダム ハーツ コーデッド - キングダム ハーツIIのエンディング後
ゲームの特徴
- ゲームジャンルと特徴
- 本シリーズはゲームジャンルとしてはアクションRPGに分類される。自分でキャラを直接操作して進行するアクションゲームに、敵と戦い経験値を貯めてレベルアップするRPGの要素を加えており、3D(『COM』のみ2D)の空間でプレイヤーキャラクターを操って移動・戦闘を行うのがシリーズ全般に共通した特徴である。なお、これはディレクターの野村が『スーパーマリオ64』に衝撃を受け、そこから発想を得たものであると度々語っている[8]。
- 本シリーズのファン層の年齢は『FF』シリーズより幅広く、性別においても普段ゲームを触らないような女性が多いことが明かされており、それほど難しい操作は要求しない。『KHFM』から実装された難易度選択や、ゲーム終盤やクリア後に現れる非常に強く設定された隠しボス、到達するのにかなりのやり込みを要するシークレットムービーなど、初級者から上級者まで楽しめるよう配慮された設計となっている。
- ゲームの進行とストーリー
- 主人公が様々な世界(ワールド)を訪れ、敵を倒して事件を解決することで物語が進んでゆく形式はシリーズのどの作品においても共通している。この「ワールド」とは基本的にはディズニー作品をモチーフにしたマップであり、各作品はそれぞれ異なるワールドに分かれている。このように本シリーズはいわゆるクロスオーバーの要素を大きく含んでいるが、他のクロスオーバー作品で多く見られるように登場人物が一堂に集結するといったことはないという特徴がある(これはディズニー側からの要請の一つであったという[9])。
- ディズニーの世界では各作品に沿ったストーリーが進んでいくが、シリーズオリジナルのストーリーはダーク性も含むシリアスな世界観で展開されてゆく。開発当初のストーリーはシンプルなものが予定されていたが、「これは『FF』を遊ぶ層を考慮しないと失敗する」という坂口の一声でシナリオの路線を変えることとなった[5]。
- バトルの特徴
- 簡単な操作と派手なバトルが大きな特徴。通常のバトルはプレイヤーキャラクターがマップ上の一定位置に踏み込むと敵のパーティが出現する形式で、『COM』以外の全ての作品で採用されている。この出現する敵の種類や数、強さはシナリオの進み具合などによって固定されている。マップ画面とバトル画面の切り替えは存在せず、移動中に現れた敵とそのまま同じマップで戦闘する「エンカウント性のあるアクションゲーム」とでもいうべきスタイルが採用されている。どの作品もコマンドアイコンが画面の左下に表示されており、武器で攻撃する「たたかう」や、魔法を使用する「まほう」などのアイコンの中から行動に移したいものを選択する。戦闘システムの細部は作品によって異なるため、詳細は各作品の記事を参照のこと。
- プレイヤーのパーティ
- プレイヤーキャラクターは作品によって異なるが、『KH』『KH2』ではプレイヤーキャラクターであるソラの他に、NPCのドナルドとグーフィーが加わった三人パーティで行動する。また、特定のワールドでパーティに加えることのできるNPC(ピーターパンやアラジンなど)も存在し、その場合はNPCを三人の中から二人選んでパーティを組む。NPCはマップの移動中はソラの後をついてきて、戦闘中は各自の判断で行動するのだが、これらの行動パターンはスタートメニューからある程度のカスタマイズが可能である。
- 『358/2Days』ではミッションによってXIII機関のメンバーが同行し、プレイヤーキャラクターのロクサスをサポートする。『BbS』は常に仲間になるキャラクターはいないが、特定のバトルで一時的にNPCがパーティに編入されることがあり、協力技なども使用可能。
- FFシリーズとの関係
- 『FF』の魔法やアイテム、キャラクターが登場することから本シリーズが『FF』のスピンオフと捉えられることもあるが、誤りである。FFシリーズのキャラクターはあくまでゲストとしての出演であり、設定はそのほとんどが元の作品から変更されている。作中でどうしてもディズニーキャラを当てはめられない役や、その役のためにオリジナルキャラを作ってもディズニーキャラよりインパクトが小さくなってしまう役が出てくる場合があり、第1作でのFFキャラはそういう役に当てはめて登場させるという位置づけだったが[5][10]、『KH2』からは役割に関わらずユーザーからの要望が多かったキャラが登場するようになった[11]。ただし、出演にそういった事情があるため、必要な状況でなければFFキャラを出す必要がないとも野村は考えている[10]。
音楽
主題歌にはシリーズで一貫して宇多田ヒカルが起用されている。この楽曲提供については、野村の「『KH』には宇多田ヒカルしか考えられない」という強い思いからのオファーがあったことが関係している。無理を承知で送ったオファーだったが、宇多田本人がディズニーやゲームを好きであったこともあり、野村の意に反して交渉はスムーズに進んだという[5]。楽曲は国内版では日本語歌詞のものが、海外版と『ファイナル ミックス』では英語歌詞のものが使用されている。
ゲーム中のBGMの作曲は下村陽子が担当している。登場するワールドではフィールド移動中とバトル中のそれぞれにBGMが用意されており、ワールドごとに豹変する楽曲も本シリーズのバラエティ感を盛り上げる要因となっている。また作品の性質上、ディズニー作品で使用された楽曲をゲームのBGMに用いているケースもいくつかある。ゲーム中のオーケストラアレンジはすべて和田薫によるものである。
- 主題歌
- 『光』:KH、COM、Re:COM、BbS、Re:coded
- 『Simple And Clean』:KHFM
- 『Passion』:KH2、358/2Days
- 『Sanctuary』:KH2FM
- サウンドトラック・関連CD
- 『キングダム ハーツ オリジナルサウンドトラック』
- 『キングダム ハーツII オリジナルサウンドトラック』
- 『キングダム ハーツ オリジナルサウンドトラック コンプリート』
- 『drammatica -The Very Best of Yoko Shimomura-』 - KHシリーズの曲が4曲収録されている
- 『Piano Collections KINGDOM HEARTS』
- 『Piano Collections KINGDOM HEARTS Field & Battle』
これまで登場したディズニー・FF作品
ディズニー作品は第1作の『KH』、それを追う形となる『COM』では長編アニメ作品の登場が多く、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』だけがストップモーション・アニメだった。しかし、『KH2』からは実写作品である『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『トロン』、モノクロ作品の『蒸気船ウィリー』、キャラクターだけだがCGアニメの『チキン・リトル』など、様々なジャンルの作品が登場するようになった。
FF作品は『KH』『COM』では野村がキャラクターデザインを務めた作品のキャラのみの出演だったが、『KH2』には彼がデザインをしていない『FFVI』や『FFIX』のキャラが出演した。それまではファンの間で「権利関係上で野村がデザインしたキャラしか使えないのでは?」という憶測が立っていたが、野村はこれを明確に否定し「自分がデザインをしていないとそのキャラを熟知できていないから出し辛かっただけで、『KH2』では少し冒険してみた」と語った[12]。またFF作品のキャラクターは本来、KHオリジナルキャラクターとディズニーキャラクターとの緩衝材として登場させていたが、XIII機関のようなオリジナルキャラクターが出揃い、彼らとディズニーキャラクターのみで物語を描ける算段が付いた事から、これからの出演は控えめに行っていく旨が語られている[10]。
以下の並びは基本的に年号順とする。ディズニー作品はワールドとして登場したものにはW、キャラクターのみが登場したものにはC、未登場には×を付記する。FF作品は全てキャラクターのみの登場のため、登場したものに○、未登場のものに×を付記する。
作品名 | KH1 | COM | KH2 | 358/2 | coded | BbS |
---|---|---|---|---|---|---|
蒸気船ウィリー | × | × | W | × | × | × |
白雪姫 | C | × | × | × | × | W |
ピノキオ | W | W | C | × | C | × |
ファンタジア | C | × | C | × | × | C |
ダンボ | C | C | × | × | × | × |
バンビ | C | C | × | × | × | × |
シンデレラ | C | × | × | × | × | W |
ふしぎの国のアリス | W | W | × | W | W | × |
ピーター・パン | W | W | C | W | × | W |
わんわん物語 | C | × | × | × | × | × |
眠れる森の美女 | C | C | C | × | C | W |
101匹わんちゃん | C | × | × | × | × | × |
王様の剣 | C | × | C | × | × | C |
くまのプーさん | W | W | W | × | × | C |
トロン | × | × | W | × | × | × |
リトル・マーメイド | W | W | W | × | × | × |
美女と野獣 | C | C | W | W | × | × |
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス | W | W | W | W | × | × |
アラジン | W | W | W | W | W | × |
ライオン・キング | C | C | W | × | × | × |
ヘラクレス | W | W | W | W | W | W |
ムーラン | C | C | W | × | × | × |
ターザン | W | × | × | × | × | × |
リロ・アンド・スティッチ | × | × | C | × | × | W |
パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち | × | × | W | × | × | × |
チキン・リトル | × | × | C | × | × | × |
ファイナルファンタジーVI | × | × | ○ | × | × | × |
ファイナルファンタジーVII | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
ファイナルファンタジーVIII | ○ | ○ | ○ | × | ○ | × |
ファイナルファンタジーIX | × | × | ○ | × | × | × |
ファイナルファンタジーX | ○ | ○ | ○ | × | ○ | × |
ファイナルファンタジーX-2 | × | × | ○ | × | × | × |
世界観
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
世界
『KH』シリーズには「星の大海」または「異空の海」と呼ばれる、宇宙に相当する広大な空間がある。この星の大海で光る星の一つ一つが「ワールド」であり、ディズニー作品をモチーフとしたワールド、シリーズオリジナルのワールドなど、様々な世界が点在している。世界同士はそれぞれが「グミブロック」という壁で隔てられており、本来は外界からの訪問者を寄せ付けることはない。しかし、壁が崩れた状態の世界、またはキーブレードが開いたゲートに導かれた世界であれば、グミブロックの欠片で作られた船「グミシップ」でその世界に来訪することが可能となる。この他にも闇の回廊やキーブレードライドなど、グミシップを使用しなくても別世界へと渡る手段はいくつか存在する。こうした場合、世界同士が互いに必要以上に干渉しあえば、秩序を乱すこともありえるので、その世界や住民達に合わせた言動を必要最低限は取らなければならない。これらの理由によって大抵の世界に住む人々は、自分達の住む世界とは異なる世界があることを知らないが、このことを理解している世界と住人もわずかながら存在する。
さらに大きな区分として、「光の世界」「闇の世界」「狭間の世界」がある。先述したのは「光の世界」で、これを平面状の空間として見た時、その裏側の階層に存在しているのが「闇の世界」とされている。「闇の世界」の全容はシナリオ上ではほとんど明かされておらず、膨大な数のハートレスが生息していること、「光の世界」とは時間の流れにズレが生じており、この世界にいる者の時間の体感速度も普通より遅い[13]こと以外は依然として謎に包まれている。そして、この二つの階層の間に階段のように連なっているのが「狭間の世界」である。この世界にも街や住民などが存在するため、一見すれば「光の世界」と大差無いように思えるが、光と闇の双方の世界と違い、比較的不安定な位置にあるため、稀に闇の回廊がひとりでに開き、別世界の住人が弾き出されることがある。
「闇の世界」は、「光の世界」や「狭間の世界」のようにキーブレードライドやグミシップなどでの往来ができない為、闇の力を持たない者(闇の回廊を開く事ができない者)が「闇の世界」に入り込んだ場合は、元の世界に戻る事はほぼ不可能に近い。ゼアノートレポートによると『Bbs』の時点では「闇の世界」に入って戻って来た者はいなかったらしく、禁断の地とまで言われていた。『KH』のエンディングでリクと王様は「闇の世界」に取り残されてしまったが、『COM』ではリクは闇の力を持っていた為に「闇の世界」から抜けて忘却の城に辿り着き、王様はXIII機関が忘却の城に繋げていた闇の回廊を通って帰還した。また『KH2』でもソラとリクが「闇の世界」に迷い込んでしまったが、カイリの手紙によって光の扉が開き、デスティニーアイランドへ帰還した。
「扉」と「鍵穴」
人が心を持つように、全ての生命には心があり、それは世界も例外ではない。世界の心は「扉」と「鍵穴」によって守られており、扉が開けば世界を守る壁が崩壊し、外界からの危機を招き入れる危険性をはらんだ状態となる。この状態となって現れた鍵穴が壊され、心が奪われれば、その世界は闇に飲み込まれて消滅してしまう。この扉は闇の力を持つ者とキーブレードを持つ者にしか開けることができず、一度開いた扉を閉じるにはキーブレードで鍵穴を閉じるしかない。
『KH』ではアンセムによってすでに全ての世界の壁が崩れた状態だったため、グミシップで自由に世界を行き来することができた。心を失って消滅した世界は、ソラがアンセムを倒して闇の扉を閉じることで再生し、別世界に迷い込んだ住人や闇に飲まれて消えていった住人たちも元の世界に戻った。そのため『KH2』では世界を守る壁も修復しており、以前の道を通ることができなくなったが、代わりに世界そのものがハートレスとXIII機関の脅威に対抗するため、ソラたちに新たな道を用意し、キーブレードによって導かれた世界に来航できるようにしてくれたおかげで、再びグミシップで自由に世界を渡り歩くことができるようになった。
キーブレード戦争
伝説に残る、キーブレードの使い手同士が繰り広げた戦争。かつてキーブレードの使い手はあらゆる世界に数多く存在し、また世界を隔てる壁もなく世界中に光が溢れていた。しかし大いなる光の心・キングダムハーツを手に入れようと光の奪い合いが始まり、人々の心に闇が生まれた。キーブレードの使い手たちの様々な思惑から戦火は拡大し、戦いに参加していなかった世界も巻き込んでいき、その結果ほとんどのキーブレード使いが命を落とし、全ての世界は闇に覆われてしまった。そしてわずかに残った心の光から今の世界が誕生し、二度とこのような争いが起こることのないよう世界は壁によってそれぞれ隔てられ、キングダムハーツはそれぞれの世界に存在する7つの純粋な光の心がなければ近付くことができなくなった。これが『BbS』でマスター・ゼアノートが語ったキーブレード戦争の言い伝えである。カイリの祖母がカイリに聞かせていたおとぎ話はこれと類似している点が多く、別の形でのキーブレード戦争の伝承とも考えられる。また、マスター・ゼアノートが「キーブレード戦争を再来させれば世界を再編できるのではないか」と語っていたように、この伝承は現在判明している部分の他に様々な仮説が推測されるが、その詳細に関しては明確な記録が少ないため、現時点では不明である点が多い。
キーブレード戦争の戦場となった荒野には、未だにおびただしい数のキーブレードが見渡す限り突き刺さったままとなっている。まるで彼らキーブレード使いの眠りを守るかのような光景から、その地は後に「キーブレード墓場」と呼ばれるようになった。
登場キャラクター
主なキーワード
物語に関連するキーワードを記載する。
キーアイテム
物語の中で重要な役割を果たすアイテム。
- キーブレード
- 選ばれし勇者だけが使うことができる、鍵状の刀身を持つ伝説の武器。誰にでも使えるものではなく、持つ資格がある者の心の数だけ存在するのだが、その条件については現在は「心が強い者」としか明らかになっていない。またキーブレード自体に善悪の区分はないため、資格を持っていれば闇の勢力の者でも扱うことができる。
- キーブレードを使えるようになるためには、キーブレードマスターのキーブレードに触れるという「継承の儀式」を行なう必要がある。この時、資格が無い者であれば自動的に持ち主の手元に戻るが、資格のある者はそうはならず、相応の力があればキーブレードが使い手としてその者を選び、いずれ目の前に現れる(テラはキーブレードマスターではないが、マスター相応の力を備えている為、リクに「継承の儀式」を行えた)。リクやカイリ、テラやヴェンやアクアも全員儀式を経ているが、ソラだけは「継承の儀式」を行なっていないにも関わらず、キーブレードを扱うことができる。『358/2』に登場するシオンもキーブレードを使えるが、それはロクサスの能力をコピーして得たもので、能力が同じだけの偽物である。
- 『BbS』から『KH2』に至るまでキーブレードの所有者は十数名程度しか登場しないが、伝説に残る「キーブレード戦争」ではかつて世界中にキーブレード使いが存在しており、その戦争でほぼ全てのキーブレード使いが命を落としたという言い伝えがある。このように全貌は現状ではまだほとんど明かされておらず、『KH』シリーズを象徴するアイテムであるのと同時に、もっとも大きな謎の一つであると言える。
- ハートレスやノーバディ、アンヴァースのような存在に対して絶大な威力を持つ。「ブレード」と名は付いているが、その多くは斬るというより打撃のような攻撃を行う。その他にも魔法や魔力を集中させて攻撃力を高めたり、魔力を凝縮した攻撃を放つことができる。また有資格者の力が増すと、両手から離れて意思を持つように動く(ソラ・ファイナルフォーム)、ムチや弓矢、大砲にまで自在に形を変える(テラ/留まりし思念)、乗り物に変形させて星の大海を渡る「キーブレードライド」(テラ・ヴェントゥス・アクア)といった様々な能力を見せつける。また、マスター相応の力を持つ者は心の扉を開けて心を取り出すことすらも可能である。
- また、キーブレードは本来一人につき一本しか使えないはずなのだが、身体の中に自分を含むキーブレード使いの心が複数存在するという特殊な条件で複数使用することが出来る。ソラ、ロクサスは二本使うことが出来、二刀流になれる。
- 世界中のあらゆる鍵を自由に封印・解放できる力を持っており、その力を厭うハートレスや、またそれを利用しようとするXIII機関に狙われている。またもう一つの能力としてハートレスを倒すと、闇に飲まれてハートレス化した心を元の姿へ帰すことができる。ただし、心を抜かれた身体がノーバディになっている場合は、ノーバディと化したその身体が第三者によって倒されるまで心は浮遊状態となり、元の姿には戻ることはできない。なお、元の姿に戻った者は、自分のもともと存在していた世界に跳ばされるため、ゲーム中に倒したハートレスが元の姿に戻る描写はない。
- 根元にキーチェーンを付けることができ、キーチェーンを付け替えることにより姿形や能力ががらりと変わり、中にはまったく鍵の意匠を残さないものもある。普段は実体がないが必要時には所有者の意思に応じてその姿を顕現させ、離れた位置や他者の手の内にあっても自在に手元に戻せるため、奪われたりすることはない。
- キーブレードの系統
- 主に3つの系統に分かれる。まず「世界の心のキーブレード」と呼ばれる内の、光の世界のキーブレードと闇の世界のキーブレードがあるが、これはその名の通りどちらの世界で入手したものかという、内鍵と外鍵程度の違いでしかなく、能力の差異はない。
- 3つ目の系統「人の心のキーブレード」は、セブンプリンセスの「7つの純粋な光の心」を集約させて完成する人工的なキーブレードであり、これを用いることでキングダムハーツの扉を開けることができるという。これはキーブレード戦争の後に誕生したもので、本来ならこのキーブレードがなくてはキングダムハーツには辿り着けないという。
- そしてこれらと異なる系統として「χ(キー)ブレード」が存在する。読み方は同じだが、先述した3系統のキーブレードとは似て非なる存在であり、終局・死を意味するχ(キー、またはカイと読む。物語中では小文字準拠)の文字を用いて表記する。純粋な光の心と純粋な闇の心、この二つの心が均等な力でぶつかりあった時にχブレードは生まれ、同時に全ての世界の心をつないだキングダムハーツが完成する。かつてχブレードが全ての世界の鍵穴を開放して世界は一つになり、χブレードが生まれたことにより完成した真のキングダムハーツを求めてキーブレード戦争が勃発したと伝えられている。
- さらに『KH』と『BbS』でキーブレードは人工物でχブレードを真似た存在と言われている。
- キングダムハーツ
- 「世界の中心」「大いなる心」「王国の心」とも呼ばれる、心の集合体。アンセムは「世界の心がつながり、全ての心が帰る場所」と推測しているが詳細は不明で、またその性質によって形は一定ではない。本シリーズのタイトルにもなっているように劇中では重要な位置を占めており、敵となる存在が何度も完成を目論んでは主人公たちに阻止されてきた。
- 『KH』には、「世界の心のキングダムハーツ」が登場した。このキングダムハーツはハートレスが奪った世界の心で構成されており、光の世界と闇の世界をつなぐ「闇の扉」を作り出すためのものであった。闇の存在のみを通すこの扉を開けば、闇の世界から強大な闇が流出して光の世界は闇に包まれてしまう。アンセムはマレフィセントらヴィランズの影で暗躍し、ハートレスを使って数々の世界を闇へと飲み込んでいった。そしてセブンプリンセスの心から作り出した「人の心のキーブレード」で闇へと通じるホロウバスティオンの鍵穴を開放し、キングダムハーツに至ろうとしたが、キーブレードが未完成のためそれが成就することはなかった。アンセムは闇の中心であるエンド・オブ・ザ・ワールドでキングダムハーツへと続く闇の扉を開き、光の世界のすべてを暗黒に包もうとした。しかし、闇の奥に光があると信じたソラの言う通り、扉の向こうから光が射し込み、光に触れた彼は消えていった。
- 『358/2』『KH2』では、XIII機関が「人の心のキングダムハーツ」を作り出そうとしており、指導者のゼムナスを始めとするXIII機関はこれと融合して完全な存在になろうとしていた。人の心のキングダムハーツは、本来ハートレスがキーブレードで倒されることによって元の姿へと戻る心を奪い、一箇所に結集させることで完成するもので、これにより心が帰るべき場所を失い、世界に悪影響を及ぼしていた。XIII機関の本拠地である「存在しなかった世界」の空に、ハート型の月の形で浮かんでいる。「人の心のキングダムハーツ」はあくまでXIII機関が作り出した人工物であり、真のキングダムハーツではない。ソラたちの冒険によって完成直前まで至るが、賢者アンセムの作った装置により分解され、ゼムナスは分解されたキングダムハーツと融合してソラたちを葬ろうとするが、ソラとリクの前に敗れて消滅した。
- 『BbS』でマスター・ゼアノートが呼び出そうとしたのは「全ての世界の心が集約されたキングダムハーツ」で、これはχブレードの完成と同時に現れるものである。前記の「世界の心のキングダムハーツ」と同じように世界の心で作られたものだが、世界を崩壊させて人為的に集められた前者と違い、こちらは完成型のキングダムハーツそのものであるという。マスター・ゼアノートは周到な計画によって伝説のキーブレード戦争を再来させ、さらにテラの体を乗っ取ることで老いた体を捨て去り、その先に待つ未来を見届けようとした。χブレードが完成したことでその野望が果たされようとしていたが、テラ・ヴェントゥス・アクアの絆の力の前に計画は頓挫する事となった。
- キーブレード戦争では多くのキーブレード使いが「全ての世界の心が集約されたキングダムハーツ」を求めて争ったと言われている。戦争を経て世界が隔離された現在では、キングダムハーツに近付くには各ワールドに存在するセブンスプリンセスの心を集め、「人の心のキーブレード」を作り世界の扉を開かなければならないという仕組みとなっている。そこでマスター・ゼアノートはキーブレード戦争の発端となった「χ(キー)ブレード」があれば、セブンスプリンセスの心を集めなくともキングダムハーツを手に入れることができるという結論に達した。
世界
「星の大海」や「異空の回廊」に存在する、物語の舞台となる主な世界。
- デスティニーアイランド
- ソラとリクの故郷で、のどかで平和な南国風の世界。また、マスター・ゼアノートもかつてはこの世界の住人であった。カイリはかつてゼアノートによりレイディアントガーデンからこの世界に飛ばされてソラ達と出会った。ソラ達が住む本島の他に彼らが遊び場として利用している離れ小島があり、ソラとリクとカイリはここで外の世界に行くためのいかだを作っていた。3人が秘密の遊び場としている洞窟には、この世界の「扉」と「鍵穴」が存在しており、鍵穴は幼い頃にキーブレードの資格をテラから継承していたリクにしか見えていなかった。本島と離れ小島だけの小さな世界で、ゼアノートは「何もない牢獄のような世界」「海に囲まれた牢獄」と称している。
- この世界に古くから伝わる言い伝えで、星型をしている「パオプの実」を食べさせあった二人は永遠に結ばれると言われ、またその実を模して昔の船乗り達が旅の無事を祈って身に着けていた「サラサ貝」で作ったお守りを身に着けていれば、どこにいても仲間と必ず再会できると言われている。カイリとアクアはこの言い伝えを聞いて仲間達とずっと一緒にいられるようにそれぞれ「約束のお守り」「つながりのお守り」を作ってソラ、ヴェン、テラに渡した。
- 『KH』の時期にソラ達が外の世界への準備を進めていく中で、その日の夜にリクが扉を開いたことで一度島は崩壊し、ソラがダークサイドを倒した直後に消滅した。ソラ達がゼアノートを倒した事で元に戻り、カイリはここでリクとミッキーを探しに行ったソラ達を待ち続け、紆余曲折を経て彼らと再会した。
- ディズニーキャッスル&ディズニータウン=タイムレスリバー
- 王様・ドナルド・グーフィー達の故郷。王様が治める「ディズニーキャッスル」、城下町には「ディズニータウン」という、見た目もにぎやかな町がある。ディズニーキャッスルが建設される前は「礎の丘」と呼ばれるのどかな草原地帯で、丘の脇を流れる川には当時ピートが船長を勤めていた「ウィリー号」があり、かつてミッキーもそこで働いていた。
- ディズニーキャッスルは謁見室の地下に納められている、闇を払う力を持つ「光の礎」の力によりハートレスなどの外界からの脅威から守られ平和を保ってきたため、世界全体の平和の象徴とされている。城内にある中庭の地下には、グミシップの格納庫があり、チップとデールはここで船(グミシップ)の開発と整備を行い、通信でソラ達の航行のサポートをしていた。
- ディズニータウンでは毎年「ドリーム・フェスティバル」と言う街を挙げての祝祭が開催され、様々な催し物が出展される。そのメインイベントである「ミリオン・ドリーム・アワード」では、それぞれが誰かの人気者である事を気付かせるという主旨の下に、人気投票により街一番の人気者を決め、その受賞者に賞品が授与されてきた。
- 『BbS』ではテラ、ヴェントゥス、アクアがそれぞれスクルージから貰ったチケットで、ドリーム・フェスティバルが行開催されていた頃のこの街を訪れ、トラブルを解決した功績からミリオン・ドリーム・アワードの受賞者に選ばれ、賞品である自分だけのオリジナルアイスを受け取った[14]。
- トラヴァースタウン
- アンセムが差し向けたハートレスによって「鍵穴」が開かれ、闇へと失われた世界の欠片によって作られた狭間の世界。住んでいた世界が消滅した時に「闇の回廊」を通って流れ着いた者たちが街を作り、身を寄せ合うように暮らしている。常に夜の暗闇に包まれており、1番街から3番街まであるが、1番街以外はハートレスが出現する危険区域となっている。
- かつてレイディアントガーデンを追われたシドが、幼いレオンたちを連れて逃げ込んだのもこの世界で、ソラたちがマレフィセントを倒すまではトラヴァースタウンで暮らしてきた。また、『KH』では王様はトラヴァースタウンに出現した「闇の回廊」から闇の世界に入り、デスティニーアイランドが崩壊した後にソラが「闇の回廊」を通って流れ着いた。その直後にドナルドとグーフィーに出会い、以後ソラたちの冒険の拠点となる。『KH』のエンディングで失われた世界が元に戻った為、それ以降の作品では消滅している。
- ホロウバスティオン = レイディアントガーデン
- かつて、賢者アンセムが治めていた光の世界で、カイリとレオン(スコール)達の故郷でもある。かつて、人間だった頃のアクセル(リア)とサイクス(アイザ)もこの世界で暮らしていた。賢者アンセムの城には後にゼアノートが作ったハートレス製造装置と実験施設と闇の世界に通じる鍵穴、謎の鎧とキーブレード(両方ともアクアの物)が収められている「眠りの部屋」とそれらを含めるレイディアントガーデンのシステムを一手に管理するコンピューターが存在する。コンピュータープログラム内には全てのシステムを管理する人型のプログラム達が住まう電脳空間「スペース・パラノイド」が存在し、その中にあるデータエリア「DTD(「Door To Dearkness(闇の扉)」の略称)」には賢者アンセムの研究資料などのデータが収められており、パスワードを入力すればそれらを調べる事ができる[15]。
- 本来は賢者アンセムの尽力もあり、人々が平和に暮らす、まさに「レイディアントガーデン(輝ける庭)」の名に相応しい楽園のような世界だったが、ゼアノートが師であった賢者アンセムを追放した後に呼び寄せたハートレスに襲撃され、賢者アンセムの研究に目をつけたマレフィセントに乗っ取られた結果、「ホロウバスティオン(虚ろなる城)」と呼ばれる荒廃した世界へと変貌してしまった。『KH』でのアンセム(ゼアノートのハートレス)との決戦の後に住民達が戻り、『KH2』の時点では帰郷したレオン達「ホロウバスティオン(レイディアントガーデン)再建委員会」と住民達の手によって大部分が復興された。その後も管理プログラムのMCPの暴走や、ハートレスとノーバディ、そしてXIII機関の襲撃など、数々の危機に見舞われたが、ソラ達の協力でそれらを乗り越えた末に平和を取り戻し、この街の本来の名前を取り戻している。
- エンド・オブ・ザ・ワールド
- ハートレスによって失われた世界の破片で作られた世界。世界の中心に存在し、多くのハートレスが生息している。失われた世界を閉じ込めている「世界の牢獄」があるが、その中にはまだ闇に飲まれていない筈の世界の断片も見え隠れしている。最下層には闇の世界に通じる「闇の扉」がある。ソラたちがアンセムを倒し失われた世界が元に戻った事で消滅した。
- 忘却の城 = 旅立ちの地
- XIII機関が人の記憶を研究するために利用していた、狭間の世界に存在する城。「訪れた者の記憶を忘却の彼方へと消し去る」という特殊な城で、機関No.11のマールーシャによって管理されている。地上は13階、地下は12階で構成されていて、それぞれが光(地上)と闇(地下)を象徴している。ナミネの力とXIII機関が作り出したカードによってそれぞれの階層と「白い部屋」にそのカードに描かれた世界を作り出し、記憶を変容させる。
- かつては歴代のキーブレードマスターが治めてきた「旅立ちの地」と呼ばれる世界であり、テラとアクアの故郷でもあったが、マスター・ゼアノートの力により崩壊してしまう。しかしこの地には歴代のマスターによって仕掛けが施されており、この地を守る必要が出てきた場合には、マスター・エラクゥスのキーブレードで鍵穴を閉じる事により仕掛けが作動するようになっている。アクアは眠りについたヴェントゥスを守るため鍵穴を閉じ、旅立ちの地は「忘却の城」へと姿を変えた。ヴェントゥスを安置した「鍵穴」が存在するかつての玉座のある部屋は「目覚めの部屋」と呼ばれ、現在もなおヴェントゥスが眠り続けている。
- かつてナミネはこの城で生まれ、程なくしてXIII機関に捕らえられた。ゼムナスはこの城で記憶と心の関連について研究するのと同時に「目覚めの部屋」を探していたが、城に配置された謎を解く事ができるのは鍵穴を閉じたアクアだけで、ゼムナスを含める城を管理していたXIII機関でさえ完全に構造を把握することは不可能であった。
- 『COM』でソラ達は地上で、リクは地下でそれぞれXIII機関と戦いながら城の中を進み、ソラ達はナミネを救い出した後に失われた記憶の再生のために眠りに着き、リクはゼアノートとの決着の後にミッキーと共に城を出た。
- トワイライトタウン
- 沈む事のない夕日に照らされた、「黄昏の街」とも呼ばれている狭間の世界。数々の街や住民が存在し、町の中心部にある「セントラルステーション」には街の象徴である時計塔があり海や住宅街など様々な場所に向かう電車が到着する。中にはイェン・シッドの住む「不思議な塔」へ向かう電車もある。街の外れには「幽霊屋敷」と呼ばれる古い建物が存在し、無の世界から逃れたディズ(賢者アンセム)が活動拠点として利用していた。屋敷の2階にはナミネのいる「白い部屋」と地下への入り口が、そして地下にはディズのコンピュータールームとそのプログラムの中に構成された「もう一つのトワイライトタウン」とソラ達が眠るカプセルルームが存在する。この街では毎年「ストラグルバトル」というその年の街一番の強者を決める大会が開催され、トーナメント戦の後に前年のチャンピオンと対戦し、トーナメント戦の優勝者にはクリスタルトロフィーが、そしてチャンピオンとなった者にはチャンピオンベルトが授与されてきた。
- かつてロクサスはこの世界で誕生し、XIII機関に加入。時計塔でアクセルとシーソルトアイスを食べたのを機に、ロクサスはここで毎日任務が終わった後に、アクセルとシオンと一緒にここでアイスを食べるようになっていった。また『COM』での出来事の後、記憶を取り戻すために眠りに着いたソラ達はディズによってこの街の屋敷の地下へ運ばれ、ロクサスと一体化して目覚めるまでここで管理されていた。ソラ達が目覚めた後も、カイリとハイネ達の出会いやノーバディの出現などの奇妙な出来事が多発したが、機関の手がかりを求めて度々訪れたソラ達の活躍で解決し、ソラ達も王様とハイネ達の協力により屋敷から機関の本拠地へと繋がる道を見つけ出す事が出来た。
- 存在しなかった世界
- 狭間の世界に位置する、XIII機関の本拠地である世界。狭間の世界ではあるが、位置的には闇の世界に近い。XIII機関が実験・研究を行うのと同時に機関メンバーの住居にもなっている「存在しなかった城」と、それを囲むようにして立ち並ぶビル街「ダークシティ」で構成される。その上空にはXIII機関が完成を目論むハート型の月、人の心のキングダムハーツが浮かんでいる。ソラたちがゼムナスに勝利した後、まだ力を残していたゼムナスの操る龍型の巨大ノーバディが襲来して城に攻撃し、城は崩れていった。
- 『358/2』では、機関に所属していた頃のロクサスが、他のメンバーと共に生活する場として「存在しなかった城」が描かれている。メンバーにはそれぞれ個室が与えられており、基本的には朝目覚めたらロビーに向かい、サイクスからその日のミッションを受領してから、「闇の回廊」でそれぞれの世界へ向かう。また、ゼムナスが機関員全員に意向を伝える際は、「円卓の間」に集合する事になっている。小説版によると、掃除や洗濯などの雑務は全て下っ端のダスクが行なっているらしい。
- キーブレード墓場
- かつてχブレードの完成とキングダムハーツの出現によって勃発したとされるキーブレード戦争が起こったという荒野。おびただしい数のキーブレードが、かつての持ち主の眠りを守るかのように地面に突き刺さっている。
- 『Bbs』では、χブレードの完成とキーブレード戦争の再来を目論んだマスター・ゼアノートとヴァニタス、それを阻止しようとするテラ、ヴェントゥス、アクアが激しい戦いを繰り広げた。戦いの結果、マスター・ゼアノートはテラの身体を乗っ取る事、ヴァニタスはヴェントゥスと融合してχブレードを完成させる事には成功したが、ゼアノートはテラの思念が鎧に宿った「留まりし思念」に敗れ、ヴァニタスはアクアとミッキーとの戦いに敗れ、更に精神世界でヴェントゥスによってχブレードを破壊された。そしてχブレードが爆発した衝撃で、「留まりし思念」以外の全員が別々の世界へと飛ばされて行き、荒野には「留まりし思念」が独り佇むだけとなった。
- 『KH2FM』ではディズニーキャッスルにキーブレード墓場へ繋がる異空の穴が出現し、先にあるものを確かめる為に乗り込んでいったソラたちは、墓場にいた「留まりし思念」と対面した。
脅威
世界を脅かす危険な存在。
- ハートレス
- 「心無き者」とも呼ばれる、闇に心を囚われた者が心を失うことで生まれる、心が変質した存在。
- 詳細はハートレスを参照。
- ノーバディ
- 「存在しない者」「抜け殻」とも呼ばれ、強い心の持ち主がハートレスとなった時に残された身体と魂が意思を持つことで生まれる。
- 詳細はノーバディを参照。
- アンヴァース
- イェン・シッドにより「生命に精通しない者」と名付けられた、人々の負の感情(嫉妬や恨み、悲しみや恐怖など)に芽生える魔物。その正体は純粋な闇の心を持つヴァニタスから生まれた、彼の感情の一部ともいえる存在である。ヴァニタスはヴェン達3人を旅立ちの地から離れさせ、さらに彼等を強くさせるという目的でこれを世界中にばら撒いた。そして倒されたアンヴァースの感情は再び彼へと還っていく。ヴェントゥスがヴァニタスを倒したことによって後の世界に現れなくなった。
人物・組織
物語の中で特別な能力を持ち、重要な役割を担う存在。
- セブンプリンセス
- 「純粋な光の心」を持つ、光の世界を支える7人の特別な少女たちのこと。カイリ、白雪姫、シンデレラ、アリス、オーロラ、ベル、ジャスミンの7名からなる。彼女たちの心には闇が存在しないため、通常の人間のように心を失っても身体は滅びず、ハートレスとノーバディは誕生しない(ただしナミネの場合は他のノーバディとは異なる経緯で生まれたため例外)。彼女たちの心が闇の扉を開く「人の心のキーブレード」を作り出す鍵にもなるため、『KH』ではヴィランズとアンセムに次々と捕らえられたが、ソラたちによって救われ、それぞれの故郷である世界へと無事帰還した。
- ヴィランズ
- 「ヴィラン」とはそれぞれの世界を支配しようとする悪漢、つまり歴代のディズニー作品の悪役のことで、ヴィランズとはその者たちによって構成された組織の通称である(ゲーム中では呼称されない)。マレフィセントがこのヴィランズのリーダー的存在で、彼女の下で何人ものヴィランが指揮されているが、各々は自らの世界の征服くらいしか考えていないためその内部は一枚岩ではない。闇の力でハートレスを操り、それを手駒として使役することが多い。
- XIII機関
- ノーバディの中でも特別な力を持った存在達によって結成された組織。
- 詳細はXIII機関を参照。
- キーブレードマスター
- 世界の秩序を影から見守る、キーブレード使いの代表的存在。次世代のキーブレード使いを育てる役目も持っており、その弟子はマスター承認試験に合格すると新たにキーブレードマスターとして任命される。かつては世界各地に存在していたがその数は減っていき、『BbS』の時点で登場するのはマスター・エラクゥスとマスター・ゼアノートのみで、『BbS』のシナリオ序盤でアクアがここに加わることになる。中盤ではテラもマスター・ゼアノートからそう呼ばれるようになるが、彼は自身の師であるエラクゥスからは正式に認められていないため、いかに相応の実力があってマスター・ゼアノートに担ぎ上げられてもエラクゥスから称号を授からない限りは正式なマスターにはなれない。王様の師匠であるイェン・シッドも以前はマスターを務めていたが現在はその身を退いている。
移動手段
世界を渡り歩くための手段と、そのために必要な乗り物やアイテムなど。
- グミシップ
- 世界を飛び回るためにソラ達が移動手段として使用している船。世界を隔てている壁と同じ物質である「グミブロック」で製造されている。チップとデールはこのグミシップの整備士を務めていて、旅の間ソラ達のグミシップの航海をサポートしている。
- 闇の回廊
- 闇の力によって作られた、世界同士を繋ぐ通路。これを使えば光の世界のワールド間だけでなく、狭間の世界や闇の世界とも自由に行き来が可能となる。ハートレスはこの回廊を通ることで世界中に出現している。ハートレスのような純粋な闇の存在の他に、闇に堕ちた者や狭間の存在のみが使用できるため、これを移動手段として用いるのは主にヴィランズやXIII機関となる。ただし、心に強い感情を抱いていると、まれに闇の力を持たない者でも回廊を開き、別の世界へ導かれることもある。また世界が心を奪われて闇に消えると、闇の回廊がその世界と狭間の世界をひとりでに繋ぎ、その世界の住人を狭間の世界にはじき出すことがある。
- 闇の力を操る者ならば、自分の意思でどこにでも開くことができるが、心を持つ者は闇の回廊を通るたびに心が闇に蝕まれていく。これはXIII機関のメンバーでも例外ではなく、機関メンバーの纏う黒いコートは、闇に蝕まれて消えるのを防ぐためのものでもある。
- 異空の回廊
- 本来なら通る事は許されない禁断の道。闇の回廊とは違い、キーブレードマスターを始めとしたキーブレード使いにしか使えないが、生身で滞在しすぎると心が闇に蝕まれる点は共通している。キーブレード使いは闇に蝕まれぬよう、あらかじめ鎧[16]を身にまとうことで、闇から身を防いでいる。
- キーブレードライド
- キーブレードを乗り物に変形させる技。テラ、ヴェントゥス、アクアはこれに搭乗することで異空の回廊を駆け巡る。テラはバイク、ヴェントゥスはサーフボード、アクアはグライダーに変形させる。
- 星のカケラ
- 後にグミブロックと呼ばれることになるもの。イェン・シッドが持つ世界の壁を越えるアイテムで、別世界を移動する力を持つ。ただし持ち主の思う場所に自由に移動できるという訳でもなく、何かに反応してそれに引き寄せられて発動するため、行き先やそこへ移動するタイミングがランダムに決まる場合が多い。修行時代のミッキーはアンヴァースの脅威に立ち向かうため、イェン・シッドに無断で使って世界を渡り歩き、ヴェントゥスとアクアと出会った。
その他
上記以外で物語に深く関わるキーワード。
- 約束のお守り
- カイリがソラ達といつまでも一緒にいられることを願って、デスティニーアイランドに生息する「サラサ貝」の貝殻で作ったお守り。ソラ達の故郷の昔の船乗り達は旅の無事を祈ってサラサ貝を身に着けていたらしく、またこの貝殻でパオプの実に似せて作ったお守りを持つと、たとえ離れ離れになっても仲間と必ず再会できると言う言い伝えがあり、そのためカイリはこれでお守りを作った。
- 『KH』でソラ達がアンセムとの決戦に向かう時、カイリは彼らの無事を祈ってこのお守りをソラに渡した。『COM』ではナミネによって記憶と同時にこのお守りも形が変えられてしまったが、機関から逃れたナミネが真実を告げてソラがカイリの存在を思い出したため元通りになった。『KH2』でソラとリクが闇の世界から脱出して故郷に戻り、仲間達と再会を喜び合うなか、ソラはカイリに約束通りこのお守りを返した。キーホルダーとしてキーブレードに装備でき、同名の武器がシリーズを通じて登場している(形は鍵の部分が「光」の漢字が付けており、白い中剣の様な形になっている)。
- つながりのお守り
- アクアがキーブレードマスター承認試験の前日に、約束のお守りの言い伝えを基に作ったもので、自分とおそろいのものをテラとヴェントゥスの分も作ってあげた。旅立ちの地ではサラサ貝が手に入らないため、アクアが独自の材料で作り上げたものだが、二人とのつながりを大切にするための魔法がかけてある。3人のものはそれぞれ色が違い、テラが橙色、ヴェントゥスが緑、アクアが青となっている。またスティッチもテラから友達や絆の意味を教わって以来、彼のお守りを真似て作ったお守りを持っている。約束のお守りと同様、アクアのみキーホルダーとして装備でき、「ブライトクレスト」というキーブレードに変化させることができる。
- 光の扉
- ミッキーとイェン・シッドが口にした扉の事で、その存在は場所や状況によって様々な解釈が用いられている。ミッキーは『KH』で闇の世界に残った際に、「闇の中には必ず光がある」という解釈で光への扉がどこかにあると口にした。また、『KH2』ではイェン・シッドがソラの事を「光の扉を開く鍵」と言い、闇の世界に迷い込んだソラとリクが手にしたカイリの手紙の先から光への道が現れ、二人はそれを「光への扉」と呼んだ。そしてリクは光の扉について尋ねたソラの胸を指して「どこにでもある」と答えた。
- 闇の扉
- ゼアノートが呼び寄せた闇の世界へと通じる扉。セブンスプリンセスの心から作られた人の心のキーブレードが完成した時に、闇の世界に続く扉の「鍵穴」が出現した。また、エンド・オブ・ザ・ワールドの奥深くにも闇への扉が出現し、アンセム(ゼアノート)によって開かれかけ全ての世界が闇に飲まれそうになったが、ソラ、ドナルド、グーフィー、リク、ミッキーの活躍によって閉ざされた。
- 狭間の者の衣(黒いコート)
- XIII機関全員が着用しているフード付きの黒いロングコート。着用した者の気配を消し、闇からの侵食を防ぐ効果を持つ。XIII機関は闇の回廊を通過する際、闇からの侵食を防ぐためにこのコートを常時着用している。リクと王様は機関からの追跡を逃れるために、忘却の城でディズ(賢者アンセム)から手渡されたコートを着ていた。
- 今ではXIII機関のトレードマークのようなものになっているが、元々はマスター・ゼアノートが使用していたものである。
- ジミニーメモ
- ジミニーがミニーの頼みで作成しているソラ達の冒険の記録。ソラ達が冒険の中で訪れた世界やそこで出会った仲間達など、様々なできことが詳細に記録されてある。
- 『COM』で忘却の城を散策した際に彼が今まで記録していたメモが、ナミネの力により自分達の記憶と共に抹消されてしまったため、『KHII』では『KH』の記録が残されていない。また忘却の城の戦いの後、記憶が戻されると同時に城での記憶がなくなった時に備えてナミネにお礼を言うために書き残したメモがある。
- また『coded』ではジミニーが調べた時に「彼らの痛みを癒しに戻らなければならない」という謎のメモが書かれており、このことを相談された王様はチップとデールと協力して記録から「過去の世界」をデータ化して再現させ、同じく記録を素にデータ化したソラをこの世界に送り込み、この謎の文章の解明に乗り出した。また、データ化したリクはジミニーメモの分身、つまり記憶の保存する器の住民としてバグブロックを直す努力をしている。『coded』のエンディングでデータ世界のナミネによって、謎のメモを残したのは本物のナミネであった事、そしてデータのバグの原因は、本来記載されていなかった記録(ソラに繋がる者たちの痛みの記憶)をナミネがメモに書き加えたことが原因であったことが判明した。
- シーソルトアイス
- トワイライトタウンとレイディアントガーデンで売られているアイス。その名の通り海塩のようなしょっぱさと甘さを併せ持った不思議な味をしている。トワイライトタウンではハイネ達がよくこのアイスを食べていて、ロクサス、アクセル、シオンも任務を終えた後に時計等の上で食べるのが日課となっていた。
- レイディアントガーデンでも賢者アンセムも食べるほど好評だったが、ゼアノートの実験とマレフィセントの襲撃でホロウバスティオンに変貌してから忘れ去られてしまっていた。しかしスクルージが僅かな記憶を頼りに新商品として完成させ、復興したレイディアントガーデンに再び広まっていった。
- ハートレスとXIII機関の襲撃の後にマレフィセントの異空間の中でリクがソラ達に渡した箱の中にロクサスの写真と一緒にこのアイスも入っており、ソラ達の新たな世界へ続くゲートへの道標となった。またトワイライトタウンのコンピューターのパスワードにこのアイスの名前が用いられており、これを入力した事で仮想空間へと繋がる装置が作動し、機関の本拠地への道が存在する「もう一つのトワイライトタウン」に辿り着く事が出来た。
- 精神世界
- 「星の大海」や「異空の回廊」とは別に人々の心の中に存在する世界で、『KH』に出現する「目覚めの園」などがこれに該当する。目覚めの園は主にステンドグラスのような円形の床で構成されており、それぞれの心理状態やこれから起こりうる出来事を示唆するもの、その人物に関係のある絵柄などが描かれている。
- 記憶の鎖
- 人が持つ記憶と記憶の繋がり。『KH』の世界の記憶はその一つ一つのかけらが鎖のように繋がって構成されており、人の心を繋ぎとめている。これが解けばその記憶を思い出すことができなくなり、また逆にこの解かれた記憶の鎖を元に戻すと失われた記憶は元に戻るが、鎖が解かれていた時の記憶を忘れることとなる(ただし、完全に記憶が消える訳ではなく、なんらかの切っ掛けさえあれば、その時の記憶が蘇る可能性もある)。ナミネはソラとその関係者の記憶の鎖を解いて繋ぎ直す力を持ち、忘却の城に訪れたソラ達の記憶を操作し、XIII機関から解放された後に彼らの記憶を元に戻した。シオンはロクサスの持つソラの記憶のかけらを吸収する力を持ち、このために彼女はキーブレードを扱うことができた。彼女が消滅した後ソラの記憶はロクサスとソラに戻り、それと同時に吸収されていたキーブレードの力も2人に戻っていった。
- レプリカ計画
- XIII機関が秘密裏に進めていた計画。キーブレード使いの記憶の欠片をコピーしレプリカ人形に埋め込むことで、人為的にキーブレード使いを量産しようという計画である。
- 忘却の城において進められており、人の心のキングダムハーツを完成させるためのものであった。この計画が成功すれば、キーブレードの勇者の力を利用するというリスクの高い選択をする事なく効率的にハートレスから心を回収することができるようになり、機関にとってはとても都合のよいものであった。しかし、計画はヴィクセンが消滅したことをきっかけに大きく狂い始め、さらに実験体のレプリカたち(本編ではリク=レプリカとシオンの2名が登場)が強い自我を持ってしまったということもあり、計画そのものの大幅な変更を強いられることとなった。最終的にレプリカは2名とも消滅し、キーブレードの勇者のノーバディであるロクサスを連れ戻そうとするも失敗。ロクサスは本体であるソラに戻ってしまい計画は頓挫した。
- 眠りの部屋
- ホロウバスティオン(レイディアントガーデン)の地下に隠された施設の奥に存在する「墓場」。忘却の城にあるとされる「目覚めの部屋」とは対を成し、「目覚めの部屋」に似た構造となっている。部屋の中には玉座と、アクアの鎧とキーブレードが収められている。アンセムのコンピュータに特殊なディスクを入れてパスワードを入力しなければ入れない仕組みとなっており、その存在はXIII機関しか知らない。
- 「墓場」はかつて賢者アンセムが心の闇の研究を行なっていた場所で、研究を中止したアンセムによって封印されてきたが、アンセムを追放したゼアノートによって封印が解かれた。シグバールによれば師を追放したゼアノートが真っ先に行なった事が、「墓場」の奥に「眠りの部屋」を造ることだったという。ゼムナスは頻繁に「眠りの部屋」を訪れているが、それ以外の元弟子たちは「あの場所は苦手」と言い、近付く事すら極力避けていた。
- 目覚めの部屋
- 忘却の城の何処かにあるとされている、もうひとつの「墓場」。ホロウバスティオンの地下にある「眠りの部屋」とは対を成すが、「眠りの部屋」を造ったのがゼアノートであるのに対し、こちらはアクアが造り出した部屋である。部屋にはヴァニタスとの戦いで眠りについたヴェントゥスが玉座に寝かされている。元々は旅立ちの地において玉座と鍵穴があった場所で、アクアがヴェントゥスを安全な場所に隠す為にエラクゥスから聞かされていた仕掛けを作動させた事で、旅立ちの地は忘却の城となり、かつての玉座の間は「目覚めの部屋」となった。
- ゼムナスは「友」のヴェントゥスを求めて、記憶に関する研究を名目に忘却の城を新しい活動拠点地とし、部屋を捜していた。またゼムナスから部屋の捜索を命じられていたサイクスも、ゼムナスの真の目的を探るためにアクセルを通じて部屋を捜していたが、忘却の城の仕掛けによって守られた「目覚めの部屋」を捜し出せるのはアクアだけで、XIII機関が部屋を発見することはついになかった。
以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。
漫画・小説
漫画や小説の展開は原作と少し異なり、旅立つ世界が一部登場しなかったり、『KH2』では、漫画の方は世界のEP1とEP2の物語が合わされていて、小説では主にXIII機関が行動するワールドしか登場しないなど独自のアレンジが加えられている。
- 漫画(作:天野シロ)
- キングダム ハーツ(ファミ通PS2連載、全4巻。エンターブレイン刊、現在は絶版)
- キングダム ハーツ FINAL MIX(スクウェア・エニックス刊の新装版、全3巻)
- キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ(月刊少年ガンガン連載、全2巻)
- キングダム ハーツII(月刊少年ガンガン連載休止中、5巻まで刊行中)
- キングダム ハーツ 358/2 Days(月刊少年ガンガン連載中、1巻まで刊行中)
- 小説(著:金巻ともこ、画:天野シロ)
- キングダム ハーツ(上下巻)
- キングダム ハーツ チェインオブメモリーズ(ソラ編上下巻、リク編1巻)
- キングダム ハーツII(全4巻、短編全2巻)
- キングダム ハーツ 358/2 Days(全3巻)
その他の話題
- ディズニーキャラはもちろんのこと、本シリーズのオリジナルキャラクターの権利もディズニーに帰属している。そのためコミックマーケットなどの同人誌業界は、著作権に対する厳格性で知られるディズニーに配慮し(実際、以前からサークル参加案内にはディズニーキャラクターを題材にした同人誌の発行を禁じる注意書きが存在している)、キングダム ハーツを題材とした同人誌の発行自粛、印刷請負の自粛を作家、印刷業者に呼びかけた。ただしFFキャラはその限りではなく、本シリーズのバージョンでも権利はスクウェア・エニックスに帰属している。
- 主人公ソラとKHバージョンのドナルド、グーフィーの着ぐるみは既に作られており、日本では2004年8月に開催された「キングダム ハーツ プレミアパーティー」で初登場した。東京ディズニーリゾートではまだ登場していないが、アメリカのウォルト・ディズニー・ワールドではキャラクターグリーティングやパレードに参加したこともある。
- 東京ディズニーランドでディズニーキャラの仮装で入場できるハロウィンイベントでは、本シリーズのキャラクターの仮装をして入場することは認められていない。仮装はパーク側から「ディズニーアニメーション映画やアトラクションに登場するキャラクター」のみが許可されており、また仮装に関する注意点のイラストにソラの衣装の一部(ズボンのチェーン部分)が載っている。
脚注
- ^ スクウェア・エニックスに合併する前のロゴは「Disney SQUARE SOFT」だった。間には同じように鍵マークが入る。
- ^ キングダム ハーツ Re:コーデッド 公式サイトより
- ^ スクウェア・エニックス、和田洋一CEO記者懇親会を開催
- ^ IGN: TGS 2004: Tetsuya Nomura Q&A
- ^ a b c d e f キングダム ハーツ アルティマニア 野村哲也インタビューより
- ^ 電撃PlayStation Vol.335 野村哲也インタビューより
- ^ キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ アルティマニア 野村哲也インタビューより
- ^ Creator's Voice No.12
- ^ Official Playstation Magazine 2002年10月号スタッフインタビューより
- ^ a b c ニンテンドードリーム 2009年6月号 野村哲也インタビューより
- ^ キングダム ハーツII アルティマニア 野村哲也インタビューより
- ^ 『電撃PlayStation』 Vol.312 野村哲也インタビューより
- ^ 『ファミ通』2010.02/18発売号、野村哲也インタビューより
- ^ 受賞の展開はいずれかの主人公(テラ、ヴェントゥス、アクア)によって異なる。
- ^ 当時のパスワードはDTDの名前の由来に因んだセブンプリンセスの名前だったが、作中でトロンによりソラ達の名前に変更された。
- ^ 『KH2』『KH2FM』でのシークレットムービーでは鎧の背中にマントが付けられていたが、マルチプレイでの処理上の問題から『BbS』ではマントを外されている。