前頭側頭型認知症
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前頭側頭型認知症(ぜんとうそくとうがたにんちしょう、英: Frontotemporal dementia、FTD)は前頭側頭葉変性症の臨床症状である。主に前頭葉と側頭葉の両方あるいは片方を巻き込んで神経細胞の脱落が進行すること、そして紡錘形神経細胞(spindle neuron)の典型的には70%以上が脱落するのに対して他の種類の神経細胞は無傷であることが特徴である。
この認知症は1892年にアーノルド・ピック(Arnold Pick)によって初めて記述され、もともとはピック病と呼ばれていた。認知症の中で罹患率が前頭側頭型認知症より高いのはアルツハイマー型認知症だけであり、前頭側頭型認知症の患者は認知症を発症した若い患者の中で20%を占める。徴候や症状は成人後期に、より一般的には55歳から65歳の間に現れる。男性と女性はほぼ等しく発症する。
一般によく見られる徴候や症状には社会的および個人的行動の著しい変化、無関心、感情の鈍麻、そして表出言語と受容言語の両方における欠損がある。現在のところ、前頭側頭型認知症のための治療法は存在しないが、症状を緩和するのを助ける処置は存在する。
エピソード
- 2015年5月11日、ものまねタレントの栗田貫一がTBS系のTV番組『私の何がイケないの?SP』に出演し、番組企画で脳検査を受けたところ、前頭側頭型認知症の疑いがあると診断された[1]。
脚注
- ^ “モラハラ栗田「前頭側頭型認知症」を告白も「俺は我慢強い」”. スポーツ報知. (2015年5月11日) 2015年5月17日閲覧。
参考文献
- アンドリュー・カーティス『バナナ・レディ : 前頭側頭型認知症をめぐる19のエピソード』河村 満(監訳)、医学書院、2010年。ISBN 9784260009614。
関連項目
外部リンク
- “バナナ・レディ : 前頭側頭型認知症をめぐる19のエピソード”. 医学書院. 2015年4月29日閲覧。
- 池田学「前頭側頭型認知症(FTD)の診断と治療」『SPRIMGMIND』no. 10、小野薬品工業株式会社、2012年8月、2015年4月2日閲覧。
- 池田学「前頭側頭葉変性症の臨床」『老年期認知症研究会誌』第19巻第5号、2012年、2015年4月2日閲覧。
- 今井幸充. “ユッキー先生の認知症コラム”. 認知症ねっと. 2015年4月3日閲覧。
- “前頭側頭葉変性症”. 教えて! 認知症予防. 2015年4月2日閲覧。
- “ピック病”. 教えて! 認知症予防. 2015年4月2日閲覧。
- “前頭側頭葉変性性認知症(FTLD型認知症)”. 介護応援ネット. 2015年4月2日閲覧。
- “前頭側頭型認知症 介護者・ご家族様へ”. 国立病院機構 菊池病院. 2015年4月2日閲覧。
- “認知症の治療”. きしろメンタルクリニック. 2015年4月2日閲覧。
- 中西亜紀 監修. “認知症の医療・介護に関わる専門職のための「前頭側頭型認知症&意味性認知症」こんなときどうする!”. 大阪市福祉局高齢者施策部高齢福祉課. 2015年4月2日閲覧。
- “前頭側頭型認知症”. 健康長寿ネット. 2015年4月3日閲覧。
- “ピック病”. 健康長寿ネット. 2015年4月3日閲覧。
- “前頭側頭型認知症”. 相談e-65.net. 2015年4月3日閲覧。
- “前頭側頭型認知症 ピック病”. 順天堂越谷病院. 2015年4月2日閲覧。
- 中西亜紀「“前頭側頭葉変性症”を知ろう! 新連載①」『ぽ~れぽ~れ』通巻405号、2014年4月25日、2015年4月2日閲覧。
- “前頭側頭葉変性症”. 難病情報センター. 2015年4月3日閲覧。
- 「認知症疾患治療ガイドライン」作成合同委員会 編. “「第8章 前頭側頭型認知症(FTD)」『認知症疾患治療ガイドライン2010』”. 日本神経学会. 2015年4月3日閲覧。
- “前頭側頭型認知症と介護”. 認知症を学ぶ会. 2015年4月2日閲覧。
- 前頭側頭型認知症 - 脳科学辞典
- 村上市岩船郡医師会. “前頭側頭型認知症について”. 2015年4月2日閲覧。
- “前頭側頭葉変性症”. 脳神経外科 山本クリニック. 2015年4月2日閲覧。
- 前頭側頭葉変性症協会