楠かつのり
楠 かつのり(くすのき かつのり)は、音声詩人、映像作家。「詩のボクシング」の日本朗読ボクシング協会(www.jrba.net)代表。ロボット&人工知能アート研究所所長。関東学院大学名誉教授。
1997年に自分のことばを声にして伝え合う競技「詩のボクシング」を始める。一般参加によるトーナメントの「詩のボクシング」大会は、これまでに43都道府県で行われ、2001年からは毎年全国大会も開催されている。中でも「詩のボクシング」については、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアで紹介されている。また、コミュニケーション能力が高まるとされ、全国各地の小・中・高校の教育の場にも取り入れられている。
1980年代に家庭用ビデオカメラを使った映像表現で注目を浴び、それ以降映像表現におけるさまざまな試みを重ねている。JAPAN'87ビデオ・テレビ・フェスティバル(青山スパイラルホール)、「日本の前衛展~筆からワープロへ~」(パリ・ポンピドゥーセンター)、第2回ふくい国際ビデオ・ビエンナーレ(福井県立美術館)に作品提供、ワークショップ「ビデオ・トマソン」(東京都写真美術館)、長編作品「夏の時間」上映(草月ホール)他。また、魚眼写真を使った独自の視点でのプラネタリウム上映用作品を制作(宮崎科学技術館)や3D(立体)映像ワークショップ(横浜美術館)を行っている。ウェアラブルカメラやドローンを使った独自のカメラ目線でケーブルテレビ局での番組を制作。
1997年に始まった「詩のボクシング」が2017年で20周年を迎えるに当たり、誰でもが参加できる表現の場として禅と映像と言葉リズムによる三々五々を始める。また、大学教員時代に力を入れていたロボットと人工知能の応用による新たなアート表現をとデープラーニング(深層学習)を利用したニューラル翻訳の教育への具体的な応用と日常生活での利用方法の研究を継続している。
人物
1954年8月15日生まれ[1]。岡山県津山市出身[2]。ドイツのハイデルベルク大学及びマインツ大学に留学してドイツ文学、哲学を専攻。特にベルトルト・ブレヒトを研究した。
ドイツ留学後、詩人の谷川俊太郎の助手を勤める。同時期に小劇団を結成。主宰者であると同時に、座付き作家と演出を担当。演劇表現に身の回りの物を題材に使ったブリコラージュの手法を演劇表現に取り入れたことで評価を得る。
経歴
- 1.ドイツ留学から帰国後に、 グルッペ翻訳センターを設立。ドイツ語、英語翻訳 ドイツ語圏の雑誌や書籍、英語圏の書籍、コミックス、レコードジャケット、技術翻訳などを行う。
- 3.詩表現と詩集出版及び編集実務 詩の専門雑誌、一般雑誌、新聞、テレビ番組などに自作詩を発表。雑誌編集の実務。ビデオ映像のワンフレームをプリントした画像を組み、それらの画像に詩をレイアウトした『ペーパー・ビデオ・インタレーション』の詩集を出版する。
- 4.劇団「時間装置」主宰 劇団運営、演技指導、脚本、演出 脚本、演出を担当。数多くの芝居を都内の劇場にて上演。表現集団運営、演劇表現身体練習法、舞台装置、上演経営について実務を行う。
- 5.舞台「オープン・ザ・テレビジョン」 高円寺明石スタジオ (劇団・時間装置)(作、演出)楠かつのり 演劇表現の中にテレビモニターを舞台装置として用いた舞台表現の試み。演劇空間にビデオ映像とそれを映し出すモニターを設置し空間的な演出をする。映像環境の現在を演劇の内容として表現する。
- 6.ビデオソフトの雑誌 「いまじん」創刊(全8巻)制作、編集 日本初のビデオソフトによる雑誌「いまじん」を創刊。編集長として企画、制作。ビデオマガジンやビデオブックなどの映像出版の先駆けとなった。NHK国際青年年の特別番組のために「いまじん」の制作過程の取材に2ヵ月間協力する。株式会社・ダゲレオ出版から依頼されて「いまじん」をダゲレオ出版の映像上映機関であるイメージフォーラムのシネマテークで毎週行う。
- 7.ビデオインスタレーション「家族」制作、展示 スタジオams (ams西武三軒茶屋)(制作者)楠かつのり 日本の家族の内面意識をビデオ・インスタレーションによる表現した。
- 8.ビデオ作品「ドキュメント俳句 ~銅像~ 」制作、上映 松山市市政100周年事業(松山市)(制作者)楠かつのり NHK松山放送局から依頼され、映画監督の鈴木清順、林海象らと映像による俳句的表現を試みる。松山市民ホールでドキュメント俳句「銅像」の上映。
- 9.ビデオ作品 「老塵」・ 「記憶を擦る」・ 「ビデコマ(ビデオ4コマ漫画)」制作、上映 ビデオ・ビレッジ(阿佐ヶ谷)
東京都杉並区内にあった個人ビデオ作品の定期上映スペース。ビデオ・ビレッジでの初の上映作品。NHKの7時のニュースで紹介される。朝日新聞の夕刊「現代の人」でも紹介される。
- 10.モニタートーク~環境ビデオ展~ 企画、制作 渋谷LoFt(制作者)楠かつのり (出演)新井満、島田雅彦、島森路子、飯沢耕太郎、楠かつのり ビデオインスタレーションの方法で環境問題を考える。地球規模の環境破壊の問題について様々な視点から考え、われわれがどのような思考回路を持てば環境保護に有効であるかの方法の提案を行なう。
- 11.横浜市立汐見台中学校で3D(立体)映像ワークショップ(企画:横浜美術館 主催:横浜市教育委員会 運営:汐見台中学校)
- 12. ビデオソフトの雑誌 「いまじん」創刊(全8巻)制作、編集 日本初のビデオソフトによる雑誌「いまじん」を創刊。編集長として企画、制作。ビデオマガジンやビデオブックなどの映像出版の先駆けとなった。NHK国際青年年の特別番組のために「いまじん」の制作過程の取材に2ヵ月間協力する。株式会社・ダゲレオ出版から依頼されて「いまじん」をダゲレオ出版の映像上映機関であるイメージフォーラムのシネマテークで毎週行う。
- 13.映像表現とビデオ映像機材の使い方を指導 講師 NHK、NHK教育、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビ、テレビ東京に新たな映像表現の専門家として多数出演。
- 14.日本テレビ系列の全国の地方局内にあるレポーターズクラブで多数の講演(株式会社日本ビクター主催)
- 15.テレビCM、商品販促ビデオ、家庭用ビデオ販促企画及び普及のための講演(日本ビクター株式会社)、新商品企画、家庭用ビデオプリンター販促企画及び普及のための講座(日立製作所株式会社主催)
- 16.宣伝会議、広告批評などで広告、CM、企画立案などの講師 コピーライター養成所などで広告、CM、企画立案について指導する。
- 17.モニタートーク~環境ビデオ展~ 企画、制作 渋谷LoFt(制作者)楠かつのり、楠かつのり ビデオインスタレーションの方法で環境問題を考える。地球規模の環境破壊の問題について様々な視点から考え、われわれがどのような思考回路を持てば環境保護に有効であるかの方法の提案を行なう。
- 18.IMAGE SWAP~動画⇔静止画~ 制作、展示 神田平永町橋ギャラリー(写真ギャラリー)(制作者)楠かつのり ビデオ映像の動画からビデオプリンターを使って静止画像を取り出し、動画と静止画像の差異とその関係性を示す。
- 19.ビデオ・新たな世界―その可能性展 制作、展示 O美術館 ビデオアートの歴史を包括的に捉えた企画展。自作のビデオ映像作品の展示と上映を行うと同時にワークショップも行う。
- 20.「キッズ・アート・ランド」展 制作、展示 直島コンテンポラリー・アート・ミュージアム 自作のビデオインスタレーション作品「video zoo 」及び「momotarou'93」の出品展示。子供の芸術への関心を引き起こそうという企画意図なので夢のあるインスタレーション作品を制作する。
- 21.テレビ番組の企画、演出 株式会社・パルコから依頼されてパルコ100chTVで映像表現についての番組制作を依頼される。月に1回の番組を企画、制作する。また、この間、パルコスーパースクールの講師を務める。さらに株式会社・マガジンハウスから依頼されて新宿紀伊国屋ホールでのイベント用ビデオ映像作品を制作、展示上映する。
- 22.ビデオ映像の記録、制作、講師 株式会社・西武百貨店(池袋店)のスタジオ200から依頼されて、イベントのビデオ記録とイベントに用いる上映作品の制作。イベント記録のカメラワークを細かく指示し、若手カメラマンに印象的な映像作りのポイントを指導する。
- 23.「人工知能とロボットとの共生時代の始まり」と題した鶴見大学生涯学習センター開設20周年記念講演
- 24.埼玉県産業技術総合センター(SAITEC)での企業対象にした「人と人工知能・ロボット等との共生による未来」と題した講演
- 25.大岡信ことば館において「人工知能と詩言語」についての谷川俊太郎との対談
- 26. 人工知能搭載多言語通訳及び翻訳について社会人対象の実践講義
- 27. ロボットプログラミング方法及びロボットを使った舞台表現
- 28. ロボット&人工知能アート研究所での人工知能とロボット技術開発と実生活に関するコンサルティング
著書
- 1.「うたおうこどものバイエル~全3巻~」(ばるん舎、共著) 監修:中田喜直・谷川俊太郎 作詞者=川崎洋、中川ひろたか、木島始、阪田寛夫、まど・みちお、楠かつのり他 子供のピアノの練習曲(バイエル)に歌詞が付いていれば、子供たちも楽しく唄いながら練習をすることができるだろうと歌詞を付ける。担当したバイエルの番号:5、17、29、53、65、77、87、99
- 2.「メディアNOW」(学陽書房、共著) 共著者=佐野山寛太、谷川晃一、川本三郎、柏木博、中野収、八木誠一、猪瀬直樹、紀田順一郎、栗本慎一郎、吉本隆明、田村紀雄、横山紘一、早川義夫、楠かつのり他 1980年代のメディアの新たな動きを各界の著名人が様々な視点から捉える。楠は、ホームユースのビデオカメラが新しい情報を形成し提供する可能性について論じる。
- 3.「1/2 ビデオ論」(弘隆社、共著、全項目担当) 家庭用ビデオカメラの映像表現の可能性をビデオ映像のみの表現にとどまらずコンピュータ・グラフィックス、ハイビジョンまでも視座に入れて論じる。
- 4. 「ビデオ術・遊んで見よう」(晶文社、単著) 家庭用ビデオカメラを使うことによって表現を試みる人々への入門書。家庭用ビデオカメラの歴史からその可能性を著者の仕事を通して様々な視点から論じる。ビデオ作品の具体的な上映方法やCATVへのアクセスの仕方、 またCDーROM などの情報形態についても触れる。
- 5.「コミュニケーション事典」(平凡社、 [担当]ビデオ及び映像) 編集=鶴見俊輔・粉川哲夫 コミュニケーションを日常の様々な交流の場に生まれるものとして捉え、そ の場を提供している事象や事柄、メディアなどを再定義するために組まれた事典。
- 6.「ビデオ作家の視点」(平凡社、単著) 映像表現の可能性をマルチメディアの視点で捉え論じる。
- 7.「ビデオムービーの達人」(平凡社、単著) ビデオカメラの持つ可能性を具体的な使用法を紹介しながら論じたもので、その論点はごく入門的なビデオカメラの使い方からビデオアートの表現にまで及ぶ。
- 8.「これは見えないものを書くエンピツです~プライベート・ビデオ講座~」(フィルムアート社、共著=谷川俊太郎・楠かつのり)
- 9.映像詩集「ペーパービデオ・インスタレーション 」(思潮社、単著) ビデオカメラで撮った映像からワンフレームの映像をビデオプリンターを使ってプリントし、そのプリントによってデザイン構成されたイメージから詩的な言語表現の成立を試みた映像詩集。
- 10. 「プライベート映像の力~マルチメディアの基礎~」(思潮社、単著) ビデオアートの表現の可能性と問題点、映像出版の可能性と問題点、衛星放送の可能性と問題点、コンピュータ表現及びマルチメディアの可能性と問題点、バーチャルリアリティ・アーティフィシャルリアリティの可能性と問題点などを論じた評論集。
- 11.「詩のボクシング 声の力[CD付き]」(東京書籍、単著) 1999年
- 12.「詩のボクシング」って何だ!?(新書館、単著) 2002年
- 13. 「からだが弾む日本語」(宝島社、単著) 2002年 「詩のボクシング」の創始者が、暮らしの中で磨きこまれた日本語を通じて「言葉の身体化」を提唱。巻末収録インタビュー:「声に出す日常の言葉」をテーマに著者の楠かつのりが、永六輔、養老孟司、阿川佐和子の3氏と語る。
- 14.文庫版「からだが弾む日本語」(宝島社、単著) 2005年
- 15.「詩のボクシング 声と言葉のスポーツ」(東京書籍、単著) 2005年
- 16. 「話したい、話せない、『話す』の壁」(ゆまに書房、共著) 2006年 共著者=久世光彦、金田一秀穂、糸井重里、ピーター・バラカン、平田オリザ、天野祐吉、中野翠、楠かつのり他 雑誌「世界」(岩波書店)に第2回「詩のボクシング」全国大会と「詩のボクシング」が引き起こした日本語ブームについて発表した論文を再録。他多数。
脚注
外部リンク
- 楠かつのり三々五々(楠かつのり三々五々)
- 日本朗読ボクシング協会(「詩のボクシング」・公式ページ)
- [Robot AI Art House Facebook(ロボット&人工知能アート研究者:楠かつのりFacebook)
- 詩のボクシングFacebook(「詩のボクシング」のFacebook)