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τ (数学定数)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

τ(タウ)は、一部の研究者により、現在の円周率 π に代わるべき数学定数として提唱されている数であり、半径に対する周長の比として定義される定数である。その値は 2π に等しい。2015年現在、このような定数としての τ は論文等で一般的に使用されていない。

提唱者の主張

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弧度法での角度表記にτを使用した例

2001年ユタ大学のBob Palaisがエッセイ "π is wrong!" の中で、π は円周率として採用するには不自然かつ分かり難い選択であり、円周率としてより自然な定義は半径に対する円周の長さの比であると主張した。Palaisの論文を受け、Michael Hartlは自身のウェブサイト "The τ manifesto" において、この定数の記号としてギリシア文字の τ を採用することを提唱した。さらにHartlは記号として τ を使用する他の定数や変数との混乱の可能性についても考察している。

Hartlは、π の代わりに τ を採用することによるいくつかの利点を挙げている。

例えば、三角関数の周期が 2π の代わりに τ になると

となり、オイラーの等式

と簡単かつ本質的な表現になる[1][2][注 1]

また、円の面積は

と表示されるが、これは運動エネルギーの式

や、自由落下する物体の移動距離

など同様の簡単な積分で導出できる[1]

しかし、2011年現在、τ のこのような使用は、主流な数学の中では採用されていない[3]

1958年に Albert Eagle は π の代わりに τ = π/2 を使うべきだと主張したが[4]、そのような著者は他にいない。

πを使った場合 τを使った場合
円の1/4を成す角度
円周
円の面積
単位円周半径を持つ正n角形の面積
n球とn球の体積再帰関係
コーシーの積分公式
標準正規分布
スターリングの近似
πn乗根
プランク定数
角周波数

脚注

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注釈

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  1. ^ 本来のオイラーの等式は e = −1 と表記されるが、Hartlはオイラーの等式をある特別な値に対する複素指数関数に関する式というよりも、円周率に関する複素指数関数の式として定義されるものと捉え、その意味で本来のオイラーの等式における πτ で置き換えたこの式を"オイラーの等式"と呼ぶのが相応しいと主張している。

出典

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参考文献

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関連項目

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外部リンク

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