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あたらしい憲法のはなし

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『あたらしい憲法のはなし』での戦争放棄の原則を表した挿し絵。
日本国憲法の三原則を表した挿し絵。

あたらしい憲法のはなし(あたらしいけんぽうのはなし)は、太平洋戦争大東亜戦争)終結後に数年間使用された、中学校1年生用社会科教科書

概要

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1947年8月2日に当時の文部省は、同年5月3日に施行された日本国憲法の解説のために新制中学校1年生用社会科教科書として発行した。「憲法」「民主主義とは」「國際平和主義」「主権在民主義」「天皇陛下」「戰爭の放棄」「基本的人権」「國会」「政党」「内閣」「司法」「財政」「地方自治」「改正」「最高法規」の十五章からなり、日本国憲法の精神や中身を易しく解説している。

新憲法によって主権者から象徴と位置付けが変わった天皇については「日本国民全体の中心」とし、「私たちは、天皇陛下を私たちのまん中にしっかりとお置きして、国を治めてゆくについてごくろうのないようにしなければなりません」と述べている。

また、新憲法に掲られた平和主義、戦争(戦力)放棄条項について解説する前に、読者である中学生に向けて次のように呼びかけた[1]

みなさんのなかには、こんどの戦争に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか。また、くうしゅうで、家やうちの人をなくされた人も多いでしょう。いまやっと戦争はおわりました。二度とこんなおそろしい、かなしい思いをしたくないと思いませんか。こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があったでしょうか。何もありません。ただ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか。戦争は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです[注釈 1]

1950年に副読本に格下げされ、1951年から使用されなくなった[2]ジョン・ダワーによれば、これは軍備廃止を賛美する『あたらしい憲法のはなし』の論調が、朝鮮戦争を期に警察予備隊(現:自衛隊)の創設によって日本の事実上の再軍備が行われた現実とGHQ当局の新方針(逆コース)とそぐわなかったからである[2]

「戰爭の放棄」における「戦争放棄と書いた大きな釜の中で軍艦や軍用機を燃やし、その中から電車や船や消防自動車が走り出し、その脇で鉄塔や高層建築物が光り輝いて出てくる挿絵」は有名である。1952年4月以降も、小中学校で使用される社会科の教科書や副読本で、この挿絵が日本国憲法誕生時に関して使用されることがある。

著作権

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著作権は旧文部省に属するが、保護期限は過ぎてパブリックドメインとなっており、各社から(果ては個人からも自費出版の形で)復刻版が出版されている。

1993年外山雄三により文章に曲が付けられ、合唱曲として発表されている。

2016年には、本書の体裁と文体を取り入れて、自由民主党による憲法改正草案を解説した書籍『あたらしい憲法草案のはなし』が出版された[3]

出版

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その他

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1947年6月15日朝日新聞社から刊行された、宮澤俊義著の同名の書籍が存在する。2016年6月18日三陸書房から復刊された[5]

脚注

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注釈

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  1. ^ 原文を現代的仮名遣い、新字体に改めていることに留意

出典

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  1. ^ 山本昭宏 編『戦後民主主義』中公新書、2021年1月25日、35頁。 
  2. ^ a b ジョン・ダワー『敗北を抱き締めて 増補版 下』p.343
  3. ^ 町村泰貴あたらしい憲法草案のはなし読了」、BLOGOS、2016年07月01日 05:21。
  4. ^ SAMPLE あたらしい憲法のはなし、京都戦後民主運動 歴史資料アーカイブ - 2020年4月15日閲覧。
  5. ^ 信頼できる憲法解説書、 今 この時の憲法の危機に 69 年を経て復刊! あたらしい憲法のはなし 付載七篇、三陸書房 - 2020年4月15日閲覧。 (PDF)

関連項目

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外部リンク

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