公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律
表示
(あっせん利得処罰法から転送)
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律 | |
---|---|
日本の法令 | |
通称・略称 | あっせん利得処罰法 |
法令番号 | 平成12年法律第130号 |
種類 | 刑法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 2000年11月22日 |
公布 | 2000年11月29日 |
施行 | 2001年2月28日 |
主な内容 | 国会、地方議会の議員(およびその秘書)や地方自治体の首長の職権を利用したあっせん利得行為やそれに対する利益供与行為等を処罰する法律 |
関連法令 | 刑法(賄賂罪) |
条文リンク | 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律 - e-Gov法令検索 |
ウィキソース原文 |
公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(こうしょくしゃにあるものとうのあっせんこういによるりとくとうのしょばつにかんするほうりつ、平成12年11月29日法律第130号)は、あっせん利得行為等を規制する日本の法律の一つ。
概要
[編集]旧来の刑法上のあっせん収賄罪は、贈賄側から請託を受けて他の公務員に職務上不正行為を斡旋したことを立証しなければならないなど犯罪の構成要件が厳しく、立件が困難だった。しかし、この法律によって、請託を受けて斡旋先の公務員の職務上適正な行為をさせても、財産上の利益を収受していれば適用される。
なお、処罰対象は公職にある者と国会議員秘書に限定されており、民間人閣僚とその秘書官や地方公職の秘書(地方自治体の特別秘書等)は対象外である。2004年の法改正までは国会議員秘書は国会議員公設秘書に限定されていた。公職者のあっせん利得罪は法定刑は3年以下の懲役、国会議員秘書のあっせん利得罪は法定刑は2年以下の懲役である。ただし、国会議員私設秘書は請託を受けて斡旋先の公務員の職務上不正な行為をした場合は、公務員に適用されるあっせん収賄罪(法定刑は5年以下の懲役)は適用されず、あっせん利得罪のみの適用となる。
1996年に発生した石橋産業事件の一環である若築建設事件を教訓に制定された。
2002年5月、和歌山県橋本市における指名業者選定をめぐる汚職事件が、この法律での逮捕状が出た初めての例となった[1]。現職の市議と会社経営者によるこの事件は、第154回国会における衆議院特別委員会で取り上げられた[2]。
内容
[編集]- 「公職にある者」(第1条)
- 衆議院議員、参議院議員又は地方公共団体の議会の議員若しくは長(首長)のこと。
- 「秘書」(第2条)
- 国会法第132条に規定する秘書(公設秘書)その他衆議院議員又は参議院議員に使用される者で当該衆議院議員又は当該参議院議員の政治活動を補佐するもののこと。
- その他
- 犯人が収受した利益は没収、追徴される(第3条)。また、国外犯も処罰される(第5条)。その他、「適用上の注意」として、「この法律の適用に当たっては、公職にある者の政治活動を不当に妨げることのないように留意しなければならない。」と規定がある(第6条)
脚注
[編集]- ^ “あっせん利得法初適用、和歌山・橋本市議ら2人逮捕”. 読売新聞. (2002年5月9日)
- ^ “第154回国会 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第5号 平成14年5月31日”. National Diet Library. 2020年5月6日閲覧。