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おうし座ゼータ星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
おうし座ζ星[1]
Zeta Tauri
仮符号・別名 天關、天関[2]
(Tianguan[3])
星座 おうし座
見かけの等級 (mv) 3.03[1]
2.88 - 3.17(変光)[4]
変光星型 E/GS+GCAS[4]
分類 Be星[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  05h 37m 38.68542s[1]
赤緯 (Dec, δ) +21° 08′ 33.1588″[1]
赤方偏移 0.000067[1]
視線速度 (Rv) 20.00 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 1.78 ミリ秒/年[1]
赤緯: -20.07 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 7.33 ± 0.82ミリ秒[1]
(誤差11.2%)
距離 約 440 光年[注 1]
(約 140 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -2.6[注 2]
ζ星の位置
物理的性質
半径 5.5 R[5]
質量 11.2 M[5]
自転速度 125 km/s[6]
スペクトル分類 B1IVe_shell [1]
光度 4,169 L[7]
表面温度 15,500 K[7]
色指数 (B-V) -0.19[8]
色指数 (U-B) -0.67[8]
年齢 22.5 ± 2.6×106[9]
他のカタログでの名称
おうし座123番星[1],
BD +21 908[1],
FK5 211[1],
HD 37202[1],
HIP 26451[1],
HR 1910[1],
SAO 77336[1]
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おうし座ζ星(おうしざゼータせい、ζ Tau, ζ Tauri)は、おうし座恒星で3等星。

性質

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おうし座ζ星は、単線の分光連星系であり、これは2つの恒星が、望遠鏡では解像できないほど非常に近くを回転していることを示している。その代わり、主星の軌道運動は、スペクトル吸収線ドップラー効果によって示唆される。2つの恒星は、地球と太陽の間の距離の117%に相当する約1.17auで、軌道周期はほぼ113日であると推定される[5]

太陽と比べると、主星は質量で11倍以上、半径で5-6倍という巨大な恒星である[5]。125 km/sと高速で自転している[6]。伴星は、太陽質量の約94%であるが、主系列星であるのか、中性子星白色矮星か分かっていない。もし主系列星であった場合、その質量から、スペクトル分類はG4であると示唆される[5]

主星のスペクトルからは、スペクトル分類はB2 IIIpeとなる[5]。光度分類が'III'となることからは、この恒星は、核の水素を使い果たした巨星であると考えられる。'e'という添え字は、このスペクトル中に輝線を含むものに対して用いられる。この恒星のようなBe星では、輝線は、恒星の外層から放出された物質によって形成された恒星の周囲のガスの円盤が回転することで生じる。スペクトルの掩蔽パターンは、円盤の密度波理論から生じる。円盤は、伴星の重力の影響により、歳差運動している可能性が示唆されている[5]

名称

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古代中国の天文学では、二十八宿の1つの畢宿という星宿に含まれる天關(天関[2]Tianguan)と呼ばれる星官であった。天關は、天界に出入りする門に置かれた関所を意味する[10]。2017年6月30日、国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、おうし座ζ星の固有名として、Tianguan を正式に承認した[3]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s SIMBAD Astronomical Database”. Results for zet Tau. 2015年10月3日閲覧。
  2. ^ a b 大崎正次 1987, p. 331.
  3. ^ a b IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合 (2017年6月30日). 2017年7月24日閲覧。
  4. ^ a b GCVS”. Results for zet Tau. 2015年10月3日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g Schaefer, G. H. et al. (December 2010), “Multi-epoch Near-infrared Interferometry of the Spatially Resolved Disk around the Be Star ζ Tau”, The Astronomical Journal 140 (6): 1838-1849, arXiv:1009.5425, Bibcode2010AJ....140.1838S, doi:10.1088/0004-6256/140/6/1838 
  6. ^ a b Abt, Helmut A.; Levato, Hugo; Grosso, Monica (July 2002), “Rotational velocities of B Stars”, The Astrophysical Journal 573 (1): 359-365, Bibcode2002ApJ...573..359A, doi:10.1086/340590 
  7. ^ a b Balona, L. A.; Dziembowski, W. A. (October 1999), “Excitation and visibility of high-degree modes in stars”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 309 (1): 221-232, Bibcode1999MNRAS.309..221B, doi:10.1046/j.1365-8711.1999.02821.x 
  8. ^ a b 輝星星表第5版
  9. ^ Tetzlaff, N.; Neuhauser, R.; Hohle, M. M. (January 2011), “A catalogue of young runaway Hipparcos stars within 3 kpc from the Sun”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 410 (1): 190-200, arXiv:1007.4883, Bibcode2011MNRAS.410..190T, doi:10.1111/j.1365-2966.2010.17434.x 
  10. ^ 大崎正次 1987, p. 171.

参考文献

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  • 大崎正次『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日。ISBN 978-4639006473