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おおいぬ座ベータ星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
おおいぬ座β星[1]
Beta Canis Majoris
仮符号・別名 ミルザム[2], Mirzam[3][4]
星座 おおいぬ座
見かけの等級 (mv) 1.97[1]
1.87 - 1.90(変光)[5]
変光星型 ケフェウス座β型変光星[1](BCEP)[5]
分類 青色輝巨星または青色巨星
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  06h 22m 41.9813538058s[1]
赤緯 (Dec, δ) −17° 57′ 21.275324448″[1]
赤方偏移 0.000112[1]
視線速度 (Rv) 33.70 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -3.23 ミリ秒/年[1]
赤緯: -0.78 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 6.62 ± 0.22ミリ秒
(誤差3.3%)
距離 490 ± 20 光年[注 1]
(151 ± 5 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -3.9[注 2]
β星の位置
物理的性質
質量 15 M[6]
自転速度 31 ± 5 km/s
スペクトル分類 B1II-III [1]
光度 34,000 L
表面温度 25,800 K[6]
色指数 (B-V) -0.23[7]
色指数 (U-B) -0.98[7]
色指数 (R-I) -0.24[7]
年齢 1,240 ± 70 万年
他のカタログでの名称
ムルジム, おおいぬ座2番星[1], BD -17 1467[1], FK5 243[1], Gaia DR2 2943532166754014976[1], HD 44743[1], HIP 30324[1], HR 2294[1], SAO 151428[1], TYC 5938-2918-1[1], 2MASS J06224199-1757215[1]
Template (ノート 解説) ■Project

おおいぬ座β星は、おおいぬ座恒星で2等星。

概要

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おおいぬ座の中では4番目に明るい星だが、実際にはα星のシリウスより1,300倍もの光度で輝いており、もし太陽系からの距離がシリウスと同じであれば金星の15倍以上の明るさで輝いて見える[6]

0.250日の周期で1.93等星~2.00等星の範囲を変光するケフェウス座β型変光星で、このタイプの変光星では最も明るく見える。そのため、このタイプの変光星を、「おおいぬ座β型変光星」と呼んだこともある[6]。このタイプの変光星は変光範囲が小さいので眼視観測では明るさの変化がわからない[6]。この星は6時間の間に+1.93から+2.00等の範囲で変光する。その変光の不安定さから、水素核融合を終える最終段階にあると考えられている[6]

太陽系から見てこの星の方向50 パーセク (pc) から300 pcにわたって、中性ガスがほとんど存在しないトンネルのような構造が存在する[8]。これは太陽系が位置する「局所泡 (Local Bubble)」の端から繋がる構造と見られており[8]、おおいぬ座β星の名を取って「ミルザム・トンネル (Mirzam tunnel)」とも呼ばれる[9]

名称

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学名はβ Canis Majoris(略称はβ CMa)。固有名はミルザム[2] (Mirzam[3][4]) 。別名ムルジム(Murzim)とも呼ばれたが、2016年6月30日に国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、Mirzam をおおいぬ座β星の固有名として正式に承認した[4]。いずれも al-mirzam というアラビア語に由来しているが、何を意味していたのかはわかっていない[3]。この星だけでなく、こいぬ座β星オリオン座γ星など、より明るい星が続いて上ってくる他の星も al-mirzam という名が付けられていたことから、何かそれに関係した意味の言葉であったと推測されている[3]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u * bet CMa -- Variable Star of beta Cep type”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2022年4月20日閲覧。
  2. ^ a b 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版)恒星社厚生閣、1996年6月30日、239頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  3. ^ a b c d Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Sky Publishing. p. 22 
  4. ^ a b c IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年11月9日閲覧。
  5. ^ a b GCVS”. Results for bet CMa. 2015年10月12日閲覧。
  6. ^ a b c d e f Jim Kaler. “Mirzam”. STARS. 2016年11月9日閲覧。
  7. ^ a b c Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11). “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”. VizieR On-line Data Catalog: V/50. Bibcode1995yCat.5050....0H. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ5a76628e9487&-out.add=.&-source=V/50/catalog&recno=2294. 
  8. ^ a b Welsh, Barry Y. (1991). “The interstellar tunnel of neutral-free gas toward Beta Canis Majoris”. The Astrophysical Journal (American Astronomical Society) 373: 556. Bibcode1991ApJ...373..556W. doi:10.1086/170074. ISSN 0004-637X. 
  9. ^ Solar neighbourhood and environs map”. Kevin Jardine's projects. 2022年4月20日閲覧。

関連項目

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