ぎょしゃ座ニュー星
ぎょしゃ座ν星 ν Aurigae | ||
---|---|---|
星座 | ぎょしゃ座 | |
見かけの等級 (mv) | 3.97[1] | |
位置 元期:J2000.0 | ||
赤経 (RA, α) | 05h 51m 29.3717403689s[2] | |
赤緯 (Dec, δ) | +39° 08′ 54.596979607″[2] | |
視線速度 (Rv) | 9.92 ± 0.14 km/s[3] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 6.201 ミリ秒/年[2] 赤緯: 6.463 ミリ秒/年[2] | |
年周視差 (π) | 15.1421 ± 0.3302ミリ秒[2] (誤差2.2%) | |
距離 | 215 ± 5 光年[注 1] (66 ± 1 パーセク[注 1]) | |
絶対等級 (MV) | -0.1[注 2] | |
ぎょしゃ座ν星の位置(丸印)
| ||
物理的性質 | ||
半径 | 19 R☉[3] | |
質量 | 2.12 M☉[4] | |
表面重力 | 0.1 G[4][注 3] | |
自転速度 | 5.0 km/s[3] | |
スペクトル分類 | K0 III[1] | |
光度 | 166 L☉[4] | |
表面温度 | 4,590 ± 44 K[4] | |
色指数 (B-V) | 1.132[1] | |
色指数 (V-I) | 1.07[1] | |
金属量[Fe/H] | 0.12 ± 0.10[4] | |
年齢 | 1.11 ×109 年[4] | |
他のカタログでの名称 | ||
ぎょしゃ座32番星, BD+39 1429, FK5 221, HD 39003, HIP 27673, HR 2012, IRC +40144, SAO 58502[2] | ||
■Template (■ノート ■解説) ■Project |
ぎょしゃ座ν星(ぎょしゃざニューせい、ν Aurigae、ν Aur)は、ぎょしゃ座の恒星である。見かけの等級は3.97で、年周視差から推定した太陽系からの距離は、およそ220光年である[1][2][注 1]。
特徴
[編集]ぎょしゃ座ν星は、非常に多くの観測が行われているが、その大半は、標準星としてのもので、ぎょしゃ座ν星自身について調べるものではない[5][6]。
ぎょしゃ座ν星は橙色巨星で、スペクトル型はK0 IIIに分類される[1]。表面温度は約4,590Kで、光度は太陽の166倍程度、半径は太陽の19倍くらいに達し、質量は太陽の2倍程度とみられる[4][3]。ぎょしゃ座ν星は、巨星の中でもレッドクランプ星に分類され、核ではヘリウム燃焼によりエネルギーを生成している[7][8]。年齢は、10億年程度と見積もらている[4]。
変光
[編集]ヒッパルコス衛星による測光から、ぎょしゃ座ν星は、ほとんど変光しない恒星と位置付けられ、一定光度からの変動はわずか0.5ミリ等級とされた[9]。しかし、小型衛星コンステレーションによる明るい天体の観測計画BRITEでの観測からは、半年分のデータでは光度曲線を制限できないくらいの長期的な変化が、0.01等級程度ではっきり示された。また、周期分析からは19.16日周期での光度変化も示唆されたが、これは変光幅が誤差程度しかなく、確かなことは言えない[6]。
伴星
[編集]ぎょしゃ座ν星は、ウィリアム・ハーシェルの時代から、南西に1分弱離れた11等星と対をなす二重星として知られるが、視線速度には軌道運動を示す時間変化がみられず、単独星だろうと考えられてきた[10][6]。しかし、テイデ天文台のロボット望遠鏡STELLAによる分光観測で、視線速度は一定でないことが示唆され、未知の低質量星との連星である可能性が示された。軌道を予想すると、周期はおよそ7370日、離心率は0.7程度の楕円軌道となる[6]。
名称
[編集]中国では、ぎょしゃ座ν星は、五車を繋ぐための木杭を意味する柱(拼音: )という星官を、ぎょしゃ座ε星、ぎょしゃ座ζ星、 ぎょしゃ座η星、ぎょしゃ座υ星、ぎょしゃ座τ星、ぎょしゃ座χ星、ぎょしゃ座26番星ともう一つの恒星(不明)とで構成する[11][12]。ぎょしゃ座ν星自身は、柱五(拼音: )と呼ばれる[12]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f ESA (1997), The HIPPARCOS and TYCHO catalogues. Astrometric and photometric star catalogues derived from the ESA HIPPARCOS Space Astrometry Mission, ESA SP Series, 1200, Noordwijk, Netherlands: ESA Publications Division, Bibcode: 1997ESASP1200.....E, ISBN 9290923997
- ^ a b c d e f g “nu. Aur -- Star”. SIMBAD. CDS. 2021年6月1日閲覧。
- ^ a b c d Massarotti, Alessandro; et al. (2008-07), “Rotational and Radial Velocities for a Sample of 761 HIPPARCOS Giants and the Role of Binarity”, Astronomical Journal 135 (1): 209-231, Bibcode: 2008AJ....135..209M, doi:10.1088/0004-6256/135/1/209
- ^ a b c d e f g h Luck, R. Earle (2015-09), “Abundances in the Local Region. I. G and K Giants”, Astronomical Journal 150 (3): 88, Bibcode: 2015AJ....150...88L, doi:10.1088/0004-6256/150/3/88
- ^ Oja, T. (1985), “UBV photometry of stars whose positions are accurately known. II”, Astronomy & Astrophysics Supplement Series 59: 461-464, Bibcode: 1985A&AS...59..461O
- ^ a b c d Strassmeier, K. G.; et al. (2020-12), “BRITE photometry and STELLA spectroscopy of bright stars in Auriga: Rotation, pulsation, orbits, and eclipses”, Astronomy & Astrophysics 644: A104, arXiv:2010.10092, Bibcode: 2020A&A...644A.104S, doi:10.1051/0004-6361/202039310
- ^ Alves, David R. (2000-08), “K-Band Calibration of the Red Clump Luminosity”, Astrophysical Journal 539 (2): 732-741, Bibcode: 2000ApJ...539..732A, doi:10.1086/309278
- ^ Kaler, Jim (2008年3月14日). “NU AUR (Nu Aurigae)”. Stars. University of Illinois. 2021年6月1日閲覧。
- ^ Adelman, S. J. (2001-02), “Research Note Hipparcos photometry: The least variable stars”, Astronomy & Astrophysics 367: 297-298, Bibcode: 2001A&A...367..297A, doi:10.1051/0004-6361:20000567
- ^ Mason, Brian D.; et al. (2021-03), “The Washington Visual Double Star Catalog”, VizieR On-line Data Catalog: B/wds, Bibcode: 2021yCat....102026M
- ^ 陳, 久金 (2005), 中國星座神話, 台灣書房出版有限公司, ISBN 978-986-7332-25-7
- ^ a b “中國古代的星象系統 (74): 畢宿天區” (中国語). AEEA 天文教育資訊網. 國立自然科學博物館 (2006年7月13日). 2021年6月1日閲覧。