さいだん座ミュー星c
さいだん座μ星c mu Arae c | ||
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星座 | さいだん座 | |
分類 | 太陽系外惑星 | |
発見 | ||
発見日 | 2004年8月25日[1] | |
発見者 | Nuño Santos, François Bouchy, Michel Mayor, Francesco Pepe | |
発見場所 | ラ・シヤ天文台, チリ | |
発見方法 | HARPS | |
現況 | 公表 | |
軌道要素と性質 | ||
軌道長半径 (a) | 0.09094 au[2] (1.3605×107 km) | |
近点距離 (q) | 0.07529 au (1.1264×107 km) | |
遠点距離 (Q) | 0.10659 au (1.5946×107 km) | |
離心率 (e) | 0.172 ± 0.040[2] | |
公転周期 (P) | 9.6386 ± 0.0015 日[2] 0.02639 | |
近点引数 (ω) | 212.7 ± 13.3 °[2] | |
前回近点通過 | JD 2452991.1 ± 0.4[2] | |
準振幅 (K) | 3.06 ± 0.13 m/s[2] | |
さいだん座μ星の惑星 | ||
恒星 | ||
視等級 | +5.15 | |
スペクトル分類 | G3IV - V | |
質量 | 1.10 ± 0.01 M☉ | |
半径 | 1.36 ± 0.01 R☉ | |
表面温度 | 5820 ± 40 K | |
金属量 [Fe/H] | 0.30 ± 0.01 | |
年齢 | 63.4 ± 4.0億年 | |
位置 | ||
赤経 (RA, α) | 17h 44m 08.7s | |
赤緯 (Dec, δ) | −51° 50′ 03″ | |
距離 | 50.6 ± 0.2 光年 (15.51 ± 0.07 pc) | |
物理的性質 | ||
下限質量 (Msin i) | 0.03321 MJ[2] (10.55 M⊕ | |
他のカタログでの名称 | ||
HD 160691 c, さいだん座μ星d[注 1] | ||
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さいだん座μ星c(さいだんざミューせいc、Mu Arae c)またはHD 160691 cは、さいだん座の方角にあるさいだん座μ星の周囲を公転している太陽系外惑星である。公式名はDulcinea(発音:[dʌlˈsɪniə]または[dʌlsɪˈniːə][3])である。この惑星は初めて発見されたホット・ネプチューンあるいはメガアースである。
現在の技術ではどんな方法であれさいだん座μ星の4惑星を直接的に見ることはできないので、間接的に視線速度法で発見された。
発見
[編集]この惑星は2004年8月25日にその発見が公表された[1]。発見当初は質量が14 M⊕とされていた[4]が、後の研究により10.5 M⊕になった[5]。恒星のごく近くを公転しており、公転周期は9.6日である。チリのラ・シヤ天文台にあるHARPSの分光器を用いて発見された。この惑星の発見に用いられたデータは、2004年6月の8夜に集められた。
名称
[編集]2014年7月、国際天文学連合 (IAU)は存在が確定している太陽系外惑星とその恒星に正式名称を与えることを企画した[6]。その過程には一般の人々からのノミネートや投票などもあった[7]。最終的に、2015年12月にIAUはこの惑星の名称がDelcineaに決定されたことを発表した[8]。この名称はスペインのPamplona天文台によって投稿された名前である。Dulcineaの由来は小説ドン・キホーテに登場するドゥルシネーア・デル・トボーソに由来する[9]。
さいだん座μ星cかdか
[編集]この惑星は天文学者によって現在でもさいだん座μ星dと呼ばれることがある。例えば、NASA Exoplanet Archiveではさいだん座μ星dが軌道長半径0.09 auであることから当惑星を指す。さいだん座μ星惑星系には4つの惑星が見つかっているが、それぞれ公転周期が638日,9.6日,310日,4200日である。Gozdziewskiらは発見された順に638日,4200日,9.6日,310日の順にb,c,d,eと名付けた[10]。しかし、対してPepeらは公転周期4200日の惑星が発見当時はまだ惑星の存在の確定には早計であると考え、確定してから符号を付けたため、638日,9.6日,310日,4200日の順にb,c,d,eと名付けた[11]。当惑星は公転周期9.6日であるため、GozdziewskiらのdとPepeらのcがそれに該当する。現在はIAUもPepeらの命名方法を使用している[12]ため、Pepeらの方法が使われる傾向にある。
特徴
[編集]真の質量は、地球型惑星の理論上の上限である14地球質量程度の海王星やグリーゼ436b程度と考えられており、地球型惑星であるならば最大級のサイズである。恒星のさいだん座μ星は金属量が太陽よりも高いため、このサイズの地球型惑星も存在しうる。また、系の雪線である3.2天文単位よりも内側で形成されたと考えられている[4]。
さいだん座μ星cは、コロナ質量放出の影響を受ける程には主星に近くない。当初から海王星程度の質量だったのか(Lammerの意見)[13]、それとも木星型惑星として形成されたのが質量を失って今の姿になったのか (Baraffeの意見) については、結論が得られていない。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ この記事の名称節を参照
出典
[編集]- ^ a b "Fourteen Times the Earth" (Press release). Garching, Germany: ESO. 25 August 2004. 2020年4月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g Pepe, F.; Correia, A. C. M.; Mayor, M.; Tamuz, O.; Couetdic, J.; Benz, W.; Bertaux, J.-L.; Bouchy, F.; Laskar, J.; Lovis, C.; Naef, D.; Queloz, D.; Santos, N. C.; Sivan, J.-P.; Sosnowska, D.; Udry, S. (2007). “The HARPS search for southern extra-solar planets. VIII. μ Arae, a system with four planets”. Astronomy and Astrophysics 462 (2): 769–776. Bibcode: 2007A&A...462..769P. doi:10.1051/0004-6361:20066194.
- ^ "Dulcinea". Oxford English Dictionary (3rd ed.). Oxford University Press. September 2005. (要購読、またはイギリス公立図書館への会員加入。)
- ^ a b N.C. Santos; F. Bouchy; M. Mayor; F. Pepe; D. Queloz; S. Udry; C. Lovis; M. Bazot et al. (2004). “A 14 Earth-masses exoplanet around μ Arae”. Astronomy and Astrophysics 426: L19–L23. arXiv:astro-ph/0408471. Bibcode: 2004A&A...426L..19S. doi:10.1051/0004-6361:200400076.
- ^ F. Pepe; A.C.M. Correia; M. Mayor; O. Tamuz; W. Benz; J.-L. Bertaux; F. Bouchy; J. Couetdic et al. (2007). “μ Ara, a system with four planets”. Astronomy and Astrophysics 462 (2): 769–776. arXiv:astro-ph/0608396. Bibcode: 2007A&A...462..769P. doi:10.1051/0004-6361:20066194.
- ^ “NameExoWorlds: An IAU Worldwide Contest to Name Exoplanets and their Host Stars”. IAU (2014年7月9日). 2020年3月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月18日閲覧。
- ^ “The Process”. IAU (2015年8月7日). 2015年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月18日閲覧。
- ^ “Final Results of NameExoWorlds Public Vote Released”. IAU (2015年12月15日). 2020年2月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月18日閲覧。
- ^ “The approved names”. IAU (2015年12月15日). 2015年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月18日閲覧。
- ^ Gozdziewski, K.; et al. (14 August 2006). "About the extrasolar multi-planet system around HD160691". arXiv:astro-ph/0608279v1。
- ^ Pepe, F.; et al. (18 August 2006). "The HARPS search for southern extra-solar planets. IX. μ Ara, a system with four planets". arXiv:astro-ph/0608396v1。
- ^ “NameExoWorlds mu Arae”. IAU. 2017年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月19日閲覧。
- ^ H. Lammer et al. (2007). “The impact of nonthermal loss processes on planet masses from Neptunes to Jupiters”. Geophysical Research Abstracts 9 (07850) .