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さくらんぼ計算

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

さくらんぼ計算(さくらんぼけいさん)は、竹森正人が第1回向山型算数研究会セミナー (TOSS) で発表した繰り上がりのあるたし算の計算過程を学習させるための手法[1]

概要

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サクランボ

のように桁数の繰り上がりが発生する場合、理解が困難になる児童が存在する。このような場合に理解をうながすため、以下のような段階を踏んで計算を行うよう教える。まずとに分解し、次いでを計算しを得て、最後にを計算することでという解を得る。

この時、の下に二股の線を引き、線の下に○2つを書き、○の中にそれぞれを記述して補記とする。この形状をサクランボと見做して命名されている。

さくらんぼ計算は発達障害など繰り上がり、繰り下がりを含む計算に対して学習障害を起こしているような児童には適切な指導法となる[2]

文科省の提示する教育課程には「さくらんぼ計算」の文言は使用されていないものの、同様の考え方が学習指導要領で解説されている[3]

問題点

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前述のように適切な指導法となる一方で、繰り上がり、繰り下がりの計算を理解している児童が、さくらんぼ計算の図を解答用紙に書かずに省略したところ、減点する教師が存在する[3][4][5]。この体験から、算数嫌いになり、中学以降で数学の授業に苦しむようになった子供も存在する[3]

保護者側からは混乱を招くとして指導方法としての統一を求める声もある[3]。一方、伊東乾は教師側の問題とし、交換法則や検算にさくらんぼ計算を用いる手法など児童に数学感覚を身につけさせる教材として適しているとしている[6]。上述のの例を使うと、必ずのを分解しなければならないことはなく、の方を分解しても良い。すなわち

を分解して得た数値とを分解して得た数値が等しくなることを確認することで計算が正しいことを確認するという検算の役割を果たす[6]。ただ、これには、さくらんぼ計算で用いる分解が一意ではないこと、交換法則が成り立つ演算にのみ使用できること(引き算や割り算にはさくらんぼ計算は適用できない)といった数学論理の構造と論理操作を教師側が児童に教える必要もある[6]

出典

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  1. ^ 1年「たしざん(2)」(東京書籍)向山型算数でこう授業する”. TOSSランド. 2020年12月23日閲覧。
  2. ^ 中村淳彦『証言 貧困女子 助けて! と言えない39人の悲しき理由』宝島社、2020年、52-53頁。ISBN 978-4299000668 
  3. ^ a b c d 野口博之 (2018年11月15日). “小学校算数の「さくらんぼ計算」に戸惑う声 文科省の見解は?”. 2020年12月23日閲覧。
  4. ^ 石川勝美「石川遼はどうやってゴルフと勉強を両立させたのか?」『石川遼の育て方: 夢に向かってまっすぐな子が育つ石川家のルール42』学研プラス、2011年。ISBN 9784059118534 
  5. ^ 8+5=13が減点? 「さくらんぼ計算」めぐり論争”. ABEMAヒルズ (2018年11月16日). 2020年12月27日閲覧。
  6. ^ a b c 伊東乾 (2018年11月20日). “「さくらんぼ計算」をけしからんと言う親の大問題 小学1年生から「さくらんぼ検算」に親しみ日本を支える人材を育てよう”. JBpress. 2020年12月23日閲覧。

関連

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