そして僕は途方に暮れる
「そして僕は途方に暮れる」 | ||||
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大沢誉志幸 の シングル | ||||
初出アルバム『CONFUSION』 | ||||
B面 | FREE WAYまで泣くのはやめろ | |||
リリース | ||||
規格 | シングル | |||
録音 |
アルファスタジオ パワー・ステーション | |||
ジャンル | ポップス、ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | EPIC・ソニー | |||
作詞 | 銀色夏生 | |||
作曲 | 大沢誉志幸 | |||
プロデュース | 木崎賢治、小林和之 | |||
チャート最高順位 | ||||
大沢誉志幸 シングル 年表 | ||||
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「そして僕は途方に暮れる」(そしてぼくはとほうにくれる)は、大沢誉志幸の5枚目のシングル。1984年(昭和59年)9月21日にEPIC・ソニーよりリリースされ、大沢誉志幸を代表するヒット曲となった。その後も数多くのアーティストにカバーされている。オリコンチャートの最高順位は週間6位、累計28.2万枚のセールスを記録した[1]。
解説
[編集]同年発売のアルバム『CONFUSION』からの2番目のシングルカット曲。シングル・バージョンとアルバム・バージョンはアレンジが若干異なる。アルバムの曲目掲載では、「そして僕は、途方に暮れる」という、読点が入っているタイトル表記になっている[注釈 1]。
大沢によると、元々この曲は「凍てついたラリー」[3]というタイトルで、他の歌手へ提供する目的で作られた曲で[4]、最初は鈴木ヒロミツ[5]、その後鈴木雅之[注釈 2][4]、山下久美子にそれぞれこの曲が一旦提供された[5][注釈 3][4]。しかしながら、いずれもこの曲を歌う気配が一向になく、その度に大沢の元へこの曲が戻され、最終的には『CONFUSION』のレコーディングの際、プロデューサーの木崎賢治に「今空いている曲はないか」と尋ねられて、この曲を引き出し、銀色夏生の詞と組み合わせて、大沢自身が歌うことになった[4]。
プロデューサーの木崎賢治によると、この「そして僕は途方に暮れる」は、先に作った詞にメロディを付ける、いわゆる詞先で作られた楽曲である。EPICソニーのプロデューサーの小坂洋二から銀色夏生を紹介され、大沢も銀色の独特な詞の世界を気に入ったため、当時大沢の楽曲のほとんどを作詞するようになっていた銀色が、「そして僕は途方に暮れる」というタイトルで一度詞を書いたものの、大沢がうまく曲を付けられないまま保留となっていた[注釈 4]。しかし、木崎はこのタイトルをすごく気に入っており、ずっと気になっていた詞だったため、アルバム制作中に大沢が曲作りに行き詰まった際、前述の「凍てついたラリー」の最後の部分に、”そして僕は途方に暮れる”というフレーズがピッタリ入ることに木崎が気づいて、この曲に合わせて銀色が詞を書き直し、さらに大沢が大サビのメロディを書き足して最終形となったという[3]。大沢自身もこの曲について、とても好きな曲だと述べている[4]。
1984年(昭和59年)発売のシングルは当時、日清カップヌードルのCMソングに起用され、その後、カップヌードルCMソングを集めたアルバム「CUP NOODLE CM SONGS COLLECTION」の3曲目にも収録された。
さらに、2008年(平成20年)にはデビュー25周年を記念して、新たにアコースティック・アレンジでセルフカバーもされ、「そして僕は途方に暮れる(25th ver.)」のシングルが発売された。
そして、2023年には、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔が主演を務めて、1月13日に公開される映画『そして僕は途方に暮れる』のエンディング曲として『そして僕は途方に暮れる 2023 movie version』が使用された[6]。
収録曲
[編集]- そして僕は途方に暮れる (4分15秒)
- FREE WAYまで泣くのはやめろ (3分41秒)
演奏者
[編集]- ベース:トニー・レヴィン #1,#2
- ドラム:ミッキー・カリー #1,#2
- ギター:G. E. スミス #1
- ギター:エイドリアン・ブリュー #2
- キーボード&フェアライト:富樫春生 #1
- パーカッション:Pecker #1,#2
- コーラス:エディ・マルチネス #2
収録作品
[編集]- アルバム『CONFUSION』(EPIC・ソニー、1984年)
- アルバム『Frenzy2』(EPIC・ソニー、1985年)
- アルバム『TraXX -Yoshiyuki Ohsawa Single Collection』(ソニー・ミュージックダイレクト、2010年)
- アルバム『Season's greetings〜春〜』(ユニバーサルミュージック、2008年)
バージョン
[編集]「そして僕は途方に暮れる」にはいくつかのバージョンが存在し、各アルバム・シングルに収録されている。
- シングルバージョン (4分15秒) - 編曲:大村雅朗
- 『そして僕は途方に暮れる』シングル
- 『THE LEGEND』
- 『TraXX -Yoshiyuki Ohsawa Single Collection-』
- オリジナルバージョン(アルバムバージョン) (4分55秒) - 編曲:大村雅朗
- Special Mixed Blend ―12 inch バージョン (6分39秒) - 編曲:大村雅朗
- 『彼女はFuture-rhythm(Special Dance Mix)』12インチシングル
- 『Frenzy2』
- 『GOLDEN☆BEST 大沢誉志幸 I.D Y II Y COOOL BEST COLLECTION(水の中のナイフ)』
- 1992 "naive" version (4分44秒) - 編曲:大村雅朗
- 25th ver.(セルフカバー) (4分35秒) - 編曲:URU/ストリングスアレンジ:弦一徹
- 「そして僕は途方に暮れる(25th ver.)」シングル
- 『Season's greetings〜春〜』
- 水月鏡花版セルフカバー (4分18秒) - 編曲:伊藤隆博
- 『水月鏡花』
- 2023 movie version (3分30秒) - 編曲:内橋和久
- 配信のみ[7]
主なカバー
[編集]- そして僕は途方に暮れる
- 1993年 - 沢田知可子
- 1994年 - 桃井かおり
- 1995年 - 赤城恭壱
- 2000年 - BLESS
- 2002年 - 福山雅治(『「福山エンヂニヤリング」サウンドトラック The Golden Oldies』)
- 2003年 - 甲斐よしひろ (カバーアルバム『翼あるもの2』)
- 2003年 - ハナレグミ (カバーコンピレーションアルバム『DISCOVER THE SONGS 〜J-STANDARD〜』)
- 2004年 - SMOOTH ACE(カバーアルバム『OTHER PEOPLE'S SONGS』)
- 2006年 - the Indigo
- 2006年 - Tammy(アルバム『Gypsy』)
- 2006年 - 村上ゆき
- 2006年 - REVERSLOW(シングル「チェイス/ハイヒール」)
- 2007年 - CHARA
- 2007年 - 高杉さと美(「雪星/そして僕は途方に暮れる」)
- 2007年 - 佐藤竹善
- 2008年 - 佐藤竹善(そして僕は途方に暮れる トベタ バジュンRemix)
- 2008年 - 日野良一(アルバム『コモレビボッサ』)
- 2009年 - 押尾コータロー(アルバム『Tussie mussie』)
- 2010年 - NOKKO
- 2011年 - TATSUMA(そして僕は途方に暮れる respect for 大澤誉志幸)- ラップによるカバー。
- 2013年 - W.C.D.A.配信シングル『そして僕は途方に暮れる (House Remix)』- ハウス・ミュージック調のカバー。
- 2015年 - 中森明菜(カバーアルバム『歌姫4 -My Eggs Benedict-』)
- 2016年 - 古内東子・大澤誉志幸 (古内名義のデュエット・アルバム『Toko Furuuchi with 10 legends』(2016年3月30日発売)に収録[8])
- 2016年 - 柴咲コウ(カバーアルバム『続こううたう』(2016年7月20日発売)に収録[9])
- 2020年 - n/ (配信アルバム『Best Practice 1 -Cover Songs Selection-』)
- 2023年 - 立花慎悟(井上和彦) (アルバム『魔法の天使 クリィミーマミ 80's J-POPヒッツ』)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ コンピレーション・アルバムの『Y〜naïve collection』も、この最初の表記である。
- ^ 大沢と互いのマネージャーが懇意であるつながりから提供された。
- ^ 鈴木雅之は当時ラッツ&スターのリーダーで、鈴木・大沢はいずれも同じEPICソニー所属のアーティストである。鈴木は2年後の1986年に大沢のプロデュースでソロデビューを果たすが、その際、大沢はこの曲のアンサーソングと位置付けた「ガラス越しに消えた夏」をソロデビュー曲として提供した。
- ^ 銀色は「雨のハイウェイ=えびのインターチェンジ」と発言している[要出典]。
出典
[編集]- ^ a b c スージー鈴木 2017, p. 165.
- ^ 「大沢誉志幸20000字インタヴュー」(聞き手:渋谷陽一)『ロッキング・オン・ジャパン ロッキング・オン』VOL.8(1988年1月増刊号)掲載。
- ^ a b 「第103回 木崎 賢治 氏 音楽プロデューサー/ブリッジ代表」musician.net 2012/04/05
- ^ a b c d e 『昭和40年男』2016年6月号(クレタパブリッシング)p.101 より。
- ^ a b “大澤誉志幸が明かす、あの名曲の数奇な運命、そして曲作りの流儀”. エンタメステーション (2017年3月24日). 2017年8月21日閲覧。
- ^ 2023.1.13(金)公開|映画『そして僕は途方に暮れる』エンディング曲スペシャル映像 - YouTube(2023年1月2日閲覧)
- ^ ““新たにアレンジされた伝説の名曲”が解禁!同名映画のエンディング曲「そして僕は途方に暮れる 2023 movie version」が配信開始!”. 2023年11月7日閲覧。
- ^ “古内東子、デュエットカバーアルバム発売が決定!” (2016年3月3日). 2016年3月3日閲覧。
- ^ “柴咲コウ「続こううたう」で星野源、GAO、マイラバ、陽水ら名曲カバー”. 音楽ナタリー. (2016年6月10日) 2016年6月10日閲覧。
参考文献
[編集]- スージー鈴木『1984年の歌謡曲』イースト・プレス〈イースト新書〉、2017年2月。ISBN 978-4-7816-5080-7。