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たまさか人形堂シリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

たまさか人形堂シリーズ』(たまさかにんぎょうどうシリーズ)は、津原泰水による日本の小説シリーズ。 『たまさか人形堂物語(ものがたり)』、『たまさか人形堂物語それから』の2作がある。

2006年より講談社の女性誌Bethで連載された『人形がたり』を大幅に改稿し、2009年に文藝春秋より単行本『たまさか人形堂物語』として刊行。 続編は2012年より別册文藝春秋にて連載、書き下ろしを加えて2013年、文藝春秋より単行本『たまさか人形堂それから』として刊行。 文庫版は2011年、2016年にいずれも文藝春秋より刊行された。

後、数年間に亘り品切重版未定の状態が続き、2022年、東京創元社より再刊の運びとなった[1]

概要

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人形全般の修復を請け負う「玉阪人形堂」に、日々持ち込まれるさまざまな人形やその持ち主をめぐる事件が、人形堂店主である女性の一人称で語られる。

主に一話完結形式である。

主な登場人物

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澪(みお)
語り手。玉阪人形堂店主。祖父から人形店を相続した元OL。人形については素人。
冨永(とみなが)
玉阪人形堂に籍を置く人形職人。自由気儘な青年。
師村雪夫(しむら ゆきお)
玉阪人形堂に籍を置く人形職人。経歴不詳の凄腕。
束前(つかまえ)
ラヴドール・メイカー〈キャプチュア〉社代表。

作中で扱われる主な人形

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書籍情報

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創元推理文庫版『たまさか人形堂ものがたり』には「回想ジャンクション」が、同『たまさか人形堂それから』には「戯曲 まさかの人形館」が書き下ろしで追加収録されている。

転載

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『小説・マンガで見つける!すてきな仕事 4 うみだす』学研教育出版(編) / 学研教育出版 / 2015年
『ダッチワイフ』伴田良輔(編) / 皓星社 / 2017年

また、特に第一話は中学受験の試験問題に使用されることが多い[2]

海外翻訳

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  • 『Le storie del negozio di bambole』(訳・Massimo Soumaré 伊・Lindau 2020年6月 / 伊・corriere 2021年9月)[3][4]
  • 『Le nuove storie del negozio di bambole』(訳・Massimo Soumaré 伊・Lindau 2022年6月)[5]

旧版との差異

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連載作品『人形がたり』からは「大幅な改稿」が行なわれている[6]。 著者自身が書籍跋文にて示している「大きな違い」は以下の点である[7]

  • 題名の変更に伴い人形店名が変更されていること
  • 第1話と第2話が合成されていること
  • 「散逸した人形のかしら」が第1作では全て集まらないこと
  • 書き下ろしのエピソード「最終公演」が加えられていること

その他、登場人物名や各部の文章表現に加筆、修正が行なわれている。

また、連載では各回にヤマザキマリによる挿絵が付されている。

関連項目

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以下への取材を経て執筆されている[8]

  • 株式会社タカラトミー - リカちゃん人形
  • エコール・ド・シモン / 四谷シモン - 創作人形
  • さいとう恵美子 - 市松人形
  • 佐古賢治 - ボルト・ナット人形
  • 株式会社七彩 / 池田公信 - マネキン人形
  • 人形の久月 - 木目込み人形
  • Project Level-D/ 菅原史嵩 - ラヴドール

関連書籍

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  著者が実際に佐古賢治から贈られたボルト・ナット人形の写真が収載されている。

脚注

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  1. ^ たまさか人形堂ものがたり”. 2022年1月26日閲覧。
  2. ^ 著者Twitterアカウント2016年9月26日投稿”. 2019年8月29日閲覧。
  3. ^ Le storie del negozio di bambole”. 2022年1月26日閲覧。
  4. ^ LA GRANDE LETTERATURA GIAPPONESE Uscita 21”. 2022年1月26日閲覧。
  5. ^ Le nuove storie del negozio di bambole _ Tsuhara Yasumi _ 9788833538174 _ Edizioni Lindau”. 2022年7月24日閲覧。
  6. ^ 『たまさか人形堂物語』文庫版p.227
  7. ^ 『たまさか人形堂物語』文庫版p.222
  8. ^ 『たまさか人形堂それから』文庫版p.223