つ (格助詞)
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日本語の格助詞「つ」は、名詞の後に、または、形容詞の語幹の後に置かれ、連体修飾語を作るものである[1]。意味は、「…の」、「…にある」[1]。例えば、「まつげ」(目つ毛)とは、「目の毛」、「目にある毛」の意味である。
用法の似る格助詞として、「の」・「が」があるが、「つ」は、これらに比べて用法が限定される[1]。「の」・「が」には、主格を表示する用法があるのに対し、「つ」は、連体修飾語を作る用法のみである[1]。その上、「つ」に先行する名詞・形容詞は、時間・場所を表すものと、属性を表すものとにほぼ限られる[1]。「の」・「が」は、上代から現代に至るまで格助詞として使われているのに対し、「つ」は、中古以降、「まつげ」、「ときつかぜ」などの複合語の構成要素として残るのみである[1]。
格助詞「つ」を含む複合語
[編集]- あまつかみ・くにつかみ(天つ神・国つ神、天津神・国津神)
- あまつつみ・くにつつみ(天つ罪・国つ罪)
- おくつき(奥つ城、奥都城)
- かみつけぬのくに・しもつけぬのくに(上つ毛野の国・下つ毛野の国、上野国・下野国)
- かみつふさのくに・しもつふさのくに(上つ総の国・下つ総の国、上総国・下総国)
- ちかつあはうみのくに・とほつあはうみのくに(近つ淡海の国・遠つ淡海の国、近江国・遠江国)
- ときつかぜ(時つ風、時津風)
- なかつくに(中つ国)
- まつげ(目つ毛)
- わたつみ・おおやまつみ(海つ霊・大山つ霊)