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はと座ミュー星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
はと座μ星
μ Columbae
星座 はと座
見かけの等級 (mv) 5.15[1]
変光星型 疑わしい[2]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  05h 45m 59.89496s[3]
赤緯 (Dec, δ) −32° 18′ 23.1630″[3]
視線速度 (Rv) 109.0 ± 1.8 km/s[3]
固有運動 (μ) 赤経: 2.98 ミリ秒/[3]
赤緯: -22.24 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 2.45 ± 0.20ミリ秒[3]
(誤差8.2%)
距離 1300 ± 100 光年[注 1]
(410 ± 30 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -3.64[1]
はと座μ星の位置(丸)
物理的性質
半径 4.6 R[1][4]
質量 19 M[1]
表面重力 10 G[1][注 2]
自転速度 111 km/s[5]
スペクトル分類 O9.5 V[1]
光度 25,000 L[1][4]
表面温度 33,000 K[1]
色指数 (B-V) -0.28[6]
色指数 (U-B) -1.06[6]
年齢 5.2 ×106[7]
他のカタログでの名称
HD 38666, CD-32 2538, HIP 27204, HR 1996, SAO 196149
Template (ノート 解説) ■Project

はと座μ星(はとざミューせい、μ Columbae、μ Col)は、はと座にある恒星である。はと座μ星は、肉眼でみることができる数少ないO型星の1つである[8](例えば、輝星星表におけるO型星は51個だけである[6])。太陽系からの距離は、およそ1,300光年とされるが、誤差が100光年以上ある[3]

特徴

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はと座μ星は、自転が高速でおよそ111km/s[5]、これは自転周期にすると2程度である。これを、はと座μ星より小さい太陽の自転周期が約25.4日であるのと比べると、はと座μ星の自転が如何に速いかがわかる[9]。しかし、この自転速度は、O型星の中では速くも遅くもないものである[5]。 はと座μ星は、O型星の中で恒星風が非常に弱い恒星の典型的な例とされる[1]。O型星では、恒星風により一年あたりに地球質量の3分の1程度が放出されてよいところを、はと座μ星の場合は、一年あたり地球質量の1万分の1程度しか放出されていないと推定される。

逃走星

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固有運動視線速度の測定から、はと座μ星とぎょしゃ座AE星は、ほぼ反対の方向に、それぞれおよそ100km/sという高速で遠ざかっていることが知られている。この2つの恒星の動きを遡ると、およそ250万年前、トラペジウム領域内 のオリオン座ι星の辺りで交錯する[10]。このような「逃走星」ができるシナリオとして「2つの連星系が遭遇した際に、それぞれ1つの星が反対方向に弾き飛ばされ、残された一方の恒星同士が新たな連星系を作る」というものである[10]。はと座μ星は元々オリオン座ι星Bと連星系をなしており、ぎょしゃ座AE星とオリオン座ι星Aの連星系との遭遇によって弾き出されたとみられる[10]

名称

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中国では、はと座μ星は排泄物を意味する拼音: Shǐ)と呼ばれる[11]。これは、同じ参宿星官うさぎ座辺りを指すの南にポツンとあることから、そう呼ばれる。

はと座μ星の他、おおいぬ座ζ星おおいぬ座λ星はと座γ星はと座δ星はと座θ星はと座κ星はと座λ星はと座ξ星で、アラビア語で雄猿を意味するAl Qurūdألقرد - al-qird)という星座を作っていた[12]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 出典での表記は、

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i Martins, F.; et al. (2005-10), “O stars with weak winds: the Galactic case”, Astronomy & Astrophysics 441 (2): 735-762, Bibcode2005A&A...441..735M, doi:10.1051/0004-6361:20052927 
  2. ^ Samus, N. N.; et al. (2009-01), “General Catalogue of Variable Stars”, VizieR On-line Data Catalog: B/gcvs, Bibcode2009yCat....102025S 
  3. ^ a b c d e f g mu. Col -- Variable Star”. SIMBAD. CDS. 2017年12月22日閲覧。
  4. ^ a b Huenemoerder, David P.; et al. (2012-09), “On the Weak-wind Problem in Massive Stars: X-Ray Spectra Reveal a Massive Hot Wind in μ Columbae”, Astrophysical Journal Letters 756 (2): L34, Bibcode2012ApJ...756L..34H, doi:10.1088/2041-8205/756/2/L34 
  5. ^ a b c Penny, Laura R. (1996-06), “Projected Rotational Velocities of O-Type Stars”, Astrophysical Journal 463: 737-746, Bibcode1996ApJ...463..737P, doi:10.1086/177286 
  6. ^ a b c Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11), “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”, VizieR On-line Data Catalog: V/50, Bibcode1995yCat.5050....0H 
  7. ^ Bagnuolo, William G., Jr.; et al. (2001-06), “ι Orionis-Evidence for a Capture Origin Binary”, Astrophysical Journal 554 (1): 362-367, Bibcode2001ApJ...554..362B, doi:10.1086/321367 
  8. ^ Jim Kaler. “MU COL (Mu Columbae)”. University of Illionis. 2017年12月23日閲覧。
  9. ^ Sun - By the Numbers”. NASA. 2017年12月16日閲覧。
  10. ^ a b c Gualandris, Alessia; Portegies Zwart, Simon; Eggleton, Peter P. (2004-05), “N-body simulations of stars escaping from the Orion nebula”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 350 (2): 615-626, arXiv:astro-ph/0401451, Bibcode2004MNRAS.350..615G, doi:10.1111/j.1365-2966.2004.07673.x 
  11. ^ (中国語)AEEA 天文教育資訊網: 中國古代的星象系統 (76): 參宿天區”. 國立自然科學博物館 (2006年7月15日). 2017年12月22日閲覧。
  12. ^ Davis, G. A., Jr. (1944-10), “The Pronunciations, Derivations, and Meanings of a Selected List of Star Names”, Popular Astronomy 18: 8-30, Bibcode1944PA.....52....8D 

参考文献

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  • R. バーナム Jr. 著、斉田 博 訳『星百科大事典 改訂版』地人書館、1988年2月10日、1046頁。ISBN 4-8052-0266-1 

関連項目

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外部リンク

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座標: 星図 05h 45m 59.89496s, −32° 18′ 23.1630″