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アカグツ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アカグツ科
アカグツ Halieutaea stellata
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目[1] Acanthopterygii
: アンコウ目 Lophiiformes
亜目 : アカグツ亜目 Ogcocephaloidei
: アカグツ科 Ogcocephalidae
英名
Batfishes
下位分類
本文参照

アカグツ科学名Ogcocephalidae)は、アンコウ目に所属する魚類の分類群()の一つ。アカグツフウリュウウオなど、底生性深海魚を中心に10属78種が含まれる[1]。科名(模式属名)の由来は、ギリシア語の「ogkoo(広がった)」と「kephale(頭部)」から[2]

分布・生態

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アカグツ科の魚類はそのほとんどが海水魚で、地中海を除く全世界の熱帯亜熱帯の海に幅広く分布する[1]。多くの種が大陸棚から大陸斜面にかけての深海で生活する底生魚であり、生息水深の限界は概ね1,500-3,000mにまで達する[1]。ニシフウリュウウオ属などアメリカ大陸周辺に分布する仲間は、沿岸のごく浅い海域にも暮らしており、まれに河川の上流まで進出する例が知られている[1]。日本近海からは、少なくとも7属23種が報告されている[3]

著しく縦扁した特徴的な体は遊泳にはまったく不向きで、腕のように発達した大きな胸鰭と比較的小さい腹鰭を使い、海底を歩くように移動する[1]食性肉食性で、甲殻類巻貝などの海底の無脊椎動物や、他の魚類を捕食する[2][4]仔魚は浮遊生活を送ることが知られ、成長のいずれかの段階で海底に定着するとみられている[2]。幼魚の遊泳する姿の観察記録は非常に珍しく、採集家の鈴木香里武による2018年の記録が世界で初めてとなった[5]

形態

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アカグツ属の1種(Halieutaea retifera)。著しく扁平な頭部、後ろ向きに突き出た大きな胸鰭、細長い尾柄部は本科魚類に共通する特徴である

体型は非常に独特で、上下に押しつぶしたような著しく平たい体と、全身を覆う突起状のが特徴である[1]。頭部は円形か、(口先)の尖った三角形を呈する[6]。体長は最大種でも40cm程度で、多くの種類は20cm前後である[1]。ユメソコグツ属の一部のみ箱形の丸い体型をもち、海底付近を遊泳して生活する[2]。口は水平に開き、歯は小さく円錐状[2]

全身を覆う鱗の形態は円錐状からトゲをもつものまでさまざまで、硬化した鱗が互いに癒合し甲羅のような外見を呈するもの、細長く伸びた糸状のフィラメントに覆われるものもある[2]側線鱗の形状は特殊化している[1]

背鰭の第1棘条に由来する誘引突起は比較的短く、第2棘条は痕跡的に存在する[1]。背鰭軟条部と臀鰭は小さく、それぞれ1-6本および3-4本の軟条で構成される[1]。胸鰭は10-19軟条で大きく、腕のように発達する[1][2]。腹鰭は1棘5軟条で喉の位置にあり、体を支える役割をもつ[2][6]

頭部には溝状のくぼみが存在し、擬餌状体を収納することができる[1]の開口部は胸鰭基底の直上に存在し、第1鰓弓は退縮し鰓弁をもたない[1]椎骨は16-21個[2]

分類

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アカグツ科にはNelson(2016)の体系において、10属78種が認められている[1]。本科は単独でアカグツ亜目 Ogcocephaloidei を構成する[1]

イガグツ(Dibranchus atlanticus)。大西洋の深海に幅広く分布する[2]
フウリュウウオ属の1種(Malthopsis jordani)。主にハワイ諸島周辺から知られる。かつてはコワヌケフウリュウウオ M. gigas と混同されていた[3]
ユメソコグツ Coelophrys brevicaudata (ユメソコグツ属)。本属は箱型の丸い体をもち、アカグツ科の中では例外的に海底付近を遊泳して生活する
ニシフウリュウウオ属の1種(O. corniger)。本属の仲間(13種)はすべてアメリカ大陸周辺に分布し、「バットフィッシュ」と総称される
イガニシフウリュウウオ (O. parvus)。腕のように発達した胸鰭と腹鰭は本科魚類の特徴で、海底で体を支えじっとしていることが多い
ニシフウリュウウオ属の1種(O. darwini)。ガラパゴス諸島からペルー南部にかけての、比較的浅い海に生息する[2]

出典・脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 『Fishes of the World Fifth Edition』 pp.511-512
  2. ^ a b c d e f g h i j k Ogcocephalidae”. FishBase. 2016年7月9日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g 『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』 pp.544-551,1885-1887
  4. ^ 『日本の海水魚』 pp.144-145
  5. ^ 毎日新聞, 2019年7月18日「深海アイドル図鑑」100回記念&最終回、拡大版 赤ちゃんは岸壁にいた」
  6. ^ a b 『海の動物百科3 魚類II』 p.96

参考文献

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外部リンク

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