アキタブキ
アキタブキ(ラワンブキ) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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アキタブキ(2014年5月、礼文島にて)
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. subsp. giganteus (G.Nicholson) Kitam. (1942)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
アキタブキ(秋田蕗) |
アキタブキ(秋田蕗、学名:Petasites japonicus subsp. giganteus)は、キク科フキ属の多年草であるフキ[4]の亜種[5]。エゾブキ、オオブキとも呼ばれる[6]。ラワンブキ(螺湾蕗)は、アキタブキの一種[7]。
特徴
[編集]和名の由来は、フキの変種で、秋田に自生したことからアキタブキ(秋田蕗)と名付けられた[8]。日本原産で、主に本州北部(秋田県、岩手県)、北海道、千島、樺太に分布している[9][10][11]。葉柄が1メートル[10]から2メートル[11]、葉の直径は1.5メートルとなり[11]、食用とする[10][11]。秋田県を中心に加工用として約1ヘクタール (ha) 栽培されている[10][12]。 特に寒冷地では牧草地で大繁殖する。家畜が食べないので畜産農家からは嫌われている[12]。
江戸時代、秋田藩主の佐竹義峯は江戸でこの傘の代わりにもなるフキの自慢をしたところ、他の藩主から信じてもらえなかった。そこで、藩主の名誉のために、領民は山野を捜索して2本の巨大フキを江戸に運び、藩主の名誉を回復したという。これにより、傘代わりにもなるこのフキの存在が国中に知られることとなった[13][14][15]。葛飾北斎も『北斎漫画』に、フキの下で遊ぶ男たちを描いている。
葉と葉柄はにわか雨の際には傘代わりになるほど大きく、うっそうと秋田蕗が茂る場所には、コロポックルとよばれる小人が住んでいたというアイヌ伝説が残されている[5]。
秋田県での利用
[編集]秋田県では秋田音頭にこの秋田蕗を傘の代わりとして利用される様子が歌われる。秋田おばこ姿の女性が秋田蕗を刈る様子が例年撮影されるほか、伝統の和菓子であるもろこしやマンホール、漆器の模様として図案化された秋田蕗が用いられるなど、食用以外でも秋田のイメージシンボル的な形で幅広く利用されている。
また、秋田蕗摺(あきたふきずり)は秋田蕗の葉脈や茎の細かい筋を布や紙に鮮明に刷り込む染色工芸で、1861年(文久2年)[16]、宮越精次郎によって考案された。現代でもこの伝統が引き継がれ、ふすまや屏風、ふろしきなどが作られ販売されている。
ラワンブキ
[編集]北海道足寄町の螺湾川(らわんがわ)に沿って自生するアキタブキは特に大きく、高さ2 - 3m・茎の直径が10cmに達し、「螺湾(らわん)ブキ」の名で北海道遺産に選定されている。かつては高さ4mに及ぶものもあり、馬に乗ったままその下をくぐることもできたという[17]が、現代見られるものはそこまで大きくはない。
主な生育条件は水分が豊富で土壌が砂質であることで、収穫時期は主に6月中旬である。かつて、自然環境の変化などが原因でラワンブキの生産が減少していた時期があった。しかし、1988年にJAあしょろがラワンブキ増殖方法を編み出し[18]、それ以来生産が安定している。ちなみに、「ラワンぶき」はJAあしょろの登録商標である。また、ラワンブキのブランド維持のために、種苗の持ち出しは禁止されている。
ラワンブキは食用となる。太く、繊維分が多いにもかかわらず、実際はやわらかく風味豊かな野菜であるため、煮物や炒め物、金平、天ぷら、味噌汁などに用いられる。普通のフキよりもカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富である。
足寄町では、ラワンブキを使用した料理、加工物を特産品として町興しに利用している。道の駅あしょろ銀河ホール21の中には足寄町出身のフォークシンガー・松山千春とラワンブキが並んだ実物大のパネルが飾られている。
出典
[編集]- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. subsp. giganteus (G.Nicholson) Kitam. アキタブキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年5月8日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. var. giganteus G.Nicholson アキタブキ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年5月8日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Petasites amplus Kitam. アキタブキ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年5月8日閲覧。
- ^ “【フキ(ふき)】”. 百科事典マイペディア (2010年5月). 2011年12月13日閲覧。
- ^ a b 高野昭人監修 世界文化社編 2004, p. 6.
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)[リンク切れ]
- ^ 毎日新聞2011年6月28日地方版[リンク切れ]
- ^ 大嶋敏昭監修 2002, p. 363.
- ^ 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著 2010, p. 20.
- ^ a b c d “【秋田蕗(アキタブキ)】”. デジタル大辞泉. 2011年12月13日閲覧。
- ^ a b c d 岡山理科大学総合情報学部生物地球システム学科植物生態研究室(波田研)
- ^ a b シンジェンタ ジャパン 雑草の話 第9話 フキ属(Petasites)について Archived 2009年2月21日, at the Wayback Machine.
- ^ 國書刊行會「秋田杉直物語」『列侯深祕録』國書刊行會、1914
- ^ 北東北こだわり百科 Archived 2007年10月20日, at the Wayback Machine.
- ^ 秋田市役所公式サイト「広報あきた」平成3年6月20日号p.1
- ^ “秋田市 秋田市の工芸品(染色)”. 2015年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年7月16日閲覧。
- ^ “北海道遺産 「螺湾(らわん)ブキ」(足寄町)”. NPO法人北海道遺産協議会. 2012年1月21日閲覧。
- ^ “ラワンブキ、日本一の巨大フキ”. PNG Office (2008年6月16日). 2012年1月21日閲覧。
参考文献
[編集]- 大嶋敏昭監修『花色でひける山野草・高山植物』成美堂出版〈ポケット図鑑〉、2002年5月20日、362 - 363頁。ISBN 4-415-01906-4。
- 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著『花と葉で見わける野草』小学館、2010年4月10日、20頁。ISBN 978-4-09-208303-5。
- 高野昭人監修 世界文化社編「ふきのとう」『おいしく食べる 山菜・野草』世界文化社〈別冊家庭画報〉、2006年4月20日、6 - 8頁。ISBN 4-418-06111-8。