アキチョウジ
アキチョウジ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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福井県福井市 2021年10月下旬
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Isodon longitubus (Miq.) Kudô (1929)[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
アキチョウジ(秋丁字)[5][6] |
アキチョウジ(秋丁字、学名:Isodon longitubus)は、シソ科ヤマハッカ属の多年草[5][6][7]。別名、キリツボ[6]。
特徴
[編集]茎は四角形で直立し、高さは70-100cmになり、稜には下向きの毛が生える。葉は対生し、葉身は狭卵形から細長い楕円形で、長さ7-15cm、幅2.5-5cmになり、先は鋭くとがり、縁には低い鋸歯があり、基部はくさび形に狭くなって葉柄の翼に移行する[6][7]。
花期は8-10月。茎先および上部の葉腋から集散花序をだし、花柄の先に青紫色の花を多数つけ、やや一方向に偏った細長い細長い花穂をつくる。花柄は長さ1cm以下で細毛が生える。花序の下部にある苞は葉状になる。萼はやや唇形で、長さは花時で2.5-3mm、果時には6-7mmになり、上唇は3裂して裂片は三角形で先は鈍頭、下茎は2裂して上唇よりやや長く裂片は細長い。花冠は長さ17-20mmになる2唇形で、筒部がいちじるしく長く、上唇は立ち上がって浅く4裂し、下唇はボート形になって前方につき出る。雄蕊は4個あって、うち2個が長く、雌蕊1個とともに下唇の中にある。果実は4個の平滑な長さ約2mmになる分果からなり、伸びた萼に包まれる。染色体数は2n=24[6][7]。
分布と生育環境
[編集]日本固有種[8]。本州の岐阜県以西、四国、九州に分布し[5][6][7][8]、山地の半日陰に生育する[5][7]。
名前の由来
[編集]和名アキチョウジは、「秋丁字」の意で、秋に丁子形の花を開くのでいう[6]。古くからある名前で、1856年(安政3年)に出版された飯沼慾斎の『草木図説』に「アキテウジ(別名、キリツボ、香茶菜)」がある[9]。
種小名(種形容語)longitubus は「長い管の」の意味[10]。
分類
[編集]同属のセキヤノアキチョウジ Isodon effusus に似る。本種は、花序の下部の苞が葉形になり、花柄は長さ1cm以下で花序の幅が狭く、花柄に細毛が生え、萼の上唇の裂片が短く鋭頭となる。一方、セキヤノアキチョウジは、花序の苞が小さく、花柄が細長く開出して長さ1-2.5cmになり花序の幅が広く、花柄は無毛、萼の上唇の裂片が披針形で鋭突頭になることで異なる[5][6][7]。また、本種は、葉腋から出る花序は少数で、主茎の花序より小さいのに対し、セキヤノアキチョウジは、葉腋から出る花序は多数あり、主茎の花序の大きさとほぼ同じである[7]。
また、本種の分布地は、本州の岐阜県以西、四国、九州であるのに対し、セキヤノアキチョウジの分布地は、本州の愛知県以東の中部地方および関東地方である[5][6][7]。
下位分類
[編集]- シロバナノアキチョウジ Isodon longitubus (Miq.) Kudô f. albiflorus (Makino) H.Hara (1949)[11] - 飯沼慾斎の『草木図説』の「アキテウジ」の頁に白花種の記載があり、「一種白花ナルアリ。白花ナルハ葉皺襀(しわ・ひだ)アッテ花稍(やや)小ナリ。」とある[9]。別名、シロバナアキチョウジ[11]。品種名 albiflorus は「白花の」の意味[12]。
自然雑種
[編集]ヤマハッカ属には属内のほとんどの種間に自然雑種が報告されている[13]。アキチョウジに関連するものを次に示す。
- ヤマアキチョウジ Isodon × arakii Murata (1959)[14] - ヤマハッカ×アキチョウジ、タイプ標本の採集地は岐阜県益田郡金山町(現下呂市)[14][15]。
- クロバナアキチョウジ Isodon × kurobana-akichoji Murata (1993)[16] - アキチョウジ×クロバナヒキオコシ[16]、タイプ標本の採集地は滋賀県東浅井郡浅井町(現長浜市)、花冠は長さ8-10mm、暗紫色をおびる[17]。
- タカクマアキチョウジ Isodon × takakuma-akichoji Murata (1993)[18] - アキチョウジ×タカクマヒキオコシ、タイプ標本の採集地は和歌山県東牟婁郡大雲取山ほか、花冠は長さ12-15mmと大きく、青紫色になる[17]。
ギャラリー
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花冠は唇形で、筒部がいちじるしく長く、上唇は立ち上がって浅く4裂し、下唇はボート形になって前方につき出る。果実は4個の平滑な分果からなり、伸びた萼に包まれる。
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花柄は長さ1cm以下で細毛が生える。花序の下部にある苞は葉状になる。
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葉は対生し、葉身は狭卵形で、先は鋭くとがり、縁には低い鋸歯があり、基部はくさび形に狭くなって葉柄の翼に移行する。
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葉の裏面。
脚注
[編集]- ^ アキチョウジ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=30078 アキチョウジ(シノニム)] 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ アキチョウジ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ アキチョウジ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.437
- ^ a b c d e f g h i 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1087
- ^ a b c d e f g h 米倉浩司 (2017)『改訂新版 日本の野生植物 5』「シソ科」p.142
- ^ a b 『日本の固有植物』p.123
- ^ a b 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(11)、アキテウジ、コマ番号40/82、国立国会図書館デジタルコレクション-2021年10月31日閲覧
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1500
- ^ a b シロバナノアキチョウジ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1482
- ^ 米倉浩司 (2017)『改訂新版 日本の野生植物 5』「シソ科」p.143
- ^ a b ヤマアキチョウジ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ 北村四郎・村田源、「原色日本植物圖鑑草木編1(合瓣花類)に發表した新名及び新見解」, Isodon × arakii Murata, hybr. nov., Acta Phytotax. Geobot.,『植物分類・地理』、Vol.17, No.1, pp.9-10, (1959)
- ^ a b クロバナアキチョウジ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b 村田源、「植物分類雑記10」, 40.クロバナアキチョージ(新称)、42.タカクマアキチョウジ(新称), Acta Phytotax. Geobot.,『植物分類・地理』、Vol.25, No.2-3, pp.47-51, (1972)
- ^ タカクマアキチョウジ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
参考文献
[編集]- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- 北村四郎・村田源、「原色日本植物圖鑑草木編1(合瓣花類)に發表した新名及び新見解」, Isodon × arakii Murata, hybr. nov., Acta Phytotax. Geobot.,『植物分類・地理』、Vol.17, No.1, pp.9-10, (1959)
- 村田源、「植物分類雑記10」, 40.クロバナアキチョージ(新称)、42.タカクマアキチョウジ(新称), Acta Phytotax. Geobot.,『植物分類・地理』、Vol.25, No.2-3, pp.47-51, (1972)