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アサマリンドウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アサマリンドウ
アサマリンドウ、天狗倉山、三重県北牟婁郡紀北町にて、2019年11月2日撮影
アサマリンドウ
天狗倉山三重県北牟婁郡紀北町にて、2019年11月
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: リンドウ目 Gentianales
: リンドウ科 Gentianaceae
: リンドウ属 Gentiana
: アサマリンドウ G. sikokiana
学名
Gentiana sikokiana Maxim.[1]
和名
アサマリンドウ
品種
  • G. sikokiana Maxim. f. albiflora Akasawa et E.Hirose シロバナアサマリンドウ[2]

アサマリンドウ(朝熊竜胆、学名Gentiana sikokiana Maxim.[1])は、リンドウ科リンドウ属分類される多年草の1[3][4]日本固有種である[3]和名のアサマ(朝熊)は、最初に三重県朝熊山(朝熊ヶ岳)で発見されたことに由来する[3][5]種小名のsikokianaは、四国産を意味する[6]

特徴

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は粗いひげ根で薄黄色[3]は直立または斜上し[6]、4条線があり[4]、草丈は高さ10-25 cm[3]形または長楕円形、長さ3-9 cm[6]、革質で先端が尖り、基部も次第に狭まって、明らかな葉柄に連なり[4]、縁には波状のしわがあり、少し光沢があり、3主脈が目立ち[4]、2-4対が対生する[3]。茎の先端と上部の葉腋[4]、青紫色のを上向きに数個つける[3]花冠は長さ4-5 cm、表面に薄緑色の細かい斑点がある[3]は緑色、萼筒は長さ10 mm前後、裂片は卵形で[4]、5裂し、平らに開く[3]。花冠副片は小さく、蒴果は花冠から出ない[4]種子は披針形で、網紋と狭い翼がある[4]。花期は10-11月[3]

分布と生育環境

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低山地の林内に生育するアサマリンドウ、朝熊山三重県伊勢市)にて

日本の本州紀伊半島南部、中国地方)、四国九州に分布する[3]九州山地四国山地紀伊山地に特徴的に分布する植物であるソハヤキ要素植物のひとつとされている[7]1932年昭和7年)に『三重県植物誌』で、朝熊七草のひとつとして紹介されている[7][8]

山地[4]の林内に生育する[3]

分類

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まれにリンドウとの自然雑種のイセリンドウ(学名:G. iseana Makino[9])が見られる[4]。以下の品種が知られている。

シロバナアサマリンドウ
白花朝熊竜胆、学名:Gentiana sikokiana Maxim. f. albiflora Akasawa et E.Hirose[2]

リンドウとの識別ポイント

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同属のリンドウに形態が似ていて、リンドウが葉が5対以上なのに対して、本種は葉が2-4対。[10]。リンドウは萼裂片が披針形または線形で平開しないのに対して、本種は萼裂片が卵形で平開する[10]。リンドウは葉の縁が波状にならず、葉柄がないのに対して、本種は葉の縁が波状になり、葉柄がある[10]

和名 アサマリンドウ リンドウ
学名 Gentiana sikokiana Maxim.[1] Gentiana scabra Bunge
var. buergeri (Miq.) Maxim.
ex Franch. et Sav.[11]
分布 本州(紀伊半島南部、中国地方)
四国、九州
本州
四国、九州、奄美[4]
草丈 10-25 cm[3] 20-100 cm[12]
アサマリンドウ(天狗倉山、三重県北牟婁郡紀北町、2019年11月1日撮影)
花期10-11月
リンドウ(白山、石川県白山市、2015年9月5日撮影)
花期9-11月[4]
アサマリンドウ(天狗倉山、三重県北牟婁郡紀北町、2019年11月2日撮影)
萼裂片が卵形
平開する[10]
リンドウ(伊吹山、滋賀県米原市、2016年8月27日撮影)
萼裂片が披針形または線形
平開しない[10]
アサマリンドウ(天狗倉山、三重県北牟婁郡紀北町、2019年11月1日撮影)
葉は卵形または長楕円形
少し光沢がある
葉の縁が波状になり
葉柄がある[10]
リンドウ(三ッ瀬明神山、愛知県新城市、2018年11月20日撮影)
葉は卵状披針形
葉の縁が波状にならず
葉柄がない[10]

種の保全状況評価

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環境省による国レベルのレッドリストとしての指定はないが[13]香川県では準絶滅危惧(NT)の指定を受けている[14]。採取行為や森林開発による生育地の消失などにより、個体数の減少が顕著となっている[14]

脚注

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白い花をつける品種のシロバナアサマリンドウ
  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “アサマリンドウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年1月23日閲覧。
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “シロバナアサマリンドウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年1月23日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 林 (2009)、263頁
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 佐竹 (1981)、31頁
  5. ^ 金丸 (2017)、118頁
  6. ^ a b c 牧野 (1982)、441頁
  7. ^ a b アサマリンドウ”. 三重県. 2020年1月23日閲覧。
  8. ^ 伊藤 (1932)
  9. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “イセリンドウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年1月23日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g 佐竹 (1981)、30頁
  11. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “リンドウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年1月23日閲覧。
  12. ^ 林 (2009)、260頁
  13. ^ 環境省レッドリスト2019” (PDF). 環境省. 2020年1月24日閲覧。
  14. ^ a b アサマリンドウ”. 香川県. 2020年1月23日閲覧。

参考文献

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  • 伊藤武夫『三重県植物誌』1932年。 
  • 金丸勝実、内田拓也『三重県の山』山と溪谷社〈分県登山ガイド〉、2017年10月5日。ISBN 978-4635070300 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』平凡社、1981年10月。ISBN 4582535038 
  • 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421 
  • 牧野富太郎、本田正次『原色牧野植物大図鑑北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZENCID BN00811290全国書誌番号:85032603https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001728467-00 

関連項目

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外部リンク

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