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塩化アセチル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アセチルクロリドから転送)
塩化アセチル[1]
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識別情報
CAS登録番号 75-36-5 チェック
PubChem 6367
ChemSpider 6127 チェック
UNII QD15RNO45K チェック
EC番号 200-865-6
国連/北米番号 1717
ChEBI
RTECS番号 AO6390000
バイルシュタイン 605303
Gmelin参照 1611
特性
化学式 CH
3
COCl
モル質量 78.49 g/mol
外観 無色の液体
密度 1.104 g/ml, 液体
融点

-112℃

沸点

52℃

への溶解度 水と反応する
磁化率 -38.9·10−6 cm3/mol
構造
双極子モーメント 2.45 D
危険性
GHSピクトグラム 可燃性腐食性物質急性毒性(低毒性)
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H225, H302, H314, H335, H412
Pフレーズ P210, P233, P240, P241, P242, P243, P260, P261, P264, P270, P271, P273, P280, P301+312
NFPA 704
3
3
2
引火点 4 °C (39 °F; 277 K)
発火点 390 °C (734 °F; 663 K)
爆発限界 7.3–19%
関連する物質
関連するカルボン酸塩化物 塩化プロピオニル
塩化ブチリル
関連物質 酢酸
無水酢酸
臭化アセチル
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

塩化アセチル(えんかアセチル、acetyl chloride)とは、有機化合物の一種で、酢酸から誘導されるカルボン酸塩化物である。常温常圧では無色の引火性、可燃性の液体である。水と容易に反応して加水分解を受け、酢酸と塩化水素に変わる。そのため塩化アセチルは湿った空気中では白煙を生じ、通常は自然界には存在しない。不快な刺激臭を持ち、目や皮膚を刺激する。ベンゼン、エーテル、クロロホルム、石油エーテルに容易に溶ける。

塩化アセチルは、市販され容易に入手できる試薬であるが、酢酸と塩化チオニルあるいは三塩化リンとの反応で合成することができる。

実験室的には、無水酢酸と塩化カルシウムとを反応させて蒸留精製する方法が簡便である。工業的には酢酸と塩化スルフリルSO2Cl2との反応で合成される。

塩化アセチルは、有機合成において、アセチル化反応に用いられる。エタノールのアセチル化による酢酸エチルの合成、ベンゼンのフリーデル・クラフツのアセチル化反応によるアセトフェノンの合成を例として示す。

塩化アルミニウム (AlCl3) を等量加える)

アルコールアミンのアセチル化反応の際には、トリエチルアミン水酸化ナトリウムショッテン・バウマン反応)などを発生する塩化水素を捕捉する塩基として用いて反応させる。あるいはピリジン4-ジメチルアミノピリジン (DMAP)は、反応系中でアセチルピリジニウム塩を生じ、これがアルコールアミンをアセチル化し触媒的に作用することから実験室的にはピリジン類を少量あるいは過剰量を他の塩基と併用あるいは溶媒として用いることも多い。

無水酢酸も、同様のアセチル化を行う試薬として用いられる。

脚注

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  1. ^ Merck Index, 11th Edition, 79.
  2. ^ Nomenclature of Organic Chemistry : IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). pp. 796–797. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4 

出典

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  • 『世界百科事典』平凡社
  • 東京化成工業(株)編著『取り扱い注意試薬ラボガイド』講談社サイエンティフィク。ISBN 4-06-153311-8