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アテネウム美術館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アテネウム美術館
Ateneumin taidemuseo
正面外観
アテネウム美術館の位置(ヘルシンキ内)
アテネウム美術館
ヘルシンキ内の位置
アテネウム美術館の位置(ヘルシンキ郡内)
アテネウム美術館
アテネウム美術館 (ヘルシンキ郡)
アテネウム美術館の位置(フィンランド内)
アテネウム美術館
アテネウム美術館 (フィンランド)
施設情報
正式名称 Ateneumin taidemuseo (フィンランド語)
専門分野 美術館
収蔵作品数 絵画 4,300点+、彫刻750点+
来館者数 40万人(2012年)[1]
館長 Marja Sakari (2018年– )[2]
事業主体  フィンランド
建物設計 テオドル・ホイエル(Theodor Höijer)
開館 1887年
所在地 フィンランドの旗フィンランドヘルシンキ
位置 北緯60度10分12秒 東経024度56分39秒 / 北緯60.17000度 東経24.94417度 / 60.17000; 24.94417座標: 北緯60度10分12秒 東経024度56分39秒 / 北緯60.17000度 東経24.94417度 / 60.17000; 24.94417
外部リンク 公式HP
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アテネウム美術館(アテネウムびじゅつかん、Ateneumin taidemuseo (フィンランド語))は、フィンランドヘルシンキにあるフィンランド国立の美術館[3]でヘルシンキ中央駅に近い広場(英語)に面している。フィンランド国立美術館 (英語版) を形成する3施設の1つとして国内最大の古典芸術のコレクションを収蔵する。建物は定礎以来、国立の美術アカデミー (英語版) ならびに芸術大学 (英語版) が使用しており、1991年以降、美術館が占有する。

沿革・概要

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ヘルシンキ現代美術館シネブリュコフ美術館とともにフィンランドを代表する美術館の一つで、建築家テオドル・ホイエルにより設計され1887年に完成した。国定文化遺産建築としてヘルシンキ市の中心部に位置している[4]

所蔵美術品

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1750年代から1960年代以降のフィンランド作家を中心に扱っている。著名なものに、ヒューゴ・シンベリの「傷ついた天使」やヘレン・シャルフベックの「快復期」のような国民的作品がある[5]ゴッホの「オーヴェル=シュル=オワーズの通り」やポール・セザンヌの「エスタックの道路橋」などのフランス近代美術も所蔵している。

また民族叙情詩カレワラに取材したアクセリ・ガッレン=カッレラの作品として、3連の画面を用いてキリスト教の祭壇画風に仕立てた乙女アイノの物語「アイノ」(英語版) (1891年) 、ピエタの構成を借りた1897年の「レミンカイネンの母」(英語版) も収蔵する。あるいはやはりカレワラの一節から発想した野焼きの作業「Raatajat rahanalaiset (Kaski)」(エーロ・ヤルネフェルト作1893年) [6]なども展示される。

建築

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向かって左からラファエロペイディアスおよびブラマンテの胸像
建物のファサード外観
建物の中央部外観。ファサードの3階部分は、左右に合計4体の女性像を施したデザイン。 (2013年)

1887年に完成した美術館の建築設計は、テオドル・ホイエル Theodor Höijer が手がける。正面の装飾は彫像とレリーフを組み合わせ、それぞれに象徴がこめられている。たとえば正面玄関の2階部分に著名な古典様式の芸術家の胸像が3体配してあり、それぞれ建築家ブラマンテ、画家ラファエロ、彫刻家ペイディアスである。その上の3階ペディメントは女神をかたどった4本のが支え、それぞれ彫刻、絵画、幾何学、建築の4つの古典芸術を象徴する[11]

すべての彫像はCarl Eneas Sjöstrand[訳語疑問点] (英語版) がデザインし、芸術の女神アテーナーの名前を冠した建物のテーマは、あらゆる形態の芸術作品を祝福する女神像をペディメントに掲げて集約する。2階の窓と窓の間に配した紋章型のレリーフは合計16個、制作はヴィッレ・ヴァルグレン Ville Vallgren による。画家のAleksander Lauréus[訳語疑問点] (英語版)Werner Holmberg[訳語疑問点] (英語版)、建築家でドイツ出身のカール・ルードヴィッヒ・エンゲル (wikidata) (英語版) ほか、当時のフィンランドでもっとも著名な表現者をかたどった。

Concordia res parvae crescunt (英語版ウィクショナリー)

ペディメントの彫刻群の台座に刻まれた上記のラテン語の句は「団結は力なり」と訳すことができ、教訓「団結すると強いが、分裂すると弱い」の一部である[注釈 4]。ヘルシンキ市民には、美術館設立に至るフィンランド芸術界の長く続いた戦いの道のりを指すと理解されている。

窓の間の紋章飾り

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金文字で刻んだラテン語の格言
正面ファサード最上部のペディメント。アテーナーの足もとに金文字で刻んだラテン語の格言が見える。
窓の間に逆三角形の紋章飾りを並べ、芸術家の肖像を施す。
10番目の紋章飾りはベンヴェヌート・チェッリーニの肖像(Ville Vallgren 作、1887年)。
政治亡命中のマクシム・ゴーリキー。芸術家のつてをたどり、アクセリ・ガッレン=カッレラのヘルシンキの画室に身を寄せる。 (アテネウム、1906年頃)

ファサードの2階部分は、窓と窓の間の壁面にメダリオン (紋章飾り) を並べ、フィンランド人および国際的な芸術家の肖像を浮き彫りで表現する。以下に全16人を示す。

アーティスト 領域 生没年
en:Werner Holmberg 画家 1830-1860 フィンランド[14]
ロベルト・ヴィルヘルム・エクマン 画家 1808-1873 フィンランド[15]
en:Aleksander Lauréus 画家 1783-1823 フィンランド
ユーハン・トービアス・セルゲル 彫刻家 1740-1814 スウェーデン
レンブラント 画家 1606-1696 オランダ
ベルテル・トルバルセン 彫刻家 1770-1844 デンマーク
ルーベンス 画家 1577-1640 オランダ
ミケランジェロ 画家/彫刻家 1475-1569 イタリア
en:Erwin von Steinbach 建築家 1244-1318 ドイツ
ベンヴェヌート・チェッリーニ 宝石商/彫刻家 1500-1571 イタリア
ジュール・アルドゥアン=マンサール 建築家 1646-1708 フランス
ベルナール・パリッシー 陶芸家 1510-1589 フランス
カール・フリードリッヒ・シンケル 建築家 1781-1841 ドイツ
小ニコデムス・テッシン (フィンランド語版) 建築家 1654-1728 スウェーデン
en:Carl Ludvig Engel 建築家 1778-1840 ドイツ/フィンランド[16]
en:Fredrik Wilhelm Scholander 建築家 1816-1881 スウェーデン

脚注

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注釈

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  1. ^ 油彩、56 × 65.5 cm。台帳番号:the Antell deputation, A II 906。収蔵先:Suomen valtio / Museovirasto。コレクション:Antellコレクション。展示歴:「フィンランド美術の物語」常設展、アテネウム(Stories of Finnish Art - Collection Exhibition, Ateneum, Helsinki; 2016年3月18日–2020年12月31日)。「セザンヌの場所」展、マドリード、ティッセン・ボルネミッサ美術館(Cézanne Site / Non-Site; 2014年2月4日-同年5月18日)。「セザンヌ、ミディのアトリエ」展、ミラノ、パラッツォレアレ美術館(Cézanne, Les ateliers du Midi; 2011年10月20日-2012年2月26日)[7]
  2. ^ キャンバスに油彩、73.5 × 92.5 cm。台帳番号:Antell deputation, A I 755。収蔵先:Suomen valtio / Museovirasto。コレクション:Antellコレクション。展示歴:フィンランド美術のストーリー - 収集品展示」、ヘルシンキ、アテネウム; 2016年3月18日-2020年12月31日)。「未完成:目に見える思い」展、Met Breuer 展示館、メトロポリタン美術館(Unfinished: Thoughts Left Visible; 2016年3月18日-同年9月4日)。「ボリナージュのヴァン・ゴッホ 画家の誕生」展、Fondation Mons 2015、ベルギー、モンス Mons(Van Gogh in the Borinage. The birth of an artist; 2015年1月25日-同年5月17日)[8]
  3. ^ キャンバスに油彩、61.5 × 46 cm。台帳番号:A IV 2971。収蔵先:Suomen valtio。展示歴:「バロネス・ドッティンゲン率いるパリの夜」展[9](Soirées de Paris de Baroness d'Oettingen; 2018年9月24日–2019年1月13日)。「アマデオ・モディリアニ」展、(Amedeo Modigliani; 2017年11月22日–2018年4月2日)。「アマデオ・モディリアニ」展、アテネウム(Amedeo Modigliani; 2016年10月28日–2017年2月5日)[10]
  4. ^ ラテン語の格言 Concordia res parvae crescunt を英訳すると「Unity makes strength」あるいは「in unity there is strength」[12]と表現、転じて〈団結は力なり〉と解釈される[13]

出典

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  1. ^ “Ateneumin kävijämäärässä kaikkien aikojen ennätys (アテネウム美術館、来訪者数が開設以来最高を記録)” (フィンランド語). Helsingin Sanomat. (January 2, 2013). http://www.hs.fi/kulttuuri/a1305632677111 February 20, 2014閲覧。 
  2. ^ Ateneumin uusi johtaja Marja Sakari kertoo HS:n haastattelussa, mihin suuntaan hän haluaa museota viedä ja mitä taide hänelle merkitsee – ”Taiteessa on sellainen totuudellisuus, joka välittyy ihmisille”(Marja Sakari, 新アテネウム美術館館長 HS 紙の取材に抱負と美術観を語る - 「人々に伝わるアートには真実があります」)” (フィンランド語). Helsingin Sanomat (2018年12月2日). 2020年1月9日閲覧。
  3. ^ 神奈川県近代美術館のHP
  4. ^ 神奈川県近代美術館
  5. ^ ブルーガイド編集部『ブルーガイドわがまま歩き40 フィンランド』実業之日本社、2015年、67頁。ISBN 978-4-408-06013-2 
  6. ^ Gallery, Finnish National (2016-06-13), Eero Järnefelt (1863-1937): Under the Yoke (Burning the Brushwood) / Raatajat rahanalaiset / Kaski / Trälar under penningen / Sved, https://www.flickr.com/photos/finnishnationalgallery/31948645643/ 2020年1月9日閲覧。 
  7. ^ The Road Bridge at L'Estaque ; The Viaduct near L'Estaque, 1879 - 1882” (1879-1882). 2020年1月8日閲覧。
  8. ^ Street in Auvers-sur-Oise ; Village Street ; Road at Auvers, 1890” (英語) (1890年). 2020年1月8日閲覧。
  9. ^ Petukhov, Aleksey. “Soirées de Paris de Baroness d'Oettingen”. The Pushkin State Museum of Fine Arts. 2020年1月8日閲覧。
  10. ^ Amedeo Modigliani, Portrait of the Artist Léopold Survage, 1918” (1918年). 2020年1月8日閲覧。
  11. ^ アテネウムのファサード装飾” (英語). 2017年7月12日閲覧。[リンク切れ]
  12. ^ 教訓 134. 団結すると強いが、分裂すると弱い。In unity there is strength.《団結には力がある》”. 英語ことわざ教訓事典. 2020年1月9日閲覧。
  13. ^ 安藤邦男著『英語ことわざ教訓辞典』. “「in unity there is strength」に関連した英語例文の一覧と使い方”. Weblio英語例文検索. 2020年1月9日閲覧。
  14. ^ ウィキデータには、Werner Holmberg の作品一覧 があります。
  15. ^ ウィキメディア・コモンズには、アテネウム美術館に関するカテゴリがあります。
  16. ^ カール・ルードヴィッヒ・エンゲルはドイツの建築家。

関連項目

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関連文献

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外部リンク

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