アドルフォ・サルコリ
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(アドルフォ・サルコリーから転送)
アドルフォ・サルコリ(Adolfo Sarcoli, 出生名Astolfo Raffaello Maria Sarcoli, 1867年3月6日[1] - 1936年3月12日)は、イタリア出身の声楽家・作曲家。
略歴
[編集]シエーナ出身。はじめマンドリン工房で働くが、テノール歌手に転向した。プッチーニと親交があり、『ラ・ボエーム』のロドルフォ役を演じた。上海で出演する契約だったが、辛亥革命で契約がふいになったので仕方なく1911年に来日し、声楽とギター、マンドリンを教えた[2]。報知新聞記者の千葉周甫の協力で、三浦環ら帝国劇場歌劇部と『胡蝶の夢』(作曲・ハインリヒ・ヴェルクマイスター)を一幕やり、好評を得て帝劇と契約する[2]。その後日本に定住し、声楽教師として日本で初めてイタリアのベル・カント唱法を伝え[2]、三浦環・関屋敏子・ベルトラメリ能子・喜波貞子・ 原信子らを育てた。またマンドリン・ギター教師としても鈴木静一らを育てた。伊藤信吉の『ぎたる弾くひと』によれば、萩原朔太郎は慶應義塾大学在学中、サルコリからマンドリンの指導を受けている。
作品
[編集]- 月のセレナータ(マンドリン独奏曲)
- ミモザの思い出(2台のマンドリン・ギター・ピアノ)[1]
脚注
[編集]- ^ 直江学美「日本におけるベル・カントの父、アドルフォ・サルコリの生涯」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』4巻2号、2011)
- ^ a b c 「蝶々夫人」を1910-30年代に欧米で歌ったソプラノ歌手・三浦環の数奇な音楽人生坪井賢一、ダイヤモンド社、ダイヤモンドオンライン、2014.8.22
文献
[編集]- 大日本音楽協会編『音楽年鑑(昭和16年度版)』(1941、共益商社書店)国立国会図書館デジタル化資料
- 直江学美「日本の新聞記事に見られるアドルフォ・サルコリ」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』3巻2号、2010)
- 直江学美「日本の演奏会プログラムより見た西洋声楽受容の一考察」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』4巻1号、2010)
- 直江学美「日本におけるベル・カントの父、アドルフォ・サルコリの生涯」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』4巻2号、2011)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの演奏活動について―海外を中心に」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』6巻1号、2012)
- 直江学美「フィリピンにおけるアドルフォ・サルコリの演奏活動―1910年末から1911年の新聞記事より」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』8巻1号、2014)
- 直江学美「ルーマニアにおけるアドルフォ・サルコリの演奏活動」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』9巻1号、2015)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの音楽活動に関する研究(1)―1911年、1912年のサルコリ関連の資料を中心に」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』10巻1号、2016)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの音楽活動に関する研究(2)―1913年から1915年のサルコリ関連の資料を中心に」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』10巻2号、2017)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの音楽活動に関する研究(3)―1916年から1920年のサルコリ関連の資料を中心に」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』11巻2号、2018)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの音楽活動に関する研究(4)―1921年から1930年のサルコリ関連の資料を中心に」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』12巻1号、2018)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの音楽活動に関する研究(5)―1931年から1932年のサルコリ関連の資料を中心に」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』12巻2号、2019)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの音楽活動に関する研究(6)―1933年から1935年のサルコリ関連の資料を中心に」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』13巻1号、2019)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの音楽活動に関する研究(7)―1936年に書かれたサルコリ関連資料を中心に・その1」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』13巻2号、2020)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの音楽活動に関する研究(8)―1936年に書かれたサルコリ関連資料を中心に・その2・追悼する人びと」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』14巻1号、2020)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの音楽活動に関する研究(9)―デビューに関する記事より」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』16巻1号、2022)
- 直江学美「アドルフォ・サルコリの音楽活動に関する研究(10)―「シエナ会」のプログラムを調査して」(金沢星稜大学人間科学部会『人間科学研究』16巻2号、2023)