アボラ
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アボラ (abolla) は、古代ギリシアや古代ローマで用いられた、クロークに似た形状の衣服。男性が外套として着用した[1]。
概要
[編集]アボラという言葉は、ゆったりとしたウールのクロークを意味した古代ギリシア語のアムボラ (ἀμβόλλα)、ないし、アナボレ (ἀναβολή) をラテン語化したものと考えられている[2]。
ノニウス・マルセルスは、マルクス・テレンティウス・ウァロの記述を引用して、アボラが兵士の着用する衣服 (vestis militaris) であり、トガとは対照的なものだと述べている。
しかし、アボラの着用は軍人だけに限られていたわけではなく、市中においても用いられていた[3]。農民なども、着用することがあったとされる[4]。特に、ローマのストア派の哲学者たちは「哲学者の外套 (pallium philosophicum)」としてこれを用い、ギリシアの哲学者たちが他の人々とは異なる服装をまとったことに倣った[5]。したがって、ユウェナリスが記した「アボラの大それた行ない (facinus majoris abollae)」という表現も、「哲学者の犯す罪」を意味するものと解される[6][7][8]。
紀元40年、時のローマ皇帝カリグラは、マウレタニア属王プトレミーをローマに招いて暗殺したが、一説によると、その動機はプトレミーがまとっていた豪奢な紫色のアボラがカリグラの怒りを買ったためであったという[2]。
脚注
[編集]- ^ abolla goo辞書/ランダムハウス英和大辞典
- ^ a b Smith, William [in 英語] (1870). "Ambolla". In William Smith [in 英語] (ed.). Dictionary of Greek and Roman Antiquities. Vol. 1. Boston: Little, Brown and Company. p. 2. 2010年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ Suetonius, Caligula 35
- ^ abolla - Oxford Living Dictionaries
- ^ Mart. iv. 53, viii. 48
- ^ Juvenal, iv. 75
- ^ Heinrich, On Juvenal l.c.
- ^ Becker, Gallus vol. ii. p. 99
参考文献
[編集]- The Wordsworth Dictionary of Phrase and Fable
- この記事には現在パブリックドメインである次の出版物からのテキストが含まれている: Smith, William, ed. (1870). "Abolla". Dictionary of Greek and Roman Antiquities (英語). London: John Murray.
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Abolla (article in Smith's Dictionary of Greek and Roman Antiquities)