アメリカチヌ属
アメリカチヌ属 | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヒツジダイ Archosargus probatocephalus
| |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Archosargus Gill, 1865 | |||||||||||||||||||||
タイプ種 | |||||||||||||||||||||
Sparus probatocephalus Walbaum, 1792[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム[1] | |||||||||||||||||||||
|
アメリカチヌ属 (アメリカチヌぞく、学名: Archosargus) は、タイ科の下位分類群の1つ。東太平洋と西大西洋に分布する。
分類と名称
[編集]1865年にアメリカの生物学者であるセオドア・ギルによって記載され、その唯一の種は Sparus probatocephalus (ヒツジダイ)であった[1]。S. probatocephalus は、1792年にドイツの博物学者であるヨハン・ユリウス・ヴァルバウムによって記載され、タイプ産地は明らかでないが、おそらくニューヨーク州であった[2]。ヘダイ亜科に分類されることもあるが[3]、『Fishes of the World』第5版ではタイ科に亜科を認めていない。従来スズキ目に分類されていたが、『Fishes of the World』第5版では、タイ目に分類されている[4]。属名は「Archon (優れた)」と「Sagrus (ギリシア語でタイ)」を組み合わせたもので、ギルはおそらくアフリカチヌ属のシノニムである Sargus を参考にしている。ギルはヒツジダイについて「タイ科の中で大きさだけでなく肉の繊細さも突出している」と述べた[5]。
下位分類
[編集]3または4種が分類されている[2]。A. aries をヒツジダイのシノニムとする場合もある[6]。
- Archosargus aries (Valenciennes, 1830) (Southern sheepshead)
- Archosargus pourtalesii (Steindachner, 1881) ガラパゴスチヌ (Blackspot porgy, Galápagos seabream)
- Archosargus probatocephalus (Walbaum, 1792) ヒツジダイ (Sheepshead)
- Archosargus rhomboidalis (Linnaeus, 1758) (Western Atlantic seabream)
分布と生息地
[編集]アメリカ大陸近海に分布し、3種はカナダ南部からブラジルまでの西大西洋で見られ、ガラパゴスチヌのみが東太平洋のガラパゴス諸島で見られる[6]。沿岸に生息し、汽水域や川の下流域まで進出することも多い[2]。
形態
[編集]体はやや側扁した楕円形で、体高は高く、頭部は小さく吻が尖る。頭部背側と腹側の輪郭は両方とも凸面である。口は小さく、眼窩前骨が上顎の後部に重なる。顎の前部の歯は平らで幅広く、上顎の側面には大臼歯のような歯が3列ある。背鰭は長く高くなく、棘は12本あり、前部の棘は前方を向いており、埋まっている可能性もある。臀鰭棘は短く、3本ある。胸鰭は腹鰭よりもはるかに長い。頬と鰓蓋は通常鱗状で、吻に鱗は無い[7]。最大種はヒツジダイで全長91 cmに達し、最小種は A. rhomboidalis で、最大全長は33 cm[6]。
人との関わり
[編集]商業用と娯楽用の両方で漁獲される。小型種は食用魚としてはあまり価値が無いが、魚粉の原料になる[8]。ヒツジダイは食用目的で漁獲され、過去には乱獲により減少したが、メキシコ湾では再び重要性が高まっている[9]。
脚注
[編集]- ^ a b c “ Sparidae CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Sparidae”. researcharchive.calacademy.org. 2024年5月11日閲覧。
- ^ a b c “CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Archosargus”. researcharchive.calacademy.org. 2024年5月11日閲覧。
- ^ Parenti, P. (2019). “An annotated checklist of the fishes of the family Sparidae”. FishTaxa 4 (2): 47-98 .
- ^ Nelson, J.S.; Grande, T.C.; Wilson, M.V.H. (2016). Fishes of the World (5th ed.). Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. pp. 502-506. doi:10.1002/9781119174844. ISBN 978-1-118-34233-6. LCCN 2015-37522. OCLC 951899884. OL 25909650M
- ^ “Order ACANTHURIFORMES (part 6): Families GERREIDAE, LETHRINIDAE, NEMIPTERIDAE and SPARIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf (24 March 2024). 11 May 2024閲覧。
- ^ a b c Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2024). Species of Archosargus in FishBase. May 2024 version.
- ^ “Genus: Archosargus, Seabream Porgy, Seabreams”. Shorefishes of the Greater Caribbean online information. Smithsonian Tropical Research Institute. 11 May 2024閲覧。
- ^ Russell, B.; Carpenter, K.E.; MacDonald, T.; Vega-Cendejas, M. (2014). “Archosargus rhomboidalis”. IUCN Red List of Threatened Species 2014: e.T170156A1283528. doi:10.2305/IUCN.UK.2014-3.RLTS.T170156A1283528.en 11 May 2024閲覧。.
- ^ Samantha Setta (19 August 2021). “Sheepshead, a lesson from the past”. 0cean Bites. 11 May 2024閲覧。