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アメル・マルドゥク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アメル・マルドゥク
バビロニア
在位 紀元前562年 - 紀元前560年

死去 紀元前560年
王朝 カルデア朝
父親 ネブカドネザル2世
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アメル・マルドゥク(Amel-Marduk。アッカド語ではAmēl-MardukまたはAmil-Marduk、ただし発音はAwēl-MardukまたはAwîl-Marduk)は、新バビロニアの第3代王[1][2]。父であるネブカドネザル2世の後を継いで王となった。名は「マルドゥク神の男」の意。聖書ではאֱוִיל מְרֹדַךְ ʔĕwîl-mĕrodak(エビル・メロダク、Evil-Merodach)という名で登場する。

生涯

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彼の名前及び治世の長さは「ウルクの王名表」及び「プトレマイオスの王名表」に記されている。しかしながら、現存している楔形文字の文書で、彼の生涯及び業績について記しているものは何も無い[1]ベロッソスによれば、彼はネルガル・シャレゼルの企みにより謀殺されたとされている[3]ネルガル・シャレゼルは彼の後継者にして義兄弟である。ベロッソスはまた、彼は公務を違法・不純な方法で執り行った、とも記している。これはおそらく、ネブカドネザルの政策に対する改革など[4]、祭司階級を激怒させる行為を示唆しているものと思われる[5]

そのような改革の1つが聖書に記録されている[6]。そこでは、エビル・メロダクが37年間の捕囚の後、ユダの王ヨヤキンを出獄させたことが記されている。
その後のユダヤ教とキリスト教の文書では、聖書の記述を拡大している。フラウィウス・ヨセフスラビ・ナタン英語版は、アメル・マルドゥク王が彼の父(ネブカドネザル2世)の死後にヨヤキンを解放したのは、父が理由も無く彼を拘束したと信じたためだとしている[1]。当初、ヨセフスはアメル・マルドゥクの治世を18年間としていたが[7]、後の著作で、「ベロッソスによればその治世は2年間である」と述べている。『シダー・オラム・ラバー英語版[8]では23年としている[9]。『レビ記注解英語版』18:2ではネブカドネザルがまだ存命のうちにエビル・メロダクが王になり、父への反逆への懲罰として投獄されたとしている。『エステル記注解英語版』では、エビル・メロダクは、彼の父親の生前の散財ゆえに、引き継ぐべき財産は全くなかったとしている。

アメル・マルドゥクの治世はわずか2年間だったらしい(前562 - 前560)。最後は、義弟のネルガル・シャレゼル(ネリグリッサル)に暗殺され、彼が王位に就いた。

脚注

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  1. ^ a b c Sack, R.H. Evil-Merodach in Freedman, et al. (1992). Anchor Bible Dictionary, vol. 2, New York: Doubleday.
    『アンカー・バイブル辞典』第2巻(著:デーヴィッド・ノベル・フリードマンほか、1992年、ダブルデイ出版(米国ニューヨーク))に収められている『エビル・メロダク』(ロナルド・ハーバート・サック(ノースカロライナ州立大学教授)著)より
  2. ^ Me'moires de la mission archeologique de Susiane, by V. Scheil, Paris 1913, vol XIV
    (『スシアナの考古学調査隊の記録』(V・シェイル、パリ、1913年、第14巻))
  3. ^ (『アピオーンへの反論』(フラウィウス・ヨセフス)1.20)
  4. ^ Oded, B. Evil-Merodach in Skolnik, F., & Berenbaum, M. (2007). Encyclopaedia Judaica, vol. 6, Detroit: Macmillan Reference USA in association with the Keter Pub. House.
    (『エビル・メロダク』(バスタネイ・オデド)。出所は『ユダヤ教百科事典 第6巻』(編:フレッド・スコルニック、マイケル・ベーレンバウム。マクミラン・リファレンス・USA(デトロイト)、2007年。協力:キーター出版(イスラエル)))
  5. ^ Hirsch, E.G. et al. Evil-Merodach in Singer, Isidore; Adler, Cyrus; (eds.) et al. (1901–1906) The Jewish Encyclopedia. Funk and Wagnalls, New York. LCCN 16-014703
    (エーミール・G・ヒルシュなど。イシドール・シンガー「エビル・メロダク」ほか。編:サイラス・アドラー(1901-1906年) ユダヤ百科事典、ファンク・アンド・ワグネルス出版(米国ニューヨーク))
  6. ^ 列王記下第25章第27節、エレミヤ書第52章第31節
  7. ^ Antiquities of the Jews by Flavius Josephus, Book X, chapter 11 pg. 216
    (『ユダヤ古代誌』(フラウィウス・ヨセフス)第10巻第11章第216節(第231節?))
  8. ^ Seder Olam Rabbah。直訳するなら『世界の順番の書』(?)。おそらくは2世紀頃の、ユダヤ文学に含まれる著作。天地創造からアレクサンダー大王によるペルシア帝国の征服までの出来事を、年代記風に列挙した文書。
  9. ^ Transactions of the Chronological Institute of London, T. Richards 1861, volume II, part 2, page 120-121
    (「ロンドン年代学会 会報」(T・リチャード、1861年、第2巻第2章p120-121より))
先代
ネブカドネザル2世
バビロニア王
113代
紀元前562年 - 紀元前560年
次代
ネルガル・シャレゼル