アリバチ
アリバチ科 | ||||||||||||||||||||||||
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Ronisia barbara の♀
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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英名 | ||||||||||||||||||||||||
Velvet ant | ||||||||||||||||||||||||
亜科 | ||||||||||||||||||||||||
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アリバチ(velvet ant)は、ハチ目(膜翅目)アリバチ科(Mutillidae)に属する昆虫の総称。全世界で約4230種が記録されている[1]。
雄は通常発達した翅を持つが、雌は無翅でアリに似た形態をしている(性的二形)[1]。
分布
[編集]世界中に多くの種が分布するが、熱帯や亜熱帯などで特に数が多い[1]。旧北区では約530種、東洋区では約640種が記録されており、日本では17種が確認されている[1]。
形態
[編集]アリバチは雌雄の形態差が非常に大きい。アリバチの雄は通常他のハチと同様に翅をもつが、一部の種では無翅または短翅である。一方雌は基本的に翅をもたず、地上生活をしている[1]。そのため雌は外見的にはアリに似るが、腹部にはハチと同様に刺針を持つ。
多くの種で、頭部や胸部、または腹部が赤褐色となるが、色彩も雌雄で異なることも多い。例えばトゲムネアリバチやムネアカアリバチでは、雄は全身が黒色であるが、雌は胸部が赤褐色となっている[2]。また全身にビロードのような長毛をもち、これが英名の Velvet ant の由来になっている[1]。
生態
[編集]多くのアリバチでは幼虫は寄生性であり、ハチ目の他種(アナバチ、ハナバチ、クモバチなど)や、ハエ目(双翅目)、チョウ目(鱗翅目)、コウチュウ目(鞘翅目)、ゴキブリ目などに外部捕食寄生する[3]。寄主とされるのは主にそれらの幼虫や蛹である。なお日本産のアリバチで寄主の記録があるのは5種類程度でそれ以外の種類ではほとんど分かっていない。翅を持たない雌は、地上を徘徊して寄主の巣を探し、幼虫や繭に産卵するが、雄が大型となる一部の種では、雄が雌と交尾した後に連結したまま飛翔し、雌を遠くまで運んでいると考えられている[3]。
成虫は一部の種を除いて昼行性であり、植物の蜜を主な餌としている。
分類
[編集]アリバチ科は10亜科約4230種が記録されている。日本にはそのうち5亜科13属17種が知られている[4]。
アリバチは雄と雌で形態に著しい差異があるため、雌雄の対応をつけることが難しく、分類が困難となっている。2011年現在でも、日本のアリバチのうち3種については雌雄のどちらか一方しか発見されていない[5]。また雌雄の対応が正確であるかについて疑問をもたれている種もあり、確実に雌雄の組合せを決定するためには、交尾中の個体の採集かDNA解析などが必要とされる[5]。
系統関係
[編集]形態形質による系統樹は以下のようになる[6]。
アリバチ科 |
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脚注
[編集]参考文献
[編集]- 寺山守, 須田博久, 室田忠男, 羽田義任, 田埜正 (2011) 「日本のアリバチ--美麗なアリには手を出すな!」月刊むし 481, pp.12-25.