アルティメット エコロジー
ジャンル | 横スクロールシューティング |
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対応機種 | アーケード |
開発元 | カプコン |
発売元 | カプコン |
人数 | 1 - 2人(同時プレイ可) |
メディア | アーケードゲーム基板 |
発売日 |
1994年4月[1](レンタル) 1994年6月[1] 2002年(販売) |
システム基板 | CPシステムII |
『アルティメット エコロジー[2]』(Ultimate Ecology、英: Eco Fighters)は、カプコンが1994年[3]に制作した、アーケード向けの横スクロールシューティングゲーム。360°全方位にショットが発射可能なゲームシステムが特徴。
当作品は元々アーケードゲーム雑誌『ゲーメスト』誌上にて1989年頃に行われていた「ゲーム企画募集」の一般公募で最優秀賞に選ばれたアイディアを基に開発されたゲームである。当初の設定では、タイトルである「アルティメットエコロジー」の通り、主人公機は「環境を破壊せずに敵を倒せる兵器である」ことが重視されていた。そのため「原始的武器である鉄球(ハンマー)を振り回して戦うというアイディアが斬新」と、カプコン開発チームからも高く評価されていた。『ゲーメスト』誌上で、開発の様子を特集した記事も連載された[4]。
ゲームに先駆け新声社からサントラCDもリリースされた。しかし『ストリートファイターII』(1991年)発売以降のゲーム業界の時流が影響し、格闘ゲーム全盛期の中でシューティングゲームの市場は厳しくなり、開発状況が誌上に掲載されなくなる。結果的に本作は市場に出すタイミングを逃してしまった[要出典]。
そして、人々に忘れ去られていた1994年6月にようやく陽の目を見ることになるが、ハンマーのみで戦うというのはバランス的に厳しかったためか、ショットがメインの攻撃方法となっており、その上日本国内では基本的にカプコンからレンタルのみのリリースに留まる。そのため、ゲームセンターよりむしろ、おもちゃ屋・レンタルビデオ店の軒先の筐体で見掛けることの方が多かった[要出典](なお、海外版『Eco Fighters』は正式に発売されている)。
当初は『ロストワールド(現:フォゴットンワールド)』で導入された独自の入力デバイス「ローリングスイッチ」の活用を想定したゲーム内容だったが、結果的に、通常のアーケードゲーム筐体(レバー・ボタン)でもプレイ可能な仕様に調整され[5]、日本国内ではレンタルのみで市場に出回るかたちとなった(北米では販売)。カプコン社員によれば出荷された台数も少なかった[6]とのことで、「幻のゲーム」扱いもされている[6]。8年後の2002年に、国内でも正式に基板が販売された(これは在庫として余っていたCPシステムII基板の処分と、売れ残ったミッチェルの『長江』の再利用が目的である[要出典])。また、家庭用のプラットフォームにも移植されている(詳細は#移植版を参照)。
ゲーム内容
[編集]全7ステージ、一周エンド。残機はスコアによるエクステンド制。2人同時プレイ可能。
操作は方向レバー+3ボタン[5]。ボタンの内1つがショットの発射、残り2つが後述の「アーム」の回転(一方が時計回り、もう一方が反時計回り)に対応。
プレイヤーの機体には「アーム」が装備されており、メインショットはアームの先端から発射される。アームは機体を中心に、自在に回転可能のため、360°全方位へショットの発射が可能。また、アームの先端は、小さな敵弾を防いだり、直接敵に接触させて攻撃することもできる。
アイテム
[編集]- ダイヤ
- 敵を破壊すると出現する得点アイテム。
- 取得すると画面下部の "POW" のカウントが上昇し、カウントが20になると、アームのアイテムを持ったキャリアーが出現する。
- 大きさや形は様々で、それぞれ得点や上昇するカウントが異なる。
- また、稀にアームの「レベル(後述)」を一気に最大にする、特殊なダイヤが出現する。
- アーム
- 上述の条件で、キャリアーに運ばれてくる。キャリアーが放出後、一定時間ごとに中身が変わり、取得したタイミングでアームの種類が決まる。
- 同じ種類を連続して取るとアームの「レベル」が上がり、威力などが強化される。レベルは最大5で、ミスすると2レベル下がる。また、アームを変更してもレベルは引き継がれる。
- アームの種類については#アームの項目を参照。
- サブウェポン
- 特定の位置に登場する敵キャラクターを破壊すると出現する、カプセル型のアイテム。アームと同様、一定時間ごとに内容(カプセルの文字)が変わり、取得したタイミングで装備が決まる。
- サブウェポンの種類については#サブウェポンの項目を参照。
アーム
[編集]レーザーソード以外は、ショットボタン押しっぱなしで「溜め撃ち」が可能で、溜めを維持している間もショットがオート連射される(オート連射の速度はアームによって異なる)。
- エナジーボール
- 初期装備。高速連射可能なエネルギー弾。溜め撃ちで、貫通力を持った大型の「ハイエナジーボール」を生成、発射する。
- 溜めを維持した状態で生成したハイエナジーボールを直接当てても攻撃可能だが、耐久力が高い敵の場合、弾が消失してしまう。
- レベルアップで、通常弾が巨大化する。
- ハンマー
- 鉄球型のアームを装着し、貫通弾を発射する。溜め撃ちで、鉄球部分を巨大化させたアームを伸ばして殴りつける(その際アームを振り回すことでさらに射程が伸びる)。
- レベルアップで、貫通弾のサイズと溜め撃ち時のアームの伸びる距離が大きくなる。
- 鉄球部分が他のアームに比べると巨大なため、敵弾を防げる範囲も広い。
- レーザーソード
- 近接用武器。ショットの発射や溜め撃ちの概念がなく、ショットボタンを押さずとも、攻撃判定を持ったレーザーソードが、常時アームから発生し続ける。アームを振り回すことで瞬間的に射程が(最大で画面端まで)伸びる。
- レベルアップでレーザーがより長く、太くなる。
- ホイール
- 扇状に広範囲へショットを放つ。溜め撃ちで敵を追尾する「ホーミングカッター」を発射。
- 溜めを維持している間、ホーミングカッターはホイールの外縁を周回し続け、接触により連続的に敵へダメージを与える。
- レベルアップでショットの発射方向が増加する(最大9方向)。
サブウェポン
[編集]発射はアームのショットボタンと同一。機体から直接発射されるため、弾道はアームの角度に影響されない。レベルの概念はなく、同じアイテムを連続して取得しても強化はされない。またミスしても失われず、他のサブウェポンを取るか残機をすべて失うまで、装備は維持される。
- バルカン (V)
- 機体前方へ水平に発射される。
- ボム (B)
- 放物線を描いて落下し、着弾時に爆風が広がる。
- ホーミング (H)
- 敵を自動的に追尾する。
ストーリー
[編集]人類が宇宙へ進出したことで、惑星資源発掘が企業経営として成り立つようになった遠未来。惑星開発企業の最大手「ゴヨーク社」は、数多の惑星の資源を搾取、環境を汚染し、死の星へと変えてきた。その魔の手は、緑と水の惑星・エルウッドにも伸びてきた。
エルウッドの環境が無残に破壊されていく中、自然を愛する科学者・モリー博士は、ゴヨーク社の廃棄物から戦闘メカを開発。ゴヨーク社の野望を止め、元の美しい自然を取り戻すため、2人の孫にその使命を託した。
登場人物
[編集]- モリー博士
- 本作の自機を開発した科学者。
- 作中では、各ステージ開始時に、状況や攻撃目標などを報告する。
- アイス / ネナ
- モリー博士の孫たちで、それぞれ1P側の機体、2P側の機体のパイロット。
- 作中ではエンディングのスタッフロールで姿が確認できる。
- ゴヨーク
- 「ゴヨーク社」社長。オープニングデモ、およびステージ6以降の会話デモに登場。
- また、ステージ6のボスは、彼を象った巨大メカとなっている。
移植版
[編集]プラットフォームによっては、アナログスティックがアームの回転操作に対応しているものもある。
- 2006年9月7日発売のPlayStation Portable版『カプコン クラシックス コレクション』に収録。
- 据置機では、2022年7月22日配信の『カプコンアーケード2ndスタジアム』に収録[7]。対応機種はNintendo Switch、PlayStation 4、Xbox One、Windows。本作だけの単独購入も可能。
スタッフ
[編集]- オブジェクト: S・Y、IMOMUSHI、CHAMA、THE PIN K、DWAY!、OVAVA、MINOBEYAN、KAKUNAKA
- 背景: GO、Y・N、MAY、ZIGGY、OYAMI、HIROPON
- プログラム: YUUYA、A・KOMORINI、TILDE・KAW、COMMANDER GUCHI、SOME-P
- サウンドデザイナー: TOSHIO・K(梶野俊夫)、HIROAKI・K(近藤広明)
- ミュージックコンポーザー: SYUN(西垣俊)
- ボイス: K-TA NISHIHARA(西原K太)、YOSHIYA NEMOTO(根本嘉也)、CHISA YOKOYAMA(横山智佐)
- プランナー: MESHI、KONOU、ETOS
- スペシャルサンクス: SHO、SENSEI(末次春樹)、NEZUMI、BUPPO、SHIN、AOI MIX、TARABAR、Y・IDA、MR SHIRAIWA、GAMEST AND ALL CAPCOM STAFF
- プロデューサー: YOKAMOTO(岡本吉起)
- オリジナルプランナー: KEISUKE MORI(森圭介) - 『ゲーメスト』誌上ゲーム募集企画 最優秀賞受賞者
サウンドトラック
[編集]- 『ゲーメスト』を出版していた新声社より、1994年1月22日発売。タイトルが『アルティミットエコロジー』表記となっている。
- ソニー・ミュージックエンタテインメントからも、『エコロジー/アーケードゲームトラック』名義で、1994年2月2日に発売。
脚注
[編集]- ^ a b アミューズメント通信社 刊、赤木真澄 著『アーケードTVゲームリスト 国内・海外編 (1971-2005)』ISBN 978-4990251215 p.24, 113
- ^ “アルティミット エコロジー”などの表記ゆれあり。
- ^ 基板起動時の画面には "19931201" の表示がある。
- ^ 1990年頃『ゲーメスト』で発表された仕様では「CPシステム基板対応作品、『ロストワールド』に採用されていたローリングスイッチを使用する」として開発中と報告され、ゲーム画面も掲載されている。
- ^ a b ローリングスイッチはJAMMAコネクターに制御用のサブボードを別途接続するもので、プログラム上ではアナログ制御用のデータは残っている。また、その試作用のサブコネクターも現存しており、個人での所有も確認されている[要出典]。
- ^ a b エンターブレイン 刊 『カプコンデザインワークス アーリーデイズ』ISBN 978-4757718470 p.129, 131
- ^ 緑里孝行 (2022年7月22日). “名作アーケードコレクションの第2弾「カプコンアーケード 2ndスタジアム」本日発売! バラエティ豊かな全32タイトルがラインナップ”. GAME Watch. インプレス. 2022年7月26日閲覧。