アルバネーゼ多様体
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数学において、ジアコモ・アルバネーゼ(Giacomo Albanese)にちなんで名づけられたアルバネーゼ多様体(Albanese variety) A(V) は、曲線のヤコビ多様体の一般化で、多様体 V 上に与えられた点を A の単位元へ送る写像により生成されるアーベル多様体である。言い換えると、多様体 V からアルバネーゼ多様体 A(V) への射が存在し、V から任意のアーベル多様体への任意の射(与えられた点を単位元に送る)は A(V) を通して一意に分解する。複素多様体に対しても}同様な方法で、V からトーラス A(V) への射としてアルバネーゼ多様体を定義することができBlanchard (1956)、トーラスへの任意の射はこの写像を通して一意に分解する。(この場合は解析的多様体の場合であり、代数的である必要はない。)
コンパクトなケーラー多様体に対し、アルバネーゼ多様体の次元は、ホッジ数 h1,0 である。このホッジ数は、V 上の第一種微分(differentials of the first kind)の空間の次元であり、曲面に対してはこの次元を不正則数と呼ぶ。微分形式のことばでは、V 上の任意の正則 1-形式は、アルバネーゼ多様体 Alb(V) 上の恒等元での正則余接空間(cotangent space)からくる変換不変 1-形式の引き戻し(pullback)である。まさに、曲線の場合のように、V の基点(base point)を選択する(そこから積分する)ことにより、アルバネーゼ写像(Albanese morphism)
が引き戻された 1-形式に沿って定義される。この射はアルバネーゼ多様体上の変換を同一視すると一意である。
正標数の体上の多様体に対しては、アルバネーゼ多様体の次元は、ホッジ数 h1,0 と h0,1 (この値は等しい値である必要はない)よりも小さくなるかもしれない。このためには、アルバネーゼ多様体は、恒等元での接空間であり で与えられるピカール多様体の双対であることに注意する。この は参考文献の中の井草準一の結果である。
ピカール多様体との関係
[編集]アルバネーゼ多様体は、ピカール多様体の双対(dual)である(V の可逆層を分類するピカールスキームの零点の連結成分)。
代数曲線に対し、アーベル・ヤコビの定理は、アルバネーゼ多様体とピカール多様体が同型であることを意味している。
参照項目
[編集]- 中間ヤコビ多様体(Intermediate Jacobian)
- アルバネーゼスキーム(Albanese scheme)
参考文献
[編集]- Blanchard, André (1956), “Sur les variétés analytiques complexes”, Annales Scientifiques de l'École Normale Supérieure. Troisième Série 73: 157–202, ISSN 0012-9593, MR0087184
- P. Griffiths; J. Harris (1994), Principles of Algebraic Geometry, Wiley Classics Library, Wiley Interscience, pp. 331, 552, ISBN 0-471-05059-8
- Parshin, A. N. (2001), “Albanese variety”, in Hazewinkel, Michiel, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4
- Igusa, Jun-ichi (1955), A fundamental inequality in the theory of Picard varieties