アンドレイ・グリャシキ
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アンドレイ・グリャシキ(Андрей Гуляшки, 1914年5月7日 - 1995年7月3日)は、ブルガリアの作家。
1930年代後半から作家としての活動を始め、純文学、エンターテインメントの双方を手がけた。第二次世界大戦後のブルガリア文壇の主要作家の一人であるが、中でも冷戦中の1959年から「東側版ジェームズ・ボンド」としてブルガリア諜報部のスパイ「アヴァクーム・ザーホフ(Аввакум Захов)」のシリーズを書いたことで知られている。
ザーホフ・シリーズは、共産圏の大衆小説には珍しいタイプのエンターテインメントで、ブルガリアでのベストセラーとなった。ザーホフは科学者でもあり、寡黙で有能、身辺清潔なインテリスパイとして描かれている。当時の共産圏諸国における現実の上級スパイにも、学者としてのキャリアを持つ者が多く、現実に近い設定のキャラクターを備えていることが特徴的である。ストーリーはブルガリア及びソビエト連邦の立場から、西側諸国との対峙を描くものであり、同時代の西側諸国のスパイ小説の裏返しと言うべきものであった。
1966年の「アヴァクーム・ザーホフvs07」("Аввакум Захов против 07"、邦訳『007は三度死ぬ』)は、グリャシキの小説で日本語に翻訳された唯一の作品であり、ジェームス・ボンドをモデルにした西側の非情な諜報員「07」との、世界各国を股に掛けた対決が描写されている。
著作
[編集]題名は、ロシア語表記。
- "Контрразведка"(「防諜」、1959年)
- "Случай в Момчилове"(「モムチロフの場合」、1960年)
- "Приключение в полночь"(「深夜の出来事」、1960年)
- "Спящая красавица"(「眠れる美女」、1961年)
- "Дождливой осенью"(「雨の秋」、1963年)
- "Маленькая ночная музыка"(「小さな夜の音楽」、1965年)
- "Аввакум Захов против 07"(「アヴァクーム・ザーホフvs07」、1966年、邦訳『007は三度死ぬ』)
- "Последнее приключение Аввакума Захова"(「アヴァクーム・ザーホフ最後の事件」、1976年)
- "Убийство на улице Чехова"(「チェーホフ街の殺人」、1985年)