アータル
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アータル (Atar) は、ゾロアスター教に登場する火の神。 アフラ・マズダーが生み出したヤザタの一柱で、アフラ・マズダーの息子とされる[1][2]。 パフラヴィー語ではアードゥル (Adur)、アーダル (Adar) と呼ばれる[3]。
解説
[編集]人間に知恵と安寧をもたらし、世界を邪悪から守護する「勇敢で善き戦士」として崇拝されたという。 また、稲妻となり、雨を遅らせようとした悪魔を退治する神話もある。
讃歌『ザムヤード・ヤシュト』においては、光輪(クワルナフ)を奪い合い、邪竜アジ・ダハーカと戦った。ある時は、アジ・ダハーカは光輪を奪い取るべく罵詈雑言を吐きながらアータルに迫った。アータルは、自分がアジ・ダハーカの体の中に入って口の中で燃え上がり、アジ・ダハーカが地上に来られないように、決して世界を破壊できないようにする、と言った。アジ・ダハーカはアータルのこの言葉に萎縮して退いたという[4][5]。アータルはミスラとしばしば行動を共にしており、二人でアジ・ダハーカと戦うこともあった[4]。
脚注
[編集]- ^ カーティス,薩摩訳 2002, p. 23.
- ^ ヒネルズ,井本ら訳 1993, p. 66.
- ^ ヒネルズ,井本ら訳 1993, p. 65.
- ^ a b カーティス,薩摩訳 2002, p. 24.
- ^ ヒネルズ,井本ら訳 1993, pp. 68-69.
参考文献
[編集]- 池上正太『オリエントの神々』新紀元社〈Truth In Fantasy 74〉、2006年12月、227頁。ISBN 978-4-7753-0408-2。
- カーティス, ヴェスタ・サーコーシュ『ペルシャの神話』薩摩竜郎訳、丸善〈丸善ブックス 096〉、2002年2月。ISBN 978-4-621-06096-4。
- 草野巧『幻想動物事典』新紀元社〈ファンタジー事典シリーズ〉、1997年5月、4頁。ISBN 978-4-88317-283-2。
- ヒネルズ, ジョン・R.『ペルシア神話』井本英一、奥西峻介訳、青土社、1993年10月。ISBN 978-4-7917-5272-0。