コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

アートリア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アートリア
種類 非上場会社
事業内容 シンセサイザー、音源ソフトとプラグインのメーカー
設立 1999年
代表者 Frédéric Brun, Gilles Pommereuil
市場情報 グルノーブル
製品 ソフトウェア・シンセサイザー

ハードウェア・シンセサイザー(アナログ、デジタル)

マイディーキーボード

コントローラー

オーディオインターフェイス

従業員数 80人
ホームページ arturia.com

Arturia(アートリア)は、1999年にフランスのグルノーブルで設立した電子機器メーカーである。ソフトウェア・インストゥルメント、ドラムマシンアナログシンセサイザーデジタルシンセサイザーMIDIコントローラーミュージックシーケンサーモバイルアプリケーション等を含む電子楽器、及びオーディオインターフェースの設計・製造を事業としている。

歴史

[編集]
Arturia MatrixBrute (2016年)

アートリアは、1999年にグルノーブルでINPGのエンジニアだったFrédéric BrunとGilles Pommereuilによって、低価格のソフトウェア・シンセサイザーを開発することを目的として設立された。最初の製品は「Storm」という、バーチャル・インストゥルメントによるワークステーションだった。アナログ・シンセサイザーの名機のエミュレーションにより市場での認知度を高めていった。デジタルの欠点を最小限に抑えつつ音作りができるよう、BrunとPommereuilはそうした問題を解消する新たなソフトウェア・アルゴリズムを開発した。

2003年、2人が開発したアルゴリズムを応用し、ロバート・モーグと共同でソフトシンセ「Modular V」を開発した。「Modulart V」はアートリアのTrue Analog Emulation(TAE)技術を採用し、Moog 3CやMoog 55のオシレーターやフィルターなどのモジュールの忠実な再現を企図したものである。これに続き、ARP 2600、Roland Jupiter-8、Minimoog、Sequential Circuits Prophet-5などシンセサイザーの名機のソフトウェア・エミュレーションを開発した。以来、ソフトウェア・シンセサイザーやエフェクトをそれぞれバンドルした「V Collection」、「FX Collection」を開発し、毎年アップデートしている。

2007年、ソフトシンセ数タイトルからの2,000音色を集めた「Analog Factory」を開発し、これを翌年「Analog Experience」として発売した[6]。ソフトウェアとMIDIキーボードを組み合わせたこのハイブリッド・システムは、シンセ音色の演奏とコントロールを主眼に開発されたものである。

Arturia MicroFreak (2019年)

2009年、アートリアは「Origin」でハードウェア・シンセサイザー市場に参入し、2012年には1VCO(ボルテージ・コントロールド・オシレーター)、2LFO(ロー・フリケンシー・オシレーター)、マルチモードのSteiner-Parkerフィルターを搭載した「MiniBrute」を発表した。このシンセサイザーは2012年のNAMMショーで発表された[9]。「MiniBrute」は、生産開始前は販売に不安があったものの、低価格と表現力豊かなサウンドが評価され、好調な販売を示すこととなる。翌年、「MiniBrute」の低価格・コンパクト版であるミニ鍵盤を採用し、パッチバンクやシーケンサーを装備した「MicroBrute」を発表し、両機種とも高い評価を博した。

2015年、コンパクトな2インプットのオーディオインターフェースに豊富な接続端子を装備した「AudioFuse」を発表した。これを皮切りに、大型モデルの「AudioFuse Studio」、「AudioFuse 8Pre」や「AudioFuse」のアップデート版などのオーディオ・インターフェース製品を発売した。2021年、より低価格のオーディオ・インターフェース「MiniFuse」シリーズを発表。インプット数やカラー・バリエーションの違いで数種類の製品グループを構成している。

Bruteファミリーの一部として、シーケンサーを搭載したアナログ・ドラムマシン「DrumBrute」を2016年に発売した。17種類のドラム・エンジン(音源)を内蔵した「DrumBrute」はその独特の音色が大きな特徴である。その2年後にあたる2018年には、「DrumBrute」のコンパクト版と内蔵音源の見直しを図った「DrumBrute Impact」を発売した。

2018年1月には、ユーロラック・モジュラーと接続可能なパッチベイを装備したセミモジュラー・タイプのアナログシンセ「MiniBrute 2」を発表した。同時に、一般的な鍵盤の代わりにパッドとリアルタイム・レコーディングが可能なシーケンサーを搭載した強化版の「MiniBrute 2S」を発表した。

2019年、デジタル・オシレーターとアナログ・フィルター、静電容量式タッチ・キーボードを搭載したユニークなルックスのシンセサイザー「MicroFreak」を発売した。デジタル・オシレーターにはMutable Instruments社が開発した物理モデル音源や、Noise Engineering社が開発した周波数変調音源など、複数のアルゴリズムを内蔵している。2022年には「MicroFreak」をポリフォニック化し、ミニ鍵盤を搭載した機能強化版の「MiniFreak」を発売した。

2020年、6ボイスのポリフォニック・アナログシンセサイザーのフラッグシップ機である「PolyBrute」を発売。対をなすモノフォニック機「MatrixBrute」を彷彿とさせるパネルレイアウトを採用し、Bruteシリーズのアナログ・シンセサイザーと同様のアナログ・アーキテクチャを搭載している。これに加え、キーボードの上部分にタッチストリップ(リボンコントローラー)や、多軸式タッチパッドの「Morpheé」コントローラーを装備し、音色のコントロール性を高めている。

2016年には、MIDIコントロール・キーボードの入門機「KeyStep」を発売した。32鍵のキーボードを装備し、内蔵シーケンサーと多彩な接続端子が好評を博した。これを契機に2020年のNAMMで発表された「KeyStep Pro」や「BeatStep Pro」、「KeyStep 37」を擁するMIDIコントローラー製品群に成長した。

製品

[編集]

同社の製品ラインにはソフトウェア・シンセサイザー、ソフトウェア・バンドル、ハードウェア・シンセサイザー、MIDIキーボード、ミュージックシーケンサー、モバイルアプリ、オーディオ機器、コントローラーがある。

ソフトウェア・シンセ

[編集]

2018年12月、初のオリジナル・ソフトウェア・シンセサイザー「Pigments」を発売。エンベロープやフィルター、LFOや波形のリアルタイムなビジュアル表示という点では、VSTプラグインの人気タイトルのSerumやVitalとの共通点もある。

シンセサイザー、オルガン、ピアノなどを再現したアートリアのソフトウェア・シンセサイザーは、単品での購入に加え、全タイトルをバンドルした「V Collection」としても購入が可能。また、これらのタイトルのプリセット音色を集め、限定的ながらも音色編集も可能な「Analog Lab」は、MIDIキーボード・コントローラーの「KeyLab MkII」、「KeyLab Essential」シリーズにバンドルされている。

2022年には「V Collection 9」をはじめ、新たなオリジナル・ラインナップとして「Augmented STRINGS」、「Augmented VOICES」を発売した。この2タイトルは、従来からよく知られたサウンドを新たなアプローチで音作りができるというバーチャル・インストゥルメントである。オリジナル・エフェクトとしては、「Rev INTENSITY」、「Delay ETERNITY」、「Bus FORCE」、「Efx FRAGMENTS」、「Dist COLDFIRE」があり、これらは「FX Collection」にも収録されている。

サブトラクティブ・シンセシス

[編集]
  • MS-20 V:Korg MS-20を再現
  • ARP2600 V3:ARP 2600を再現
  • CS-80 V4:Yamaha CS-80を再現
  • Mini V3:Moog Minimoogを再現
  • Modular V3:Moogモジュラーを再現
  • SEM V2:Oberheim SEMを再現
  • Jup-8 V4:Roland Jupiter 8を再現
  • Matrix-12 V2:Oberheim Matrix 12を再現
  • Synthi V:EMS VCS 3を再現
  • Jun-6:Roland Juno-60を再現
  • OP-Xa V:Oberheim OB-Xを再現
  • Prophet V:Sequential Prophet-5を再現
  • MS-20 V: Korg MS-20を再現
  • ARP2600 V3: Arp2600を再現
  • CS-80 V4: Yamaha CS80を再現
  • Mini V3: Minimoogを再現
  • Modular V3: Moog modular synthesizerを再現
  • SEM V2: Oberheim SEMを再現
  • Jup-8 V4: Roland Jupiter 8を再現
  • Matrix-12 V2: Oberheim Matrix 12を再現
  • Synthi V: EMS VCS 3を再現
  • Jun-6 V: Roland Juno-60を再現
  • OP-Xa V: Oberheim OB-Xを再現
  • Prophet V: Prophet-5を再現

デジタル・シンセ

[編集]
  • DX7 V:Yamaha DX7を再現
  • SQ80 V:多数の波形を内蔵したクロスウェーブ・シンセ
  • CZ V:Casio CZ-101、CZ-1000を基にしたフェイズ・ディストーション・シンセ
  • DX7 V: Yamaha DX7を再現
  • SQ80 V
  • CZ V: Casio CZ-101 and CZ-1000を再現

キーボード・エミュレーション

[編集]
  • VOX Continental V2:VOX Continental Organを再現
  • Farfisa V:Farfisa Organを再現
  • Wurli V2:Wurlitzerエレクトリック・ピアノを再現
  • Solina V2:ARP String Ensembleを再現
  • Stage-73 V2:Rhodesエレクトリック・ピアノを再現
  • Clavinet V:Hohner Clavinetを再現
  • B-3 V2:トーンホイール方式オルガンを再現
  • Piano V3:物理モデルによりピアノ音色を再現
  • VOX Continental V2
  • Farfisa V
  • Wurli V2
  • Solina V2
  • Stage-73 V2
  • Clavinet V
  • B-3 V2
  • Piano V3

サンプラー

[編集]
  • Emulator II V:E-mu Emulator IIを再現
  • Synclavier V:New England Digital Synclavierを再現
  • CMI V:Fairlight CMIを再現
  • Mellotron V:Mellotronを再現

その他のプラグイン

[編集]
  • Analog Lab V
  • Pigments:ウェーブテーブル、バーチャル・アナログ、サンプル、ハーモニック・エンジンを搭載したオリジナルVSTi
  • Buchla Easel V:Buchla Music Easelを再現
  • Vocoder V:ボコーダーのエミュレーション
  • Prophet-5 V:Sequential Circuits Prophet VSを基にしたベクター・シンセシス・プラグイン
  • Pigments
  • Buchla Easel V
  • Vocoder V
  • Prophet-5V
  • KORG MS-20 V
  • Augmented Strings
  • Augmented Voices
  • Augmented Grand Piano

ソフトウェア・エフェクト

[編集]
アートリア AudioFuse (2015) オーディオインターフェース

フィルター

[編集]
  • Mini-Filter:Moogラダー・フィルターのエミュレーションにシーケンスとモジュレーション機能を追加
  • M12-Filter:CEM 3372をベースにしたOberheim Matrix-12フィルターのエミュレーションにシーケンスとモジュレーション機能を追加
  • SEM-Filter:Oberheim SEMフィルターのエミュレーションにシーケンスとモジュレーション機能を追加
  • EQ SITRAL-295:Simens Sitralイコライザーのエミュレーション
  • Mini-Filter
  • M12-Filter
  • SEM-Filter
  • EQ SITRAL-295

ダイナミクス

[編集]
  • Comp VCA-65:DBX 165AをエミュレートしたVCAスタイルのコンプレッサー
  • Comp FET-76:Universal Audio 1176LNのエミュレーション
  • Comp TUBE-STA:真空管方式コンプレッサーのエミュレーション
  • Bus FORCE:イコライザー、コンプレッサー、ディストーションを組み合わせたアートリア独自のバスエフェクト
  • Comp VCA-65
  • Comp FET-76
  • Comp TUBE-STA
  • Bus force

タイムベース・エフェクト

[編集]
  • Chorus JUN-6:Roland JUNO-60に内蔵されていたコーラス回路のエミュレーション
  • Chorus DIMENSION-D:Roland Dimension-Dのエミュレーション
  • Phaser BI-TRON:Mu-tron Bi-Phaseを再現
  • Flanger BL-20:Bel BF-20 Flangerを再現
  • Chorus JUN-6
  • Chorus DIMENSION-D
  • Phaser BI-TRON
  • Flanger BL-20

リバーブおよびディレイ

[編集]
  • Delay TAPE-201:Roland RE-201テープエコーのエミュレーション
  • Delay MEMORY-BRIGADE:BBD方式のディレイElectro-Harmonix Deluxe Memory Manのエミュレーション
  • Delay ETERNITY:アートリア独自のデジタル・ディレイ
  • Rev PLATE-140:EMT 140プレート・リバーブのエミュレーション
  • Rev INTENSITY:アートリア独自のデジタル・リバーブ
  • Rev SPRING-636:Grampianリバーブ・ユニット・タイプ636スプリング・リバーブのエミュレーション
  • Efx FRAGMENTS:アートリア独自のグラニュラー・エフェクト
  • Delay TAPE-201
  • Delay MEMORY-BRIGADE
  • Delay ETERNITY
  • Rev PLATE-140
  • Rev INTENSITY
  • Rev SPRING-636
  • Efx Fragments

プリアンプ

[編集]
  • 1973-Pre:AMS Neveプリアンプ+パラメトリック・イコライザーのペアを再現
  • TridA-Pre:Trident Aシリーズ・コンソールのプリアンプをイコライザーを再現
  • V76-Pre:Telefunkenイコライザーとプリアンプを再現
  • Tape MELLO-FI:Mellotron Vからテープスタイルのプリアンプとサチュレーション・モジュールを抽出したもの
  • 1973-Pre
  • TridA-Pre
  • V76-Pre
  • Tape Mello-Fi

オーディオ・インターフェース

[編集]
  • MiniFuseMinifuse 1
  • MiniFuseMinifuse 2
  • AudioFuse
  • AudioFuse Studio
  • AudioFuse 8PRE

MIDIコントローラー

[編集]
アートリア BeatStep Pro (2015) と BeatStep (2014) MIDIコントローラー
  • KeyStep
  • KeyStep 37
  • KeyStep Pro
  • BeatStep(生産完了)
  • BeatStep Pro
  • Arturia Minilab3.jpg
  • MiniLab MK III
  • MicroLab
  • KeyLab Essential 49
  • KeyLab Essential 61
  • KeyLab Essential 88
  • KeyLab 49 MK II
  • KeyLab 61 MK II
  • KeyLab 88 (生産完了)
  • KeyLab 88 MK II

ハードウェア・シンセサイザー

[編集]
アートリア MiniBrute シンセサイザー(2012)

アートリアはソフトウェア・シンセで有名だが、人気の高いBruteシリーズをはじめとするハードウェア・シンセサイザーも製造している。

  • MicroFreak
  • MicroBrute
  • MiniFreak
  • MiniBrute
  • MiniBrute 2
  • MiniBrute 2S
  • アートリア MiniFreak (2023)
    MatrixBrute
  • Origin
  • PolyBrute

ハードウェア・ドラムマシン

[編集]
  • DrumBrute
  • DrumBrute Impact

ハイブリッド・ドラムマシン(Windows/Mac OS/iOS+コントローラー)

[編集]
  • Spark
  • SparkLE

iOSアプリ

[編集]
  • iMini
  • iSem
  • iProphet
  • iSpark

リンク

[編集]