アーロン・ベック
Aaron T. Beck | |
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アーロン・ベック(1942) | |
生誕 |
Aaron Temkin Beck 1921年7月18日 米国ロードアイランド州プロビデンス |
死没 | 2021年11月1日(100歳没) |
居住 | 米国ペンシルベニア州フィラデルフィア |
国籍 | アメリカ人 |
研究分野 | 精神科医 |
研究機関 | ペンシルベニア大学, 自殺治療・予防センター |
出身校 | ブラウン大学、イェール大学メディカルスクール |
主な業績 | 心理療法、精神病理、自殺、心理統計学に関する研究 |
影響を 与えた人物 | マーティン・セリグマン, ユディト・S・ベック |
主な受賞歴 |
グロマイヤー賞心理学部門(2004) ラスカー・ドゥベーキー臨床医学研究賞 (2006) |
配偶者 |
Phyllis W. Beck (結婚 1950年) |
プロジェクト:人物伝 |
アーロン・ベック(Aaron Temkin Beck、1921年7月18日 - 2021年11月1日[1])は、アメリカの医学者、精神科医で、うつ病の認知療法(Cognitive Therapy)の創始者として知られる[2][3]。1954年にペンシルベニア大学に加わり、ベンシルバニア大学の教授である。国際認知療法学会(The International Association for Cognitive Psychotherapy)の名誉会長であり、フィラデルフィアにてベック研究所(Beck Institute for Cognitive Therapy and Research)を主宰。認知行動療法の理論的基礎を形作った。
生涯
[編集]1921年にロードアイランド州の州都プロビデンスにて5人兄弟の末っ子として生まれる。1942年にブラウン大学を優秀な成績で卒業後、1946年にイェール大学で医学博士の学位を取得した。フィラデルフィア精神分析研究所(Philadelphia Psychoanalytic Institute)にて精神分析家としての訓練を受け、1958年に訓練を修了し、精神分析的な立場からうつ病の研究を実施していたが、自身の仮説を検証することができず、1961年までには精神分析と決別している。
その後、研究の過程で、うつ病患者の特徴として悲観的な思考(否定的な考え方)を持つことが分かり、こうした認知の歪みを修正する新たな治療的アプローチとしてうつ病の認知療法を1963年に考案した。またその研究に伴って、ベックうつ病尺度(BDI)、ベック絶望感尺度、ベック不安尺度といった、評価尺度を策定した。
ベックと精神分析
[編集]ベックは精神分析を否定しているわけではない「無意識を洞察するか、意識を洞察するかの違いで、精神分析の発展形」だと述べている。
井上和臣は「うつ病に主に取り組んでいたときは精神分析に、パニック障害に取り組んでいたときには行動療法に、人格障害(パーソナリティ障害)に取り組んでいたときには精神分析に再び接近している」と指摘している。
主な受賞歴
[編集]- 1979年にアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)より精神医学研究財団基金賞(Foundations' Fund Prize for Research in Psychiatry)を受賞した。
- 1989年にアメリカ心理学会(American Psychological Association)より応用心理学優秀学術賞(Distinguished Scientific Award for the Applications of Psychology)を受賞した。
- 2006年にアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)よりアドルフ・マイヤー賞(Adolf Meyer Award)を受賞した。
- 2006年にラスカー財団(Lasker Foundation)よりアルバート・ラスカー臨床医学研究賞(Albert Lasker Clinical Medical Research Award)を受賞した。
- 2011年にタイ王国よりプリンス・マヒドール賞を受賞した。
主な著書
[編集]- Beck, A. T. (1967 / 1970) Depression: Causes and treatment. Philadelphia : University of Pennsylvania Press
- Beck, A. T. (1967) Depression: Clinical, experimental, and theoretical aspect. New York : Hoeber Medical Division,Harper & Row
- Beck, A. T. (1976) Cognitive therapy and the emotional disorders. New York : Meridian
- (ベックA.T.(著) 大野裕(訳) 1990 認知療法:精神療法の新しい発展 東京:岩崎学術出版社)
- Beck, A. T., Rush, A. J., Shaw, B. F., & Emery, G. (1979) Cognitive therapy of depression. New York : Guilford Press
- (ベックA.T.・ラッシュA.J.・ショウーB.F.・エメリィーG.(共著) 坂野雄二(監訳) 神村栄一・清水里美・前田基成(共訳) 1992 うつ病の認知療法 東京:岩崎学術出版社)
- Beck, A. T., Freeman, A., & Associates. (1990) Cognitive therapy of personality disorders. New York : Guilford Press
- (ベックA.T.・フリーマンA.(共著) 井上和臣(監訳) 岩重達也・南川節子・河瀬雅紀 (共訳) 1997 人格障害の認知療法 東京:岩崎学術出版社)
主な学術論文
[編集]- Beck, A. T. (1963) Thinking and depression: Idiosyncratic content and cognitive distortions. Archives of General Psychiatry , 9 , 324-333.
- Beck, A.T. (1964) Thinking and depression: Theory and therapy. Archives of General Psychiatry , 10 , 561-571.
- Beck, A.T., Hollon, S.D., Young, J.E., Bedrosian, R.C., & Budenz, D. (1985) Treatment of depression with cognitive therapy and amitriptyline. Archives of General Psychiatry , 42 , 142-148.
- Beck, A.T., Steer, R.A., & Garbin, M.G. (1988) Psychometric properties of the Beck Depression Inventory: Twenty-five years of evaluation. Clinical Psychology Review , 8 , 77-100.
- Beck, A.T. (2005) The current state of cognitive therapy: A 40-year retrospective. Archives of General Psychiatry , 62 , 953-959.
- Brown, G.K., Ten Have, T., Henriques, G.R., Xie, S.X., Hollander, J.E., & Beck, A.T. (2005) Cognitive therapy for the prevention of suicide attempts: A randomized controlled trial. Journal of the American Medical Association , 294 , 563-570.
- Butler, A.C., Chapman, J.E., Forman & Beck, A.T. (2006) The empirical status of cognitive behavioral therapy: A review of meta-analyses. Clinical Psychological Review , 26 , 17-31.
脚注
[編集]- ^ “In Memory of Aaron Temkin Beck, MD” (英語). Beck Institute (November 1, 2021). 2021年12月9日閲覧。
- ^ 2004 - Aaron Beck, The Grawemeyer Awards, Louisville, KY: University of Louisville/Louisville Presbyterian Theological Seminary, 2009, Retrieved 21 February 2014.
- ^ Aaron Beck bio, The Heinz Awards Undated, Retrieved 21 February 2014.