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イシサンゴ目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イシサンゴ目
旧キクメイシ科の一種
Diploria labyrinthiformis
分類
: 動物界 Animalia
: 刺胞動物門 Cnidaria
: 花虫綱 Anthozoa
亜綱 : 六放サンゴ亜綱 Hexacorallia
: イシサンゴ目 Scleractinia
学名
Scleractinia
Bourne, 1900[1]
和名
イシサンゴ目[2]

イシサンゴ目(イシサンゴもく、石珊瑚目、Scleractinia)は、花虫綱の一つ。炭酸カルシウムの硬い骨軸をつくる。ハードコーラルとも呼ばれる。

造礁サンゴ

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普通、サンゴというとこれを指すことが多い。ミドリイシ科は観賞用に飼育され人気が高い。太陽光のよく届くところに生息する。炭酸カルシウムの骨軸を持つため、水中のカルシウムを大量に消費する。色は共生する褐虫藻の色に依存し、緑、ピンク、紫、褐色、青等様々。褐虫藻から得られる栄養に依存しているため、強力な光が必要で高水温に弱い。褐虫藻が環境悪化で抜けてしまうと体全体が真っ白になる白化現象を起こし死滅する。形態はテーブル状、枝状、球体状、塊状など。

分類

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およそ1300種の現生種がいるが、その半数は褐虫藻を持たない。褐虫藻を持つ浅海性種がよく研究されているのに対し、非褐虫藻種の多くは深海性であるため研究が進んでおらず、非褐虫藻種はさらに増える可能性が高い[3]

種内変異が大きい上、種間で形態が連続的に変化することから分類体系は安定していない[4]。伝統的には骨格の形態に基づき5 - 6亜目に区分されてきたが、2016年には分子系統解析に基づきシズカテマリ亜目とナミフウセン亜目の2亜目に再分類する説が提唱されている[5][6][7]

以下の分類は、World list of Scleractinia(Hoeksema & Cairns, 2024)に従う[1]。和名は主として杉原ほか(2015)・野村ほか(2016)・深見・北野(2023)を参考とした[6][8][9]

脚注

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  1. ^ a b Hoeksema, B. W.; Cairns, S. (2024). World List of Scleractinia. Accessed at https://www.marinespecies.org/scleractinia on 2024-02-13.
  2. ^ 日本産イシサンゴ目の標準和名の提唱と使用のガイドライン」日本サンゴ礁学会、2021年12月28日公開(2022年5月16日⼀部修正)、2024年02月13日閲覧。
  3. ^ M.C Le Goff-Vitry, A.D Rogers, D Baglow (2004). “A deep-sea slant on the molecular phylogeny of the Scleractinia”. Mol. Phyl. Evol. 30 (1): 167–177. 
  4. ^ 深見裕伸「造礁性イシサンゴ類(キクメイシ亜目)の分類・系統:分子系統解析と形態分類の調和」『タクサ:日本動物分類学会誌』第22号、2007年、55-62頁、NAID 110006838996 
  5. ^ Nami Okubo "Restructuring the Traditional Suborders in the Order Scleractinia Based on Embryogenetic Morphological Characteristics," Zoological Science 33(1), 116-123, (1 February 2016). https://doi.org/10.2108/zs150094
  6. ^ a b 野村恵一・深見裕伸・座安佑奈・島田剛・北野裕子・横地洋之・下池和幸・立川浩之・奥裕太郎・鈴木豪・梶原健次「串本産有藻性イシサンゴ類相の再整理」『マリンパビリオン』特別号 No. 4、串本海中公園センター、2016年、1-20頁。
  7. ^ 座安佑奈・横地洋之・梶原健次・木村匡・島田剛・下池和幸・鈴木豪・立川浩之・長田智史・野村恵一「イシサンゴ分類の現状と日本造礁サンゴ分類研究会の取組」『タクサ:日本動物分類学会誌』第42巻、日本動物分類学会、2017年、10-15頁。
  8. ^ 杉原薫・野村恵一・横地洋之・下池和幸・梶原健次・鈴木豪・座安佑奈・出羽尚子・深見裕伸・北野裕子・松本尚・目﨑拓真・永田俊輔・立川浩之・木村匡『日本の有藻性イシサンゴ類 〜種子島編〜』国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター、2015年、1-197頁。
  9. ^ 深見裕伸・北野裕子「サンゴ分類の話 連載 第4回 イシサンゴ類の学名の変更 2023」『日本サンゴ礁学会誌』第25巻 1号、日本サンゴ礁学会、2023年、19-25頁。
  10. ^ a b c 杉原薫「琉球大学資料館(風樹館)中城湾サンゴ類標本目録」『琉球大学資料館(風樹館)収蔵資料目録』第9号、琉球大学資料館(風樹館)、2014年、1-83頁。
  11. ^ 徳田悠希・江崎洋一「現生種と絶滅種の収斂進化―単体サンゴの固着器官の進化史―」『タクサ:日本動物分類学会誌』第40巻、日本動物分類学会、2016年、3-8頁。
  12. ^ 坂井恵一「のと海洋ふれあいセンターに収蔵されている無脊椎動物標本」『のと海洋ふれあいセンター研究報告』第17号、石川県環境部、2011年、15-34頁。
  13. ^ Hiroyuki Tachikawa, “Review of the Japanese Species of Alatotrochus and Sphenotrochus (Cnidaria: Anthozoa: Scleractinia: Turbinoliidae), with Description of a New Species, A. japonicus,” Memoirs of the National Museum of Nature and Science, No. 47, National Museum of Nature and Science, Tokyo, 2011, Pages 39-50.
  14. ^ a b 横地洋之「西表島から採集された日本初記録の有藻性イシサンゴNemenzophyllia turbida Hodgson & Ross, 1982」『Fauna Ryukyuana』第58巻、琉球大学資料館 (風樹館)、2020年、37-41頁。
  15. ^ a b 深見裕伸「キクメイシ科およびオオトゲサンゴ科の分類体系の改変の理由」『日本サンゴ礁学会誌』第15巻 1号、日本サンゴ礁学会、2013年、107-113頁。

外部リンク

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