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イワガニ上科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イワガニ上科 Grapsoidea
チュウゴクモクズガニ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱(エビ綱) Malacostraca
: 十脚目(エビ目) Decapoda
亜目 : 抱卵亜目(エビ亜目) Pleocyemata
下目 : 短尾下目(カニ下目) Brachyura
上科 : イワガニ上科 Grapsoidea Macleay, 1838
7科523種(本文参照)

イワガニ上科(いわがにじょうか)、学名 Grapsoidea は、カニの分類群の一つ。イワガニイソガニモクズガニアカテガニアシハラガニオカガニ等、海岸や水辺に生息するカニを多く含むグループである[1][2]

形態

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甲幅は数cmから十数cmほどで、種類によって差があるが、カニ全体で見ると中型のグループである。長方形の甲羅としっかりした鋏脚、歩脚をもち、他の科と比べても体を覆う外骨格(殻)が頑丈に発達している。また動きが素早いものが多い。

ベンケイガニ科オカガニ科等の成体は水辺からだいぶ離れても生きていけるが、幼生は海でないと成長できないため、抱卵した母親は孵化寸前になると海辺へ移動し、海中で卵を孵化させる。卵から生まれる子はゾエア幼生の形態で、他のカニと同じくプランクトン生活を送り、メガロパ幼生を経て稚ガニとなる。

成体となっても呼吸をするので、水辺から離れても適度な湿り気は必要である。オカガニ科の成体は鰓と別に空気から直接酸素を取り入れることができ、陸上生活により適応している[1][2]

生態

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海岸干潟、浅いなど、人間にとって身近な水辺に多くの種類が生息しており、漁獲・流通したものを除けば目に触れる機会が最も多い。モクズガニチュウゴクモクズガニショウジンガニオカガニ等の大型種は食用に漁獲され、小型のカニは釣り餌にも使われる。

食性は殆どが雑食性で、生息環境にいる植物、海藻フナムシ昆虫類、小魚、生物遺骸等なんでも食べる。動きが素早いため、生息域に生物遺骸が発生するとすぐに食べに集まってくる。人間の出した生ゴミも食べる。一方、天敵は哺乳類、鳥類、魚類、頭足類等である。食物連鎖においては低次の消費者、または腐肉食者として重要である[1][2]

分類

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伝統的分類では「イワガニ科 Grapsidae」「オカガニ科 Gecarcinidae」の2科で、イワガニ科の中に「イワガニ亜科 Grapsinae」「ベンケイガニ亜科 Sesarminae」「モクズガニ亜科 Varurinae」「ショウジンガニ亜科 Plagusinae」が設定されていた。

しかし21世紀初頭にカニの分類が大幅に見直される中で、イワガニ科の各亜科は科に昇格、モクズガニ科とショウジンガニ科にさらに亜科を設定する等の改変が加えられた。ここではDe Grave et al. (2009)の分類に従った[1][2][3]

参考文献

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  1. ^ a b c d 三宅貞祥『原色日本大型甲殻類図鑑 II』ISBN 4586300639 1983年 保育社
  2. ^ a b c d 鹿児島の自然を記録する会編『川の生き物図鑑 鹿児島の水辺から』(解説 : 鈴木廣志)2002年 南方新社 ISBN 493137669X
  3. ^ Sammy De Grave, N. Dean Pentcheff, Shane T. Ahyong et al. (2009)"A classification of living and fossil genera of decapod crustaceans"Raffles Bulletin of Zoology, 2009, Supplement No. 21: 1–109, National University of Singapore