イヴェリア (イッポリトフ=イワノフ)
組曲『イヴェリア』(露: Иверия)作品42はミハイル・イッポリトフ=イワノフが作曲した管弦楽曲。4曲から成る。演奏時間は約20分。
概要
[編集]イッポリトフ=イワノフの管弦楽組曲第2番であり、代表作である『コーカサスの風景』の続編として作曲された。『コーカサスの風景』の初演(1895年)後、直ちに作曲に取り掛かり、翌年までにおおよその形が整えられたと考えられている。その後、10年を経て完成され、1906年にモスクワで初演された。出版された楽譜には、副題として『コーカサスの風景第2番』と記されている。曲名であるイヴェリア(Иверия,Iveria または イベリア Иберия,Iberia[1])はグルジア地方の古称。
編成
[編集]ピッコロ、フルート2、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン2、バストロンボーン、チューバ、ティンパニ、東洋風ピッコロ・ティンパニ、バスドラム、スネアドラム、東洋風太鼓、ダイラ、シンバル、タンブリン、トライアングル、ハープ、弦五部
曲の構成
[編集]- 第1曲「導入部 - ケテヴァナ王女の嘆き」(露: Вступление.Плач царевны Кетеваны)
ラルゴ。4分の4拍子。冒頭、ファゴットとチェロで東洋的かつ悲痛なメロディが奏される。ついでクラリネット、ホルン、フルートなどがこれに加わり、弦がピッツィカートやトレモロで伴奏し、悲劇的雰囲気を高める。終始、一貫した雰囲気のまま最後は弦のピッツィカートで静かに終わる。
- 第2曲「子守歌」(露: Колыбельная песня)
アレグレット。8分の6拍子。オーボエが穏やかな下降旋律を奏しハープなどが伴奏する。ついでフルート、クラリネットなどでチャイコフスキーのバレエ『くるみ割り人形』の「アラビアの踊り」でも使われたグルジアの子守歌が奏される。
- 第3曲「レズギンカ」(露: Лезгинка)
8分の6拍子、ラルゲットの導入部ではオーボエで民謡風のメロディが奏される。4分の2拍子、アレグレットに始まる主部では、ダイラなど民族打楽器が大活躍し、最後はプレストとなり一気呵成に曲を終える。
- 第4曲「グルジア行進曲」(露: Грузинский марш)
アレグロ・マルツィアーレ。4分の4拍子。三部形式。「グルジア戦争行進曲」と訳されることも多い。『コーカサスの風景』の終曲である「酋長の行列」同様、勇壮さと東洋的雰囲気を兼ね備えた行進曲。
脚注
[編集]- ^ 出版楽譜では「Иверия(Iveria)」が使用されている。項目名もそれにしたがった。