ウァンピロウィブリオ・クロレッラウォルス
メライナバクテリア | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Vampirovibrio chlorellavorus Gromov & Mamkayeva 1980 |
ウァンピロウィブリオ・クロレッラウォルス(Vampirovibrio chlorellavorus)は、グラム陰性の細菌である。クロレラ捕食性で、クロレラ培養槽を崩壊させることがある。また、その分類系統的位置の特異性により、注目を集めている。
学名は、vampirum(吸血鬼)+vibrio(歪曲桿菌)、chlorella(クロレラ)+vorans(食べる。voroの現在分詞)となっていて、歪曲した桿菌形態とクロレラの内容物を吸収し、食べることから命名された。ラテン語としては、「クロレラを食べる、吸血歪曲桿菌」などといった意味として読み取れる。
特徴
[編集]1966年にクロレラChlorella vulgarisを溶菌させる細菌として発見された。グラム陰性、偏性好気性で、0.3~0.6μmほどの大きさの歪曲した桿菌である。単独の鞭毛を持ち、一旦クロレラ表面に付着すると、その内容物を吸収しながら分裂、増殖する[1]。同じ捕食性の細菌であるBdellovibrioなどと異なり、細胞内部に入り込むことはない[1](Bdellovibrioはペリプラズムに入り込む)。鞭毛に鞘が無いこともBdellovibrioとは異なっている。付着されたクロレラは死滅するため、しばしば開放系クロレラ培養槽の崩壊に関連する[1]。
その特性から、単独で培養することはできず、Chlorella vulgarisなどのクロレラと共培養により維持される[2]。
ゲノム・分類
[編集]1980年代以降、プロテオバクテリアに分類されている。バージェイ式分類では、デルタブロテオバクテリア綱のブデロビブリオ科に置かれている。しかしながら、むしろゲノム情報から藍色細菌に近いことが示唆される。この中では、非光合成系統のメライナバクテリアに所属する可能性が高く、光合成系を持たず、かつて光合成系を持っていた痕跡も無いという[2]。また、鞭毛を保有するなど、既知の藍色細菌とは全く異なる特徴を持つ[2]。
なお、正式に学名として認められた細菌であるが、3ヶ所に寄託された凍結乾燥標本何れも再生できず、既に基準株の培養系は失われている。ただし、1978年にNCIBに寄託された凍結乾燥標本から、2015年に全ゲノムの再構築に成功している[2]。
脚注
[編集]- ^ a b c Ganuza, E., et al. (2016). “A Novel Treatment Protects Chlorella at Commercial Scale from the Predatory Bacterium Vampirovibrio chlorellavorus”. Front Microbiol. 7. doi:10.3389/fmicb.2016.00848.
- ^ a b c d Rochelle M. Soo, et al. (2015). “Back from the dead; the curious tale of the predatory cyanobacterium Vampirovibrio chlorellavorus”. PeerJ. 3: e968. doi:10.7717/peerj.968.