ウインクル層
ウインクル層 層序範囲: セノマニアン階 - 上部チューロニアン階 | |
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種別 | 累層 |
所属 | ネウケン層群 |
上層 | Lisandro Formation (en) |
下層 | カンデレロス層 |
厚さ | 約250メートル |
岩質 | |
主な岩石 | 砂岩 |
その他の岩石 | 粘土岩 |
所在地 | |
地域 | メンドーサ州、リオネグロ州、ネウケン州 |
国 | アルゼンチン |
長さ | ネウケン盆地 |
模式断面 | |
名の由来 | Plaza Huincul (en) |
命名者 | Wichmann (1929) |
ウインクル層[1](ウインクルそう)またはフインクル層[2][3](フインクルそう)は、アルゼンチンの北部パタゴニアのメンドーサ州・リオネグロ州・ネウケン州に露頭が存在する、ネウケン盆地に分布する上部白亜系(セノマニアン階 - 上部チューロニアン階)の地層[4]。複数の恐竜の化石が産出することで知られる[3]。ウインクル層はネウケン層群の最古の亜層群であるRío Limay Subgroup (en) の2番目の層にあたり、当該亜層群が層として取り扱われていた際には部層として知られていた[5]。
説明
[編集]ウインクル層は模式地がネウケン州のPlaza Huincul (en) の町の付近であり、この町にちなんでWichman (1929)により命名された[6]。本層はカンデレロス層に整合して重なり、またこの上にLisandro Formation (en) が重なる。
ウインクル層は一時的あるいは季節的な河川を伴う乾燥環境であったと考えられている[7]。ある場所での層厚は250メートルに達する。本層は主に緑色と黄色の砂岩で構成されており、赤色である上位層のLisandro Formationとは容易に識別可能である。加えて本層の下位層であるカンデレロス層がより暗い色の堆積物で構成されているため、3層の全てが区別可能である[5][8]。
古生物相
[編集]ウインクル層では恐竜の化石が頻繁に発見されている。ティタノサウルス類の竜脚類であるArgentinosaurus huinculensisは、既知の範囲内で最大級の陸棲動物の1つであり、その種小名は本層に由来する[1][5]。同じく本層から知られるカルカロドントサウルス科の獣脚類Mapusaurus roseaeは、既知の範囲内で最大級の陸棲捕食者の1つである[7]。この他にも竜脚類のCathartesaura anaerobica[2]、獣脚類のSkorpiovenator bustingoryiや[2]Meraxes gigas[3]などが発見されている。
竜脚類と獣脚類の他では、イグアノドン類や他の鳥脚類の希少な化石が記録されている[9]。足跡化石はアベリサウルス科やハドロサウルス類のものが知られている[10]。
出典
[編集]- ^ a b 松田眞由美『語源が分かる 恐竜学名辞典』小林快次、藤原慎一 監修、北隆館、2017年1月20日、172頁。ISBN 978-4-8326-0734-7。
- ^ a b c グレゴリー・ポール 著、東洋一、今井拓哉、河部壮一郎、柴田正輝、関谷透、服部創紀 訳『グレゴリー・ポール恐竜事典 原著第2版』共立出版、2020年8月30日、92、223頁。ISBN 978-4-320-04738-9。
- ^ a b c 小堀龍之「「巨大ドラゴン」にちなみ命名 アルゼンチンで見つかった新種恐竜」『朝日新聞』2022年7月7日。2024年4月9日閲覧。
- ^ Huincul Formation at Fossilworks.org
- ^ a b c Sánchez, María Lidia (2006年). “Paleoambientes sedimentarios del Cretácico Superior de la Formación Plottier (Grupo Neuquén), Departamento Confluencia, Neuquén” [Sedimentary paleoenvironments in the Upper Cretaceous Plottier Formation (Neuquen Group), Confluencia, Neuquén)]. pp. 3–18. 2019年2月16日閲覧。
- ^ Wichmann, R (1929). “Los Estratos con Dinosaurios y su techo en el este del Territorio del Neuquén ("The dinosaur-bearing strata and their upper limit in eastern Neuquén Territory")”. Dirección General de Geología, Minería e Hidrogeología Publicación 32: 1–9.
- ^ a b Coria, R.A.; Currie, P.J. (2006). “A new carcharodontosaurid (Dinosauria, Theropoda) from the Upper Cretaceous of Argentina”. Geodiversitas 28: 71–118 2019年2月16日閲覧。.
- ^ Leanza, H.A.; Apesteguia, S.; Novas, F.E.; De la Fuente, M.S. (2004). “Cretaceous terrestrial beds from the Neuquén Basin (Argentina) and their tetrapod assemblages”. Cretaceous Research 25: 61–87 2019年2月16日閲覧。.
- ^ Canudo, J. I., Salgado, L., Garrido, A., Carballido, J. L., Aragosaurus-IUCA, G., Lobo, I., Negro, R., & Olsacher, J. A. (2013). Primera evidencia de dinosaurios ornitópodos en la base de la Formación Huincul (Cenomaniense Superior-Turoniense, Cuenca Neuquina, Argentina) First evidence of ornithopod dinosaurs at the base of Huincul Formation (Cenomanian - Upper Turonian, Neuquén Basin, Argentina).
- ^ Leonardi, Giuseppe (1994年). “Annotated Atlas of South America Tetrapod Footprints (Devonian to Holocene) with an appendix on Mexico and Central America”. Ministerio de Minas e Energia - Companhia de Pesquisa de Recursos Minerais, Geological Service of Brazil. pp. 1–248. 2019年3月25日閲覧。