ウスギオウレン
ウスギオウレン | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Coptis lutescens Tamura (1978)[1] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ウスギオウレン |
ウスギオウレン(学名:Coptis lutescens)は、キンポウゲ科オウレン属の常緑の多年草。本州中部の太平洋側の針葉樹林、落葉広葉樹林の林床に生え、同属のコセリバオウレンに似るが、細長い花弁状の萼片が淡黄色になる[2][3]。1978年に新種記載された[1]。
特徴
[編集]地中に水平に伸びる根茎があり、太く長く、匐枝はない。花茎は紫褐色、ときに緑色で、高さ5-12cmになり、果実期には26cmに伸びる。根出葉は2-4回3出複葉、小葉は卵形から倒卵形で、長さ5-15mm、幅3-15mmになる。花茎に苞葉があり、長卵形で先端は尾状に伸び、先端は3裂する[2][3]。
花期は3-5月。花の径は約1cmになり、3-4個が総状につく。萼片は細長く、狭披針形から線形、長さ6-8mmになり、淡黄緑色、先端は尾状にとがる。花弁は萼片より短く、さじ形になり、長さ4mm、黄白色、白色、まれに紫色をおび、花弁舷部にある蜜腺は浅くへこむ。雄蕊は多数あり、葯は白色になる。雌蕊に柄がある。果実は長さ6-10mmの舟形の袋果になり、残存花柱は長さ1mm以下で先は曲がらない。種子は黄褐色になる[2][3]。
分布と生育環境
[編集]日本固有種[2]。本州中部の太平洋側[2](東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県)に分布し、亜寒帯から暖温帯の針葉樹林、落葉広葉樹林の林床に生育する[3]。タイプ標本の採集地は雲取山の北斜面である[4][5]。
名前の由来
[編集]和名ウスギオウレンは、「黄色の花を咲かせる」オウレン属の一新種について、新種記載者の植物学者、田村道夫がつけた[4]。
種小名(種形容語)lutescens は、「淡黄色の」「やや黄色い」の意味[6]。
種の保全状況評価
[編集]国(環境省)でのレッドデータブック、レッドリストの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は、埼玉県と東京都が絶滅危惧IB類 (EN)となっている[7]。
ギャラリー
[編集]-
萼片は細長く、狭披針形から線形、淡黄緑色になり、先端は尾状にとがる。花弁は萼片より短く、さじ形になり、黄白色、花弁舷部にある蜜腺は浅くへこむ。
-
若い果実。
-
果実は舟形の袋果になり、残存花柱は先が曲がらない。
-
根出葉は3回3出複葉、小葉は卵形から倒卵形になる。
脚注
[編集]- ^ a b ウスギオウレン 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e 門田裕一 (2011)「キンポウゲ科」『日本の固有植物』p.51
- ^ a b c d 門田裕一 (2016)『改訂新版 日本の野生植物2』「キンポウゲ科オウレン属」pp.147-149
- ^ a b 田村道夫「日本産オウレン属の一新種」『北陸の植物 (The Journal of Geobotany)』第26巻第1号、北陸の植物の会、1978年、2-5頁。
- ^ Coptis lutescens Tamura, International Plant Names Index.
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1501
- ^ ウスギオウレン、日本のレッドデータ検索システム、2024年9月16日閲覧
参考文献
[編集]- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 2』、2016年、平凡社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- 日本のレッドデータ検索システム
- 田村道夫「日本産オウレン属の一新種」『北陸の植物 (The Journal of Geobotany)』第26巻第1号、北陸の植物の会、1978年、2-5頁。