ウルムチ駅爆発事件
ウルムチ駅爆発事件 | |
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爆発で破損したウルムチ駅南西のビルの看板 | |
場所 | 中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市ウルムチ駅 |
座標 | 北緯43度46分44秒 東経87度34分59秒 / 北緯43.77889度 東経87.58306度座標: 北緯43度46分44秒 東経87度34分59秒 / 北緯43.77889度 東経87.58306度 |
日付 | 2014年4月30日19時10分(UTC+8)頃 |
死亡者 | 3(うち2人は自爆)[1] |
負傷者 | 79 |
犯人 | 東トルキスタンイスラム運動 |
ウルムチ駅爆発事件(ウルムチえきばくはつじけん、中国語: 乌鲁木齐火车南站『4·30』暴力恐怖袭击案件)は、2014年4月30日に中国・新疆ウイグル自治区ウルムチ市で発生したテロ事件である。
概要
[編集]習近平総書記(国家主席)が同自治区を初めて視察した直後に発生した事件で、自爆した2人を含む3人が死亡し、79人が負傷した。
5月14日、逃亡していた容疑者7人が拘束された。
5月18日、中国公安当局は、ウイグル独立派組織東トルキスタンイスラム運動(ETIM)の関与を明らかにした[1][2]。
影響
[編集]ニューヨーク・タイムズの報じたリークによれば、この事件を受けて、習近平は同年5月の新疆工作座談会での秘密演説で、一部の強硬派が主張するイスラム教の規制や根絶は否定しつつ、「ソビエト連邦の崩壊やアメリカ同時多発テロ事件も挙げて経済発展を優先した胡錦濤元総書記指導部と安全保障より人権を優先した欧米はテロリズムや分離主義の対策に失敗した」として「人民民主独裁の武器を躊躇なく行使せよ、情け容赦は無用だ」と述べテクノロジーの活用を指示した[3][4]。その後、「対テロ人民戦争」「厳打暴恐活動専項行動」を掲げ[5][6][7]、12月31日には当時の新疆ウイグル自治区人民政府主席だったヌル・ベクリをウイグル族高官では異例の中央の要職である国家発展改革委員会副主任兼国家エネルギー局局長に抜擢し、習近平はウイグル重視を打ち出した[8]。
特に2016年に陳全国が新疆ウイグル自治区の党委書記、朱海侖が党委副書記兼政法委員会書記にそれぞれ就任して翌2017年2月に武装警察、公安部、民兵を集めた決起大会で朱海侖が「人民民主独裁の強力な拳で、全ての分離主義者とテロリストは粉砕する」と演説して以降、新疆ウイグル再教育キャンプへの大規模な拘留が始まったとされ、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した中国政府の内部文書によれば監視カメラや携帯電話などから個人情報を収集してアルゴリズム解析する「一体化統合作戦プラットフォーム」(IJOP)によるAIと機械学習を利用したプレディクティブ・ポリシングで選別されたウイグル人は予防拘禁されるようになり[9][10]、ノッティンガム大学の新疆研究者であるリアン・トゥムは「コンピュータが人間を強制収容所に送る例は他にない」と評した[11]。
2017年6月の時点で、このシステムは新疆南部で2万人の個人を特定し、1万5千人をキャンプに送り、2千人を自宅軟禁にしたとされた[11]。
また、全面的に管理統制が強化され[12][13][14]、新疆ウイグル自治区はウイグル人住民がQRコードで管理され[15][16]、自動車の全車両やメッカへのハッジの際には追跡装置が装着され[17][18]、モスクなどに張り巡らしたAI監視カメラによって人種プロファイリングで識別され[19][20][21]、様々なハイテクで顔認証・虹彩・指紋・DNA[22][23][24]・声紋・歩容解析など一挙手一投足を監視される「世界でも類のない警察国家」[25]「完全監視社会」[26]の実験場となったと欧米メディアや人権団体は批判した[22][27]。
脚注
[編集]- ^ a b “新疆の爆発で3人死亡79人負傷 国家主席視察直後、テロと報道”. 東京新聞 (2014年5月1日). 2014年5月22日閲覧。
- ^ “公安当局「新疆独立組織が関与」 ウルムチ駅爆発事件”. 東京新聞 (2014年5月18日). 2014年5月22日閲覧。
- ^ “ウイグル人に「情け容赦は無用」、中国政府の内部リークで新事実明らかに 米報道”. AFPBB. (2019年11月17日) 2019年11月25日閲覧。
- ^ “‘Absolutely No Mercy’: Leaked Files Expose How China Organized Mass Detentions of Muslims”. ニューヨーク・タイムズ. (2019年11月16日) 2019年11月18日閲覧。
- ^ “习近平:打好反恐人民战争”. 人民網. (2014年12月31日) 2019年11月25日閲覧。
- ^ “习近平:打好反恐人民战争”. 網易財経. (2014年5月4日) 2019年11月25日閲覧。
- ^ “Fear and oppression in Xinjiang: China’s war on Uighur culture”. ファイナンシャル・タイムズ. (2019年9月12日) 2019年11月25日閲覧。
- ^ 「ウイグル族高官、中央要職に=国家エネルギー局長に異例の登用-中国」時事通信2014年12月
- ^ “Exposed: China’s Operating Manuals For Mass Internment And Arrest By Algorithm”. 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ). (2019年11月24日) 2019年11月25日閲覧。
- ^ “大規模システムでウイグル族を監視 中国当局の内部文書判明”. 東京新聞. (2019年11月25日) 2019年11月25日閲覧。
- ^ a b “Secret documents: China detention camps to 'prevent escapes'”. 毎日新聞. (2019年11月25日) 2019年11月25日閲覧。
- ^ Chavkin, Sasha (2019-11-24). "China Cables. Xinjiang's Architect of Mass Detention Zhu Hailun". International Consortium of Investigative Journalists (ICIJ).
- ^ Roberts, Sean R. (2018-03-22). “The biopolitics of China's "war on terror" and the exclusion of the Uyghurs”. Critical Asian Studies 50 (2): 232–258. doi:10.1080/14672715.2018.1454111. ISSN 1467-2715.
- ^ Zenz, Adrian. “Brainwashing, Police Guards and Coercive Internment: Evidence from Chinese Government Documents about the Nature and Extent of Xinjiang’s "Vocational Training Internment Camps"”. Journal of Political Risk 7 (7) 2019年11月25日閲覧。.
- ^ “ウイグル族を「QRコード」で管理する中国”. ニューズウィーク. (2018年9月12日) 2019年11月20日閲覧。
- ^ “新疆ウイグル自治区の住民、工具へのQRコードの装着を強要”. Bitter Winter. (2018年9月24日) 2019年11月20日閲覧。
- ^ “中国当局、全車両に位置情報ソフトの搭載義務付け 新疆の一部地区で”. AFPBB. (2017年2月21日) 2019年11月25日閲覧。
- ^ “中国政府の監視の目、メッカ巡礼イスラム教徒にも”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2018年8月1日) 2019年11月20日閲覧。
- ^ “中国の警察は少数民族を識別するためにAIを使っている”. ギズモード. (2019-04-209) 2019年11月20日閲覧。
- ^ “One Month, 500,000 Face Scans: How China Is Using A.I. to Profile a Minority”. ニューヨーク・タイムズ. (2019年4月14日) 2019年11月20日閲覧。
- ^ “中国、ウイグル族の処遇を正当化 NZ銃撃事件引き合いに”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2019年4月11日) 2019年11月20日閲覧。
- ^ a b “中国新疆当局、住民の生体情報を収集 人権団体報告 ”. CNN. (2017年12月14日) 2019年11月20日閲覧。
- ^ “市民のDNA採取を進める中国、その真の構想とは”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2017年12月28日) 2019年11月20日閲覧。
- ^ “中国の「超AI監視社会」--新疆ウイグル自治区では“体内”まで監視!”. 週刊プレイボーイ. (2018年2月3日) 2019年11月20日閲覧。
- ^ “China has turned Xinjiang into a police state like no other”. The Economist. (2018年5月31日). ISSN 0013-0613 2019年11月20日閲覧。
- ^ “中国「完全監視社会」の実験場、新疆を行く”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2017年12月22日) 2019年11月20日閲覧。
- ^ “48 Ways to Get Sent to a Chinese Concentration Camp”. Foreign Policy. (2018年9月13日) 2019年11月25日閲覧。