エス.ラボ
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種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
日本国 612-8371 京都府京都市伏見区竹田松林町74 北緯34度56分43秒 東経135度45分02秒 / 北緯34.94528度 東経135.75056度座標: 北緯34度56分43秒 東経135度45分02秒 / 北緯34.94528度 東経135.75056度 |
設立 | 2005年(平成17年)10月18日 |
業種 | 生産用機械器具製造業 |
法人番号 | 3130002025855 |
事業内容 | 3Dプリンター等の開発設計・製造・販売 |
代表者 | 柚山精一 |
資本金 | 57,250,000JPY |
外部リンク | https://slab.jp/ |
エス.ラボ株式会社(英: S.lab Inc.[1])は、3Dプリンターの開発設計、製造並びに販売をする日本国の企業である[2]。日本国内におけるペレット式3Dプリンター製造及び販売の最大手で、2023年の市場占有率は約6割であった[3]。
概説
[編集]生分解性プラスチックの開発をしていた柚山精一は、2005年(平成17年)に実験室用プラスチック成形機やCNC工作機を製作するベンチャーを起業した[4]。実はプラスチック成形機とCNC工作機を融合させたものが3Dプリンターであり、2013年(平成25年)からはその技術を生かしてプラスチックを材料に用いた材料押出方式[注 1]の3Dプリンター[注 2]の製造を始めた[4][8]。2016年(平成28年)にペレット[注 3]から直接出力できる3Dプリンターの国際特許を取得、2021年(令和3年)には世界最大級の超大型3Dプリンター「MothMach 茶室 GEM」シリーズを製品化した[10]。また、2019年(令和元年)に株式会社リコー並びに豊田合成株式会社から出資を受けた[11]。株式会社リコーとはリコージャパン株式会社がエス.ラボ株式会社の新型3Dプリンターの販売代理店となる業務提携を結び、豊田合成株式会社とは自動車部品製造用に新たな3Dプリンターを共同で開発している[11]。
沿革
[編集]- 2005年(平成17年) S.ラボ有限会社を京都府長岡京市にて設立
- 2008年(平成20年) 楽天市場にて、ものづくりECサイト「秘密基地」を開設
- 2012年(平成24年) CNCフライス盤「MothMach CNCBS」シリーズを発売
- 2013年(平成25年) 3Dプリンター「MothMach S3DP」シリーズを発売
- 2014年(平成26年) 株式会社デアゴスティーニ・ジャパンが出版する分冊百科『週刊 マイ3Dプリンター』を監修[10]
- 2016年(平成28年) TECH Biz EXPO 2016[注 4]にペレット式3Dプリンターを出品
- 2016年(平成28年) ペレット式3Dプリンターの国際特許を取得
- 2017年(平成29年) 社名をエス.ラボ株式会社に変更
- 2017年(平成29年) 京都中小企業技術大賞[注 5]優秀技術賞を受賞[13]
- 2018年(平成30年) 現所在地(京都市伏見区)へ移転
- 2019年(平成31年) 取締役会及び監査役設置
- 2019年(令和元年) 株式会社リコー並びに豊田合成株式会社を対象とする第三者割当増資により資本金を5,725万円に増資[11]
- 2019年(令和元年) ペレット式3Dプリンター「MothMach GEM」シリーズを発売[11]
- 2020年(令和2年) 第32回オリンピック競技大会並びに東京2020パラリンピック競技大会の表彰台を製造[注 7][18]
- 2020年(令和2年) 日本国内の聾学校生徒・教師向けフェイス・シールド1万個寄贈事業に参加
- 2020年(令和2年) 卓上CNCフライス盤「-Semilla-」を発売
- 2021年(令和3年) 超大型3Dプリンター「MothMach 茶室 GEM」シリーズを発売[8]
- 2023年(令和5年) 「MothMach リサイクルラボシステム[注 8]」を発売[19]
外部リンク
[編集]- “エス.ラボ株式会社”. 2024年8月26日閲覧。
- 伊藤正敏. “注目が集まるペレット式3Dプリンターの過去・現在・未来”. リコージャパン株式会社. 2024年8月26日閲覧。
- “子供向けフェイスシールド“Wakyu”モデルの設計データ”. Hiroya Tanaka. GitHub, Inc. (2020年6月26日). 2024年8月26日閲覧。慶應義塾大学SFC研究所ソーシャル・ファブリケーション・ラボは、エス.ラボ株式会社らと共同で設計・製造した約10,000個の子供向けフェイス・シールド「Wakyu」[注 9]を日本国内の聾学校等に寄贈するとともに、その設計データを公開している[21]。
脚註
[編集]註釈
[編集]- ^ 3Dプリンターの造形方式は、標準化団体のASTM/F42とISO/TC261で7種に分類されてい、材料押出のほかに、液槽光重合、結合剤噴射、材料噴射、粉末床融合、シート積層及び指向性エネルギー堆積がある[5][6]。
- ^ この3Dプリンターは、射出成形機のようにスクリューを内蔵している3Dプリンターの、日本国産で初めて製品化された例となった[7]。
- ^ 一般に用いられるプラスチック原料は、扱い易いように約3〜5mmの粒状(ペレット)になっていることから、日本国では専らペレットと呼ばれる[9]。
- ^ TECH Biz EXPO 2016は、名古屋国際見本市委員会が主催した第6回次世代ものづくり基盤技術産業展の別称である[12]。
- ^ 京都中小企業技術大賞は、公益財団法人京都産業21の顕彰事業である[13]。
- ^ 表彰台の完成は2020年(令和2年)6月だったが、開催延期の影響で完成披露は2021年(令和3年)6月となった[14][15]。その間に、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社は商号を変更したため、完成披露は新商号のP&Gジャパン合同会社として行われた[15][16]。
- ^ a b 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、第32回オリンピック競技大会並びに東京2020パラリンピック競技大会の開催にあたり、「使い捨てプラスチックを再生利用した表彰台プロジェクト〜みんなの表彰台プロジェクト〜」を実施した。これは、廃プラスチックから両大会の開催に必要な表彰台98基を作ろうというもので、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社[注 6]が学校や店舗で児童らから使用済みプラスチック容器を回収、慶應義塾大学SFC研究所ソーシャル・ファブリケーション・ラボが使用済みプラスチック容器を用いた表彰台の製造技術を検討、エス.ラボ株式会社がプロジェクトのために専用3Dプリンターを開発し且つ製造を担った[17]。
- ^ 「MothMach リサイクルラボシステム」とは、プラスチック廃材を3Dプリンターでアップサイクリングするための機器をコンパクトなセットにまとめたものである[19]。
- ^ 材料には、第32回オリンピック競技大会並びに東京2020パラリンピック競技大会の表彰台製作[注 7]で余剰となった廃プラスチックが活用された[20]。
出典
[編集]- ^ 田中浩也,湯浅亮平,荒井将来,守矢拓海,常盤拓司,青木まゆみ,益山詠夢,柚山精一,橘和子,釡井正太郎,高橋昭人「大型ペレット式3Dプリンタを活用したプラスチック資源循環の地域実践」『KEIO SFC JOURNAL』第23巻第2号、慶應義塾大学湘南藤沢学会、藤沢、2024年3月、48-66頁、doi:10.14991/003.00230002-0048、ISBN 978-4-87738-604-7、ISSN 1347-2828、全国書誌番号:23970509。
- ^ 福富智「京の人今日の人:3Dプリンターの開発・製造・販売などを手掛けるエス.ラボ社長 柚山精一さん 走り続けた起業家人生」『毎日新聞大阪本社版』株式会社毎日新聞社、大阪、2022年2月6日。全国書誌番号:00064062。2024年8月26日閲覧。
- ^ 「2023年(実績)ペレット供給式3Dプリンタ/造形機の国内市場メーカーシェア」『2024年版 3Dプリンタ/造形機の国内市場』 267巻、株式会社中日社、東京〈産業情報シリーズ〉、2024年6月13日。 NCID BN1389819X。
- ^ a b 中田行彦「「クラウドイノベーション」の誕生:群衆が生み出すイノベーションの利点と課題」『年次学術大会講演要旨集』第29巻、研究・技術計画学会、東京、2014年10月18日、839-844頁、全国書誌番号:22492728、2024年8月26日閲覧。
- ^ 藤井雅彦「3Dプリンター,社会で変わるのか,社会が変わるのか:問われているデジタルの本質の探究と実践」『日本画像学会誌』第60巻第4号、一般社団法人日本画像学会、東京、2021年、379-389頁、doi:10.11370/isj.60.379、ISSN 1344-4425、全国書誌番号:00110262。
- ^ 三森幸治「樹脂材料系3Dプリンタの技術動向」『日本ロボット学会誌』第39巻第4号、一般社団法人日本ロボット学会、東京、2021年、331-334頁、doi:10.7210/jrsj.39.331、ISSN 0289-1824、全国書誌番号:00039921。
- ^ 湯浅亮平「FDMマテリアルのデザインと活用について」『日本画像学会誌』第58巻第4号、一般社団法人日本画像学会、東京、2019年、420-423頁、doi:10.11370/isj.58.420、ISSN 1344-4425、全国書誌番号:00110262。
- ^ a b 諏訪和仁「3Dプリンター、五輪表彰台にも活躍 急ぎ・少ない・特殊な形状に強み」『朝日新聞大阪本社版』株式会社朝日新聞社、大阪、2022年3月26日。全国書誌番号:00060187。2024年8月26日閲覧。
- ^ “プラスチックができるまで”. プラスチックのはてな. 一般社団法人プラスチック循環利用協会 (2022年11月4日). 2024年8月26日閲覧。
- ^ “名古屋で産業展開幕、車・航空機向け技術一堂に”. 日刊工業新聞電子版. 株式会社日刊工業新聞社 (2016年11月17日). 2024年8月26日閲覧。
- ^ a b 『エス.ラボ株式会社様より京都亀岡キャンパス圃場のベンチテーブル寄贈』(プレスリリース)京都先端科学大学、2023年7月28日 。2024年8月26日閲覧。
- ^ 八木沢篤 (2021年7月27日). “3Dプリンタだから実現できた東京五輪表彰台プロジェクトとその先【前編】:未来につなげるモノづくり”. MONOist. アイティメディア株式会社. 2024年8月26日閲覧。
- ^ a b 貝塚 (2021年6月9日). “東京2020大会、藍色の美しい表彰台はP&Gによるリサイクルプラスチック製”. ASCII.jp. 株式会社角川アスキー総合研究所. 2024年8月26日閲覧。
- ^ 「プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン、社名・組織変更」『粧業日報』第15532号、株式会社週刊粧業、東京、2020年8月20日、6頁、全国書誌番号:01057314、2024年8月26日閲覧。
- ^ 酒井恒平 (2021年7月27日). “五輪表彰台、廃プラから再生 P&Gなど25トン回収”. 日経産業新聞. 株式会社日本経済新聞社. 2024年8月26日閲覧。
- ^ 「材料押出積層方式による金属3Dプリンター造形技術確立」『電波新聞』株式会社電波新聞社、東京、2023年7月13日、9面、全国書誌番号:00060566。2024年8月26日閲覧。
- ^ a b 三島一孝 (2024年6月25日). “工場で出る廃プラスチックを3Dプリンタでリサイクル、治具や設備などで再利用:ものづくり ワールド[東京]2024”. MONOist. アイティメディア株式会社. 2024年8月26日閲覧。
- ^ 「デザイン性と環境性を両立した3Dプリンティング技術を世界に発信」『センター・オブ・イノベーションプログラム社会実装の成果』国立研究開発法人科学技術振興機構、東京、2022年2月、69-70頁 。2024年8月26日閲覧。
- ^ “慶應SFC、3Dプリンター製フェイスシールド「Wakyu」の新モデル公開”. fabcross. 株式会社メイテック (2020年7月14日). 2024年8月26日閲覧。