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エニト・ブリギッタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エニト・ブリギッタ
選手情報
フルネーム エニト・マリア・ブリギッタ
国籍 オランダの旗 オランダ
泳法 自由形背泳ぎバタフライ
生年月日 (1955-04-15) 1955年4月15日(69歳)
生誕地 オランダ領アンティルの旗 キュラソー島ウィレムスタット
身長 174cm
体重 67kg
獲得メダル
国際大会 1 2 3
オリンピック 0 0 2
世界選手権 0 1 4
ヨーロッパ選手権 0 4 3
合計数 0 5 9
競泳 女子
オランダの旗 オランダ
オリンピック
1976 モントリオール 100m自由形
1976 モントリオール 200m自由形
世界選手権
1973 ベオグラード 200m背泳ぎ
1973 ベオグラード 100m自由形
1975 カリ 100m自由形
1975 カリ 200m自由形
1975 カリ 4x100mメドレーリレー
ヨーロッパ選手権
1974 ウィーン 200m自由形
1974 ウィーン 4x100mフリーリレー
1977 ヨンショーピング 100m自由形
1977 ヨンショーピング 4x100mフリーリレー
1974 ウィーン 100m自由形
1974 ウィーン 100m背泳ぎ
1974 ウィーン 200m背泳ぎ
テンプレートを表示
1980年代初頭

エニト・マリア・ブリギッタ(Enith Sijtje Maria Brigitha, 1955年4月15日 - )は、オランダ領アンティルキュラソー島ウィレムスタット出身の元女子競泳選手。1976年モントリオールオリンピックの100mと200mの自由形銅メダリスト。オリンピック競泳競技でメダルを獲得した史上初の黒人選手である。オリンピック世界選手権ヨーロッパ選手権を通じて11個の個人種目メダルを獲得、自由形・背泳ぎバタフライ個人メドレーで21個のオランダタイトルを獲得したほか、オランダ記録を97回、短水路の世界記録を5回樹立した[1][2]

経歴

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生まれ育ったキュラソー島で水泳を学び、その後離婚した母親、兄弟と共に1970年にオランダに移住した[2][3]

1972年、ミュンヘンで開催されたオリンピックに17歳で出場を果たし、メダルは獲得できなかったものの100m自由形、100mと200mの背泳ぎ、リレー2種目の計5種目で決勝を泳ぎ注目された[4]

1973年、ベオグラードで開催された世界選手権では100m自由形で銅メダル、200m背泳ぎで銀メダルと2つの世界大会メダルを獲得した。最終的にこの銀メダルがオリンピック世界選手権を通じてブリギッタの世界大会最高成績となった。

1976年、モントリオールで開催されたオリンピックに出場すると、100m自由形決勝では当時の世界新記録となる55秒65で東ドイツコルネリア・エンダーが優勝し、2位にも東ドイツのペトラ・プリーマー英語版が56秒49で続く中、ブリギッタは56秒65で3位に入り、自身初のオリンピックメダルとなる銅メダルを獲得した[5]。これはオリンピックの競泳競技で黒人が獲得した史上初のメダルという快挙だった[1][2]。200m自由形でもコルネリア・エンダーが当時の世界新記録となる1分59秒26で優勝し、アメリカシャーリー・ババショフが2分01秒22で2位に入った中、ブリギッタは2分01秒40で3位に入り銅メダルを獲得した[6]。なお、その後ベルリンの壁が崩壊し、東ドイツの国家ぐるみでのドーピングが発覚した。東ドイツ選手のメダルをはく奪して再分配を求める声も上がっており、もしも実現すればブリギッタは黒人初のオリンピック競泳競技メダリストと同時に黒人初のオリンピック競泳競技金メダリストになるが、現在もメダルははく奪されず結果はそのままとなっている[7][2]

現役引退後は結婚して3人の娘を産み、再びキュラソー島に戻った後はスイミングスクールを開いて島の子供たちに水泳を教えた。やがて娘たちが大学進学を控える頃になると再びオランダに移り住んだ[2]

2022年、ブリギッタが20年間暮らしたアルメレ銅像が建てられた[8]

アワード・殿堂

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主要国際大会の成績

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世界水泳連盟ウェブサイト参照[10]

大会 場所 種目 結果 記録 備考
1972 オリンピック 西ドイツの旗 ミュンヘン 100m自由形 8位 1分00秒09
100m背泳ぎ 6位 1分06秒82
200m背泳ぎ 6位 2分23秒70
4x100mフリーリレー 5位 4分01秒49 第1泳
4x100mメドレーリレー 5位 4分29秒99 第1泳
1973 世界選手権 ユーゴスラビアの旗 ベオグラード 100m自由形 銅メダル 58秒87
100m背泳ぎ 5位 1分06秒55
200m背泳ぎ 銀メダル 2分22秒15
4x100mフリーリレー 6位 4分02秒16 第1泳
4x100mメドレーリレー 4位 4分28秒86 第1泳
1974 ヨーロッパ選手権 オーストリアの旗 ウィーン 100m自由形 銅メダル 58秒10
200m自由形 銀メダル 2分03秒73
100m背泳ぎ 銅メダル 1分05秒94
200m背泳ぎ 銅メダル 2分21秒33
4x100mフリーリレー 銀メダル 3分57秒08 第4泳
4x100mメドレーリレー 4位 4分30秒08 第4泳
1975 世界選手権 コロンビアの旗 カリ 100m自由形 銅メダル 58秒20
200m自由形 銅メダル 2分03秒92
4x100mフリーリレー 4位 3分56秒76 第4泳
4x100mメドレーリレー 銅メダル 4分21秒45 第4泳
1976 オリンピック カナダの旗 モントリオール 100m自由形 銅メダル 56秒65
200m自由形 銅メダル 2分01秒40
100m背泳ぎ 準決勝7位 1分05秒21
4x100mフリーリレー 4位 3分51秒67 第4泳
4x100mメドレーリレー 5位 4分19秒93 第4泳
1977 ヨーロッパ選手権 スウェーデンの旗 ヨンショーピング 100m自由形 銀メダル 57秒09
200m自由形 4位 2分02秒02
400m自由形 4位 4分15秒06
4x100mフリーリレー 銀メダル 3分52秒95 第4泳
4x100mメドレーリレー 5位 4分21秒50 第4泳
1978 世界選手権 西ドイツの旗 西ベルリン 100m自由形 5位 57秒17
200m自由形 5位 2分01秒99
400m自由形 8位 4分18秒60
100mバタフライ 8位 1分02秒78
4x100mフリーリレー 4位 3分50秒88 第4泳
4x100mメドレーリレー 5位 4分16秒44 第4泳

自己ベスト

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世界水泳連盟のウェブサイト参照[10]

種目 記録 日付 大会 備考
長水路
50m自由形 28秒72 1972年8月29日 オリンピック
100m自由形 56秒61 1976年7月18日 オリンピック
200m自由形 2分01秒15 1978年8月22日 世界選手権
400m自由形 4分15秒06 1977年8月17日 ヨーロッパ選手権
50m背泳ぎ 31秒42 1972年9月2日 オリンピック
100m背泳ぎ 1分04秒98 1976年7月22日 オリンピック
200m背泳ぎ 2分21秒33 1974年8月18日 ヨーロッパ選手権
100mバタフライ 1分02秒78 1978年8月23日 世界選手権

脚注

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出典

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  1. ^ a b c International Swimming Hall of Fame Announces The Class Of 2015” (英語). swimswam.com. SwimSwam (2014年12月17日). 2024年8月30日閲覧。
  2. ^ a b c d e Enith Brigitha - Hall Of Fame Swimmer” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World. 2024年8月30日閲覧。
  3. ^ Enith BRIGITHA” (英語). olympics.com. 2024年8月30日閲覧。
  4. ^ Mike Gustafson (2012年2月15日). “Acknowledging Enith Brigitha” (英語). 世界水泳連盟. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月31日閲覧。
  5. ^ Olympic Games Montreal 1976 Women 100m Freestyle RESULTS” (英語). worldaquatics.com. 世界水泳連盟. 2024年8月30日閲覧。
  6. ^ Olympic Games Montreal 1976 Women 200m Freestyle RESULTS” (英語). worldaquatics.com. 世界水泳連盟. 2024年8月30日閲覧。
  7. ^ John Lohn (2023年2月5日). “Despite Stolen Gold, Enith Brigitha Was a Sporting Pioneer” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World. 2024年8月31日閲覧。
  8. ^ Statue Enith Brigitha unveiled tomorrow” (英語). curacaochronicle.com. Curaçao Chronicle (2022年10月14日). 2024年8月30日閲覧。
  9. ^ a b Curaçao’s own Enith Brigitha to be honored with a statue” (英語). curacaochronicle.com. Curaçao Chronicle (2020年12月16日). 2024年8月30日閲覧。
  10. ^ a b Enith BRIGITHA” (英語). worldaquatics.com. 世界水泳連盟 (2024年8月9日). 2024年8月31日閲覧。

外部リンク

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