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エミール・ラスク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エミール・ラスク
生誕 1875年9月25日
オーストリア=ハンガリー帝国ヴァドヴィッツ(現・ポーランドヴァドヴィツェ
死没 1915年5月26日
ガリツィア・ロドメリア王国トゥルジャ=マラ
時代 20世紀哲学
地域 西洋哲学
学派 新カント派
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エミール・ラスク(Emil Lask, 1875年9月25日 - 1915年5月26日)は、ドイツ哲学者フライブルク大学ハインリヒ・リッケルトに学んだ。新カント派の中でも西南ドイツ学派(バーデン学派)に属する。

略歴

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製紙会社を営むユダヤ人夫婦の長男としてガリツィア・ロドメリア王国に生まれる。1905年にハイデルベルク大学講師に就任し、第一次世界大戦が始まる直前に教授に昇進した。1914年の開戦後、ラスクは間もなく従軍した。ハイデルベルク大学の教授であったため、兵役義務はなかったのだが、ラスクは己の良心と理想を省みて、国のために勤めを果たすべきだと感じたのである。ラスクは東部戦線のガリツィアに派兵された。虚弱体質で重度の近視を患っていたので、銃を撃つことはできなかったが、それでも前線にとどまるべきだと考えたのだった[1]。結局、ラスクは生まれ故郷の近く、ガリツィアでの戦闘中に命を落とした。その背景には、ラスクを戦地からハイデルベルク大学哲学科に呼び戻すという要求をヴィルヘルム・ヴィンデルバントが拒んだという経緯がある。ラスクがユダヤ人だったことがその理由だという推測もある[2]

ラスクは重要かつ独創的な思想家だったが、早すぎる死と新カント派の衰退によって、その価値ある著作はあまり読まれてはいない。生前に刊行された著作、そして未刊行の原稿は弟子のオイゲン・ヘリゲルによって3巻にまとめられ、ラスクの師リッケルトが寄稿した論考とともに1923年と1924年に出版された。エミール・ラスクの妥協を許さぬ態度は哲学者の興味を引くものであり、また若き日のマルティン・ハイデッガールカーチ・ジェルジに影響を与えたことが哲学史家によって注目されている。ラスクの思想は日本で影響力をもったが、それは弟子のオイゲン・ヘリゲルが日本に滞在し教鞭をとったからである[3]

著作

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  • [英訳]The Logic of Philosophy and the Doctrine of Categories translated by Christian Braun, Free Association Books, 1999.
    [仏訳]La logique de la philosophie et la doctrine des catégories. Etude sur la forme logique et sa souveraineté Paris, Vrin, 2002.
  • Die Lehre vom Urteil. J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen 1912. Internet Archive.
    [邦訳]久保(土井)虎賀壽訳『判斷論』岩波書店、1929年
  • Gesammelte Schriften. 3 Bände. Herausgegeben von Eugen Herrigel. J. C. B. Mohr (Paul Siebeck), Tübingen 1923 (Band I, II), 1924 (Band III).
    [邦訳]波多野堯訳・解説『ラスク価値哲学』丁酉出版社、1931年
  • Sämtliche Werke. 2 Bände. Scheglmann, Jena 2002 (Band I), 2003 (Band II).

脚注

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参考文献

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  • Friedbert Holz: Lask, Emil. In: Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 13, Duncker & Humblot, Berlin 1982, ISBN 3-428-00194-X, S. 648 f. (電子テキスト版).
  • Borda, Mara, Knowledge Science Religion: Philosophy as a Critical Alternative to Metaphysics (Wurzburg: Konighausen & Neumann, 2006) [contains very extensive discussion of Lask with comparisons to Simmel and Heidegger]

外部リンク

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