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エリシター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

エリシター(elicitor)とは高等植物の組織もしくは培養細胞に生体防御反応を誘導する物質の総称である。植物はエリシターのストレスに応答し防御関連遺伝子を活性化すると考えられており、ファイトアレキシン感染特異的タンパク質等を合成する。 タンパク質多糖類、オリゴ糖脂質糖ペプチドなどの病原菌植物昆虫に由来する多様な生体分子に加え、重金属などもエリシターとして機能する[1][2]。 エリシターはNoel T. Keen (en:Noel T. Keen)によって造語された[3]

作用

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病害抵抗反応

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植食者からの間接防御

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昆虫などの植食者食害されたときに、食害昆虫の唾液などに含まれる成分をエリシターとして植食者誘導性植物揮発性物質を合成し植食者天敵を誘引することで、食害昆虫に対抗する。

一例として、トウモロコシ(Zea mays L.)は葉がシロイチモンジヨトウ(Spodoptera exiguaHübner)の幼虫食害され、損傷部位にシロイチモンジヨトウの唾液に含まれる成分であるボリシチン(Volicitin)が付着すると、これをエリシターとして植食者誘導性植物揮発性物質テルペノイドインドールの混合物)の合成が誘導される。これらの化合物によりヨトウムシの天敵である寄生バチ(Cotesia marginiventris)が誘引される。このようにトウモロコシはヨトウムシの天敵を呼び寄せることで食害に対抗している[7]

脚注

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  1. ^ 川北一人、加藤大明、樹神博士、柴田裕介、竹本大吾「NO と植物の感染防御応答」『実験医学増刊』第27巻、第15号、232頁、2009年。 
  2. ^ 公益財団法人 かがわ産業支援財団. “用語集”. 2015年6月8日閲覧。
  3. ^ American Phytopathological Society. “Noel T. Keen Award for Research Excellence in Molecular Plant Pathology”. 2015年12月15日閲覧。
  4. ^ 天野豊己; 日本植物生理学会. “植物の自爆装置”. 2015年6月8日閲覧。
  5. ^ Angela Garcia-Brugger, Olivier Lamotte, Elodie Vandelle, Stéphane Bourque, David Lecourieux, Benoit Poinssot, David Wendehenne, and Alain Pugin (2006), “Early signaling events induced by elicitors of plant defenses.”, Mol Plant Microbe Interact. 19 (7): 711-724, doi:10.1094/MPMI-19-0711, PMID 16838784  オープンアクセス
  6. ^ 古賀大三 著、キチン、キトサン研究会 編「植物におけるキチン分解酵素の役割」『キチン、キトサンハンドブック 1版1刷』、17-22頁1995年。 
  7. ^ H. T. Alborn, T. C. J. Turlings, T. H. Jones, G. Stenhagen, J. H. Loughrin, J. H. Tumlinson (1997), “An Elicitor of Plant Volatiles from Beet Armyworm Oral Secretion”, Science 276: 945-949, doi:10.1126/science.276.5314.945 

参考文献

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関連項目

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