エルネスト・ブラン
エルネスト・ブラン(Ernest Blanc, 1923年11月1日 - 2010年12月22日)は、フランスのバリトン歌手。清々しく豊麗な美声、気品溢れる歌唱で戦後のフランスを代表する歌手として活躍した。
サナリー=シュル=メールに生まれ、1946年から1949年までトゥーロンの音楽学校で学ぶ。1950年、マルセイユにて『道化師』のトニオでデビューする。その後、フランス各地でフランス・イタリアオペラの役柄を歌った。1954年、パリのガルニエ宮でリゴレットを歌いデビューする。25年間にわたってラモー、モーツァルト、グノー、ビゼー、マスネ、ヴェルディ、プッチーニなどの広いレパートリーを歌い、オペラ=コミック座、エクサン・プロヴァンス音楽祭にも出演した。
1958年のバイロイト音楽祭出演後、活躍の舞台を世界に広げ、ミラノのスカラ座、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウス、グラインドボーン音楽祭、ウィーン国立歌劇場、ザルツブルク音楽祭、ブリュッセルのモネ劇場、ジュネーヴ大劇場、モンテカルロ歌劇場、リスボンのサン・カルルシュ国立劇場、バルセロナのリセウ大劇場、ベルリン国立歌劇場などで歌った。米国のシカゴ・リリック・オペラやサンフランシスコ・オペラ、ブエノスアイレスのテアトロ・コロンなどでも成功を収めた。
代表的な役としては、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』、ヴァランタン(グノーの『ファウスト』)、ズルガ(ビゼーの『真珠採り』)、エスカミーリョ(ビゼーの『カルメン』)、ゴロー(ドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』)、ジェルモン(ヴェルディの『椿姫』)、レナート(同『仮面舞踏会』)、アモナスロ(同『アイーダ』)、スカルピア(プッチーニの『トスカ』)、リッカルド(ベッリーニの『清教徒』。ジョーン・サザーランドと組んだ)、アルフォンゾ11世(ドニゼッティの『ラ・ファヴォリータ』)、ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ(ワーグナーの『タンホイザー』)、フリードリヒ・フォン・テルラムント(同『ローエングリン』)などがある。
引退後は、パリで後進の指導にあたった。2010年、生地のサナリー=シュル=メールで死去した。