エルミート標準形
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数学の線型代数学におけるエルミート標準形(エルミートひょうじゅんけい、英: Hermite normal form)とは、整数全体 Z についての行列の行階段形と同様の概念である。
非特異正方行列
[編集]成分が整数であるような非特異正方行列 M = (mij) がエルミート標準形(Hermite normal form, HNF)であるとは、次を満たすときを言う:
- M は上三角行列である[1]。
- 対角成分 mii が正である。
- i > j に対し、mii > mji ≥ 0 が成立する。すなわち、ある列において、その対角成分よりも上に位置する成分は非負であり、その対角成分よりも小さい。
一般的な行列
[編集]より一般的に、成分が整数であるような m×n 行列がエルミート標準形(HNF)であるとは、
- 0 ≤ r ≤ n を満たすような r、および
- 単調増加関数 f: [r + 1, n] → [1, m]
が存在し、M のはじめの r 列がゼロで、r + 1 ≤ j ≤ n に対し
- mf(j)j > 0。
- i > f(j) のときは、mij = 0。
- k < f(j) のときは、mf(j)j > mkj ≥ 0。
が成立することを言う。
エルミート標準形の一意性
[編集]成分が整数であるような m×n 行列 A が任意に与えられたとき、
- ただし U ∈ GLn(Z)(すなわち、U はユニモジュラ行列である)
を満たすような、整数成分のエルミート標準形の m×n 行列 H が一意に存在する。H の非ゼロの列により構成される行列のことを、A のエルミート標準形と呼ぶ。
例
[編集]以下の行列 A のエルミート標準形が、H である。
例
[編集]行列 A のエルミート標準形が、行列 H である。
ここで r=2; f(3)=1, f(4)=2, f(5)=3, f(6)=4 が得られる(f(j) は、列 j に含まれる最小の非ゼロ成分の行を与える)
関連項目
[編集]注釈
[編集]参考文献
[編集]- Section 2.4.2 of Cohen, Henri (1993), A Course in Computational Algebraic Number Theory, Graduate Texts in Mathematics, 138, Berlin, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-3-540-55640-4, MR1228206