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エンマムシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エンマムシ上科 Histeroidea
エンマムシの一種
エンマムシの一種 Hister impressus
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目(鞘翅目) Coleoptera
亜目 : カブトムシ亜目(多食亜目) Polyphaga
下目 : ハネカクシ下目 Staphyliniformia
上科 : エンマムシ上科 Histeroidea
Gyllenhal, 1808

エンマムシ(閻魔虫)は、コウチュウ目(鞘翅目)エンマムシ上科(Histeroidea)に属する昆虫の総称。またはその中の1種 Merohister jekeli和名である。

エンマムシ上科は、エンマムシダマシ科 Shaeritidae、エンマムシモドキ科 Synteliidae、エンマムシ科 Histeridae の3科に分けられる。このうちエンマムシ科が最大ので、多くの亜科に分かれている。分類によってはこれらの亜科を独立した科として扱うこともある。またエンマムシ上科はガムシ上科との類縁性が強く、1990年代初頭からはガムシ上科に含めて扱うことが多くなっており、分類は未だ流動的である。

成虫でも体長数mm-1cm程度しかなく、小型の昆虫である。成虫はずんぐりとした丸い体形で、触角は短く、先が膨らむ。脚は短いが脛節に棘が発達し、小型の糞虫にも似る。

動物の死体等の腐敗動物質や便に飛来する種類がよく知られ、「閻魔虫」の名も死体に集まる習性に由来する。ただしエンマムシは腐肉や糞便などの腐敗有機物食ではなく、そこに発生するクロバエ科ニクバエ科イエバエ科といったハエ幼虫)の捕食者が多い。小動物の腐敗した死体でハエの幼虫を盛んに捕食する様子は、ファーブルの『昆虫記』にも活写されている。ただし腐敗有機物に飛来しない種もおり、それらは種類によって様々な獲物を捕食する。

おもな種類

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エンマムシダマシ科 Sphaeritidae

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世界に1属3種。

エンマムシダマシ Spaherites glabratus Fabricius, 1792
日本では北海道のみ。

エンマムシモドキ科 Synteliidae

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世界に7種。

エンマムシモドキ Syntelia histeroides Lewis, 1882
日本では北海道~九州に分布。

エンマムシ科 Histeridae

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11亜科に分類され、世界に3,800種以上。

エンマムシ Merohister jekeli Marseul, 1857
体長10mmほど。体の上面は光沢のある黒色をしている。上翅には7本の条があるが、内側の2条は翅の先端部だけにある。死体に集まりハエの幼虫を捕食する。日本では九州以北に分布し、日本以外でも朝鮮半島中国に分布する。
オオヒラタエンマムシ Hololepta amurensis Reitter, 1879
体長11mmほど。和名通り体が平たく、前後にやや長い長方形の体型をしている。また、エンマムシよりも大顎が長く前に突き出る。樹皮下に潜んで他の小昆虫を捕食するが、樹液にもやってくる。九州以北からシベリア東部まで分布する。
ホソエンマムシ Niponius impressicollis Lewis, 1885
体長5mmほどで、和名通り前後に細長い体型をしている。朽木の樹皮下でキクイムシ類などの小昆虫を捕食する。日本から台湾まで分布する。
アリクイエンマムシ Margarinotus maruyamai M. Ohara, 1999
和名通りクサアリ類の巣に現れ、アリの成虫を捕食する。
キノコアカマルエンマムシ Notodoma fungorum Lewis, 1884
体長3-4mmほど。和名通り成虫の体が褐色で丸っこい。上翅の根もとがやや赤っぽい。サルノコシカケ類に集まる。本州四国、九州に分布する。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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