オオギセル
オオギセル | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Megalophaedusa martensi (Martens,1860) |
オオギセル(大煙管)、学名 Megalophaedusa martensi は、有肺目キセルガイ科に分類される陸生巻貝の一種である。本州西部と四国の山林に分布する細長い巻貝で、「世界最大のキセルガイ」とされている。
記載者のマルテンスにちなみマルテンスギセル、またはマルテンギセルとも呼ばれる。また和名末尾に「貝」をつけてオオギセルガイ(大煙管貝)、マルテンスギセルガイ等と呼ぶこともある。
特徴
[編集]成貝は殻長50mm・殻径10mmに達する。貝殻はキセルガイ類他種と同様に紡錘形・左巻きで、螺塔は9-11階ほどになる。殻皮は淡褐色-紫褐色だが黄白色の個体もいる。殻表に肋などは無く、細かい成長脈がある程度で、さらに老成個体では磨耗して平滑・白色になった個体もいる。殻頂付近の2-3層は円筒状だが、通常は成長すると欠ける。殻口は卵型で、成長すると周辺が肥厚・外反する。内唇の上方にある主板は強く、前板は殻口内斜上方へ走る。殻口の右上には細かい腔襞が並び、このうち最も上の主襞が長く、その下に3-12個の短い小腔襞が並ぶ[1][2][3]。軟体は殻に比べると小さい。
同属2種と共にキセルガイの中では大型で厚質な貝殻をもつ種類である。本種は特に世界最大のキセルガイとされている。
本州の関東以西と四国に分布し[1][4][5]、森林の落葉下に生息する。繁殖形態は雌雄同体・卵胎生である。
人間との関係
[編集]日本産キセルガイの中では分布域が広い方だが、森林の伐採などで生息地が減少している。環境省レッドリストには掲載されていないものの、分布域の各府県では絶滅危惧種に指定している所もある。
- 府県別レッドリスト掲載状況[6]
- 絶滅危惧I類 - 大阪府
- 絶滅危惧II類 - 香川県
- 準絶滅危惧 - 京都府・鳥取県・高知県
- その他 - 岡山県「希少種」
亜種・近縁種
[編集]オオギセル属 Megalophaedusa は本州・四国に3種類のみが分類される。またオオギセルには地方形があり合計3亜種に分類される。
- オオギセル Megalophaedusa martensi martensi (Martens,1860)
- ミツクリギセル M. mitsukurii (Pilsbry,1902) - 殻長35mm・螺層9階でやや小形。紀伊半島南部に分布。名前は箕作佳吉への献名である。環境省レッドリスト2007年版絶滅危惧II類(VU)
- オオボケギセル M. concrescens (Pilsbry,1902) - 殻長35mm・光沢のある黄褐色。四国山地に分布。和名は大歩危に由来する
参考文献
[編集]- ^ a b 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』北隆館 1948年初版・2000年重版 ISBN 4832600427
- ^ 波部忠重・小菅貞男『エコロン自然シリーズ 貝』1978年刊・1996年改訂版 ISBN 9784586321063
- ^ 東正雄『原色日本陸産貝類図鑑』1995年 保育社 ISBN 9784586300617
- ^ 小菅貞男『ポケット図鑑 日本の貝』1994年 成美堂出版 ISBN 4415080480
- ^ 生物多様性情報システム『第4回基礎調査動植物分布調査報告書 陸産及び淡水産貝類』(解説 : 湊宏)
- ^ 日本のレッドデータ検索システム オオギセル