もう一つの事実
誤報と偽情報 |
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「もう一つの事実」(もうひとつのじじつ、英: alternative facts、オルタナティブ・ファクト、代替的事実)は、2017年1月22日に放送された「ミート・ザ・プレス」のインタビューにおいて、アメリカ合衆国大統領顧問ケリーアン・コンウェイが、ホワイトハウス報道官ショーン・スパイサーのドナルド・トランプ大統領就任式に関する虚偽発言を擁護するために発言した言葉である。
空撮写真では、トランプ大統領就任式に集まった群衆の方が、オバマ大統領就任式に集まった群衆よりも明らかに少ないにもかかわらず、スパイサーは「過去最大の人々が就任式をこの目で見るために集まった」と称賛した。
インタビューを行ったチャック・トッドが、スパイサー報道官はなぜ「明らかな虚偽発言」を行ったのか問いただしたところ、コンウェイ顧問は「もう一つの事実だった」と答えた。それに対してトッドは「もう一つの事実とは事実ではない。虚偽だ」と反論している。
コンウェイ顧問が明らかに虚偽であるものを「もう一つの事実」という言葉を使って説明したことは、ソーシャルメディア上で広く嘲笑されたほか、ダン・ラザーやジル・エイブラムソンといったジャーナリスト、アメリカ公共関係協会といったメディア組織から大きく批判された。この言葉は「二重思考」「ニュースピーク」といった、小説家ジョージ・オーウェルのディストピア小説の作中の概念と広く重なることから、2017年1月26日までに『1984年』の売り上げが9,500%増加し[1][2][3][4]、Amazon.comのベストセラーとなった。日本においても売り上げが急上昇した[5]。
コンウェイは後に「もう一つの事実」を「追加の事実と代替情報」と定義して、言葉の選択を擁護した[6]。
脚注
[編集]- ^ Freytas-Tamura, Kimiko de (January 25, 2017). “George Orwell's '1984' Is Suddenly a Best-Seller”. New York Times January 26, 2017閲覧。
- ^ Calfas, Jennifer (January 24, 2017). “Sales of '1984' surge after Conway talks 'alternative facts'”. The Hill. January 24, 2017閲覧。
- ^ Koh, Elizabeth (January 24, 2017). “George Orwell's '1984' surges in sales after 'alternative facts' comment”. The Kansas City Star. January 24, 2017閲覧。
- ^ Kakutani, Michiko (January 26, 2017). “Why ‘1984’ Is a 2017 Must-Read”. New York Times January 26, 2017閲覧。
- ^ “あっという間に20万部突破!トランプ政権の誕生で日本でもジョージ・オーウェル『一九八四年〔新訳版〕』がふたたびベストセラー”. Hayakawa Online (February 3, 2017). February 14, 2017閲覧。
- ^ Nuzzi, Olivia. “Kellyanne Conway Is the Real First Lady of Trump’s America” (英語). Daily Intelligencer